About Money,Today

ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

日本版ISAの導入は2年先送りに

2010-12-28 15:57:47 | リンク
こちらなどで取り上げてきた日本版ISAですが、結局、二転三転して、以下のような結果になりました。

「現行の上場株式等の配当・譲渡所得等に係る10%軽減税率は、公平性や金融商
品間の中立性の観点から、20%本則税率とすべきですが、景気回復に万全を期す
ため、2年延長し、平成26 年1月から20%本則税率とします。これに伴い、非課
税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(いわゆ
る「日本版ISA」)の導入時期については、平成26 年1 月からとします。これ
らの措置については、経済金融情勢が急変しない限り、確実に実施することとし
ます」

<参考>
「平成23年度税制改正について-税制改正大綱における金融庁関係の主要項目ー」(平成22年12月/金融庁)
平成23年度税制改正大綱(閣議決定)

ただ、証券税制優遇の延長と日本版ISAの導入は本来セットで議論させることではないとも思っています。
また、日本版ISAについては資産形成を考えると内容的にも中途半端。2年延長を契機に拡充も含めて再議論をのぞみます。

そして、もうひとつ気になるのが、確定拠出年金の運用時にかかる「特別法人税」課税。「平成22年度末まで凍結」となっていて、各方面から撤廃要望が出ていましたが、結局3年延長に決まりました。こちらも撤廃を期待したいですね…。

「企業年金等の積立金に対する特別法人税の課税の停止措置の延長〔法人税、
法人住民税〕企業年金等(厚生年金基金、確定拠出年金、確定給付企業年金、
勤労者財 産形成給付金及び勤労者財産形成基金)の積立金に対する特別法人
税の課税 の停止措置について3年延長する」

「平成23年度税制改正大綱 厚生労働省関係」(平成23年12月/厚生労働省)

今回は給与所得控除の見直しやら、相続税・贈与税の見直しやら、大きな改正が目白押し。大きな方向性が示されぬまま、改正が進んだ感じです。来年は消費税論議もでてくるでしょう。本当に、大局的な議論が必要なときにきていますね!

米国ではETFが1兆ドル突破!

2010-12-27 19:52:13 | リンク
ブラックロック・インクは、米国の証券取引所に上場されているETFとETP(Exchanged Traded Product)の純資産残高が12月16日時点で、過去初めて1兆米ドルに達したと発表しています。

詳しくはこちら

1兆円ではなく、1兆ドル!
日本とはケタ違いの規模ですね・・・とため息をつきたくなっていたら、

鎌倉投信の鎌田恭幸さん(@yui2101)がツイッターで以下のコメントをしていました。

「信念の強さ。ETFを創った人、芽吹くまで受け入れた運用会社もすごい。ETFを初めて創った人たちは、運用会社のお荷物扱いで本流のずっと外にいた」

米国も最初から受け入れられたわけではないのですね!
日本もコツコツ浸透することが大事なのかもしれません。

野村証券はETF事業部を立ち上げるようですし、<いろんな意味で>来年は動きがありそうな予感です。



コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ#8

2010-12-27 19:40:01 | リンク
コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ(ツイッターのハッシュタグは #k2k2 )について、

申込先ページが見つからない
日経新聞の夕刊でみたけど、(新聞を捨ててしまって)正式名称がわからない

などなどお問い合わせいただきました。
(12月8月の日本経済新聞の夕刊1面に写真付で掲載されたのです。竹川のコメントも載っています)。

ご興味のあるかたは、こちらのページで詳細を確認の上、お申込ください。

原則第一水曜日開催ですが、1月は変則的に1/12(水)19時半から行います。
今回ははじめての方も多いので、楽しみです!
ご興味のあるかたは一度のぞいてみてください。残席わずかです。

また、すでに大阪では「投資はじめ隊」が活動していますが、
新たに、札幌、そして横浜でも、コツコツ投資家のコツコツ集まる夕べをやろうという声があがっています。

2010.1.5 追記
日程が決まったようです→1/8
●コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べin札幌

●横浜はツイッター上で
@funnywind さんが企画中?のようですね。

2010.1.5 追記:日程が決まり、下記のページで募集をしています。
コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べin横浜

全国的にこうした動きが広がってくると、売り手主導から、投資家主導に徐々に変わっていくかも、というふうに期待を抱いています。

年収アップ=金融資産アップにつながる?

2010-12-21 13:37:21 | リンク
昨日、フィデリティ退職・投資教育研究所の野尻哲史さんの個人的な勉強会があり、ファイナンシャルプランナーや個人投資家の方など13人が集まりました。

その中で、あるFPの方から、今の20代は「年収200万円くらいでお金を貯められない」「将来に不安を持っている人が多い」という発言がありました。

そうした場合、「まずは自己投資をして、年収アップをめざそう」という方が多いと思います。ただ、
・自己投資をしてもすぐに年収アップに結び付くとは限らない
・年収アップをしても、金融資産のアップに結びつくとは限らない
ということはあります。

もちろん、一定以上の収入がないと貯蓄や投資にお金を振り向けるのがキビしいですから、頑張って一定以上の年収をめざすのは間違いではないでしょう。ただ、年収があがると、その分、金融資産が増えかどうかは別問題だと感じます。

というのも、企業でマネーセミナーをしていると、例えば、相対的に年収の高いA社と、相対的に年収の低いB社があるわけですが、どちらの会社も50代で金融資産が数百万円くらいの方もいれば、数千万円という方も存在するからです。相対的に年収の高いA社のほうが順調に資産形成できているかといえば、必ずしもそうとは言えず、両社とも(社員間で)大きなバラつきがあります。

つまり、(一定以上の稼ぎがあれば)収入の中から貯蓄や投資にお金を振り分けていける人は金融資産を増やしていくことができるけれど、稼ぎがよくてもそれができないケースも多々あります。

知り合いのFPから、今は30代、40代から(同じ会社でも)金融資産の格差が広がっているように感じるという声も聞きます。

そういう意味では、将来にわたる「稼ぎ力」を高めることも大事だけれど、やはり"並行して"貯蓄や投資にお金を振り向けていく必要があるでしょう。ただ、仕事をしながら継続するのはなかなか難しいので、いかに早く貯蓄や投資にお金を振り向けるための「しくみ」を作れるかどうかがカギだと思います。


ほったらかし投資術

2010-12-15 18:38:14 | リンク
週末に『ほったらかし投資術-インデックス運用実践ガイド』(朝日新書)を読みました。

著者は経済評論家の山崎元さんと、梅屋敷商店街ランダムウォーカーというブログを書いている、インデックスブロガーの水瀬ケンイチさんのお二人。

コンパクトな新書サイズながら、インデックス投資に関する情報がギッシリ詰まった本です。山崎さんが「理論編」を、水瀬さんが「実践編」を執筆しています。

まず、序章は水瀬さんがいかにインデックス投資家になったか、その歴史を振り返ったもの。具体的なエピソードありで楽しく読めました。

その後、山崎さんの理論編。「やさしく、丁寧に、惜しみなく」伝えることを目指したというだけあって、「なぜ普通の人にとってほぼベストの資産運用法なのか?」を細かい部分まで説明しています。

共感できる部分が多く、個人的にはとても面白く読めました。が、初心者の方やこれから投資を始めたいと思っている人には少し難しいかも・・・・。編集の方なりがもう少し丁寧に用語解説を入れるなど、ひと工夫あるとより理解が進む気がします。

*個人的には、山崎さんが直販ファンドについて初めてコメントされていたのが印象的でした。

で、水瀬さんの実践編に戻って、最後に商品ガイド(15本のインデックスファンドとETFを紹介)と、それに対するお二人の評価が記載されています(ホントにこの3年程度での商品の拡充に改めて感心!)。

初心者が惹きつけられる情報と、中・上級者が読んで面白い情報が混在しているので、ややシーソーに乗っている感じ(レベルが上がったり下がったり感)はありますが(笑)、インデックス投資に関する情報が網羅されており、インデックス投資に興味をお持ちの方にはおすすめです。

最後に、インデックス投資の情報収集のところで、著書『投資信託にだまされるな!』もあげていただきました。有難うございます! 水瀬さん、初著書、お疲れ様でした。  


インデックス投資ナイトの前哨戦!?

2010-12-14 17:36:09 | リンク
昨日、東京・丸の内で、『プロが語る!インデックスファンドの使い方』セミナーが行われ、モーニングスターの朝倉さん、FPのカン・チュンドさんと一緒に2部のパネルディスカッションに参加しました。

一番驚いたのは300名ほど入る会場が満員だったことです(*302名が参加されたとのこと)。「インデックスファンドというマイナーなテーマで、そんな大きな会場でやって大丈夫なのかな?」と正直思ったのですが、どうやら杞憂だったようです。インデックス投資ナイトとはまた違った、年配の方も多かったですね-。

一部は朝倉社長の講演でしたが、お話はもちろんのこと、貴重なお宝データが満載でした。控室でカンさんと2人で聴いていたのですが、具体的なアクティブファンドの例をあげて、コストや資金の流出入などを説明する姿に2人で「アツく語ってるなあ」と感心。

セミナーについて、後日、モーニングスターのHPで動画としてアップするようですので、(資料などもみられるのかは不明ですが)、参加できなかった方はぜひご覧ください。

そして、二部のパネルは余裕があれば(笑)。来年1月9日に行われるインデックス投資ナイトに3人とも参加するとあって、「インデックス投資ナイトの前哨戦ですか?」などとツイッターで聞かれましたが、終始穏やかな感じで進みました。

私とカンさんでポートフォリオの紹介。その後、朝倉社長とのやりとり、事前質問などに対する回答などを中心に進みました。

・日本株は上昇する見込みが持てないのですが、組み入れる必要はありますか?
・インデックスファンドとアクティブファンドはどちらが良いのですか?
・リバランスでお勧めの方法はありますか
・コモディティの組み入れは必要ありますか? その場合の方法について教えてください。
・過去に購入した信託報酬の高いインデックスファンドは、信託報酬の安いインデックスファンドやETFに乗り換えたほうがよいでしょうか。

など、事前質問でいただいたのは皆さんが悩んでいそうな質問ばかりですね。

まだまだマイナーな存在であるインデックスファンドですが、徐々にではありますが、認知度は上がってきたのかなと思える1日でした。