About Money,Today

ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

【コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ(東京)2周年イベントにご参加の皆さまへ-注意とお願い-】

2012-06-25 20:11:56 | 投信
6月6日にコツコツ投資家がコツコツ集まる夕べの2周年イベントを開催致しましたところ、後日、男性参加者よりメールで怪しい金融商品の勧誘を受けましたという連絡がありました。

具体的には
●月利4%の私募ファンド(年利ではなく月利)
●JPモルガンとコネがある
●表にでている情報は儲からない。表に出ていない情報だから儲かる。
ついては、1回説明するからお茶しないか、という内容だそうです。

これは典型的かつ悪質な勧誘です。前回参加者の方で、こうした謳い文句で、他にも勧誘を受けられた方、何か情報を入手した方がいらっしゃいましたら、幹事までご連絡ください。また、過去に似たような勧誘を受けた記憶のある方もご一報ください。
こうした事態が起きたこと、参加者の方に不快な思いをさせてしまったことについては心からお詫び申し上げます。

今後は
「(会の最中、事後にかかわらず)勧誘目的は禁止」
「万一、違反の勧誘があった場合は幹事にすぐに報告をお願い」
ということを徹底したいと思います。

また、ご参加の皆さんも、「表に出ない情報だから儲かる」といった、割のいい投資話はないということは肝に銘じていただきたいと思います。

お金について、ゆるく語れる、健全な"場"をつくるべく、コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べを地道に続けていきたいと思っております。皆様、今後ともご協力のほどよろしくお願い申し上げます。そして、よろしければ、またご参加ください(初参加の方もお待ちしております!)。

コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ(東京)、次回7/4(水)19時30分~開催予定です。
詳細・お申込はこちら

<2012.06.25 追記>
前回ご参加いただき連絡先の分かる方には、幹事のrennyさんより「注意喚起メール」を送信しました。

<2012.06.26 追記>
他に数名の方から情報提供がありました。幸い被害にあわれた方はいらっしゃらないようです。
この件については、しかるべきところに報告を入れました。

<2012.06.29 追記>
JPモルガン・アセット・マネジメントさんのHPに「不審な投資勧誘にご注意ください」が掲載されました。

<追記>
金融トラブルについては金融庁「金融サービス利用者相談室」で対応しています。身近であやしい情報を見聞きした場合にはこちらへ。

日本でも運用会社の評価情報がほしい!

2012-06-13 17:28:59 | 投信
投資信託の評価というと、過去のパフォーマンスによってレーティングを付与するというのが一般的ですが、米国では米国ではミーチュアルファンドの不正を受けて、2004年から投信評価会社モーニングスター社が「Stewardship grades」という運用会社の評価を行っています。

パフォーマンス評価-評価基準は常識なのか迷信なのか
Stewardship grades

米国モーニングスター社は資産運用会社の評価項目は次の5つです。
●Regulatory Issues (ファンドマネジャーのインセンティブ)
●Board Quality(経営陣の質)
●Manager Incentives(規制)
●Fees (手数料)
●Corporate Culture(運用会社の企業文化)

詳しくはニッセイ基礎研究所・遅澤研究員のレポート「パフォーマンス評価-評価基準は常識なのか迷信なのか」をお読みいただきたいのですが、気になった点を挙げてみました。
・最近はモーニングスターの「Stewardship grades」に関する実証が行われている。
・その結果、「Stewardship grades」そのものはパフォーマンスと相関を持つことが確認された。
・5項目のうち、リターンと有意に関連付けられるのは、Board Quality(経営陣の質) とFees だけであった。
・Corporate Culture(企業文化)についてはパフォーマンスとの明確な相関を示していない

・従来は従業員を大切にする企業文化や待遇が評価されるので、定着率の高さや勤続年数の長さが評価基準として重視されてきた。しかし実証分析結果はそれほど単純ではなく、報酬体系やキャリア・パスも含めて、インセンティブを付与していくことが求められている。
・モーニングスター社はファンドが不振の場合にアドバイザーを解雇することもプラス評価している。「変えない」ことが常に評価されるわけではなく、抜本的な対策が必要な場合や、構造変化への対応が求められる場合には、「一貫性」よりも「動くべきときに動く」ことが重要だと解釈できる。それが顧客のパフォーマンスにつながる。


*「Stewardship grades」を含めて、まだ十分な実証が得られているわけではありませんが、ちょっと気になる結果ではあります。日本でもこうした運用会社の定性評価が行われ、個人向けにも開示されるとよいですよね! 5月に行われたセゾン投信の「555セミナー」のトークセッションでモーニングスターの朝倉社長が「日本でも(将来的には)運用会社の評価もやりたい」と発言していらしたので、期待しています。



第4回投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ

2012-06-07 09:42:21 | 投信
第4回金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」(第4回)議事録と、議事要旨が公開されています。

この回は「前回(第2回)の"あるべき論"についての議論が十分とれなかったということで、次回(第4回)はその続きを行うということになりました。そのため、第2回でプレゼンと行ったメンバーも再度呼ばれたため(「委員から質問が出たら受けてください」ということで)、私も再び出席しました。

まずは、野村総研の金子さんから追加の資料が提出されたため、その補足説明。その後は、委員から1人ひとりからこれまでの回の議論を受けて意見を述べていく方式でした(引き続き、それぞれがそれぞれの立場から意見を言っておしまい、という感じでした…)。この日は特に私に対する質問もなく、最後に座長から意見を求められただけでした。なかなか議論が深まらず、参加したものの、消化不良な感じが否めませんでした。


金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」(第4回)議事録(平成24年4月27日)

金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」(第4回)議事要旨(平成24年4月27日)

<配布資料>
●金融審「投資信託・投資法人法制の見直しに関するWG」第4回資料(2012.04.27)
「金融自由化以降の投信マーケットの状況と今後の課題」補足:信託報酬の変化について
(そのほか、第2回で配布されたものが再度配布されています)

投信の手数料は、なぜ上がるのか

2012-06-05 08:37:19 | 投信
日経にこちらの記事が載っていました。

この問題については、今行われている金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」でも議論になった部分です。
第2回の議論・質問を受けて、野村総研の方が出してきたのが以下の資料。

金融審「投資信託・投資法人法制の見直しに関するWG」第4回資料(2012.04.27)
「金融自由化以降の投信マーケットの状況と今後の課題」補足:信託報酬の変化について

●運用報酬率の残高加重平均値はほぼ変化していない→信託報酬の高いタイプの投信の残高が拡大する一方で、カテゴリー別運用報酬率は概ねどの分類でも低下。
●代行報酬率(信託報酬のうち販売会社が受け取る分)の残高加重平均値は上がっているが、もともと報酬率が高いタイプの投信の残高が拡大した影響であり、タイプ別に見れば概ね横ばい

という主張です。ただ、これを見ると、結局「手数料の高い投信を売っている(=残高が増えている)からでは…」と思ってしまうのですが…。

ただ、「手数料高い! いや高くない!」論争を繰り返すのは不毛な気もします。
手数料を高くてもそれが投資家のためになっていると思うのであれば、その根拠、例えば信託報酬の高い投信を買った人のほうが運用成績がよい)を示してくれればいいわけですし(手数料と成績にはそれほど関連がないという検証結果が多いですが…)。一方、個人も資産形成が目的であれば、「しくみが複雑で」「手数料の高い」ものを、敢えて自分から購入しなければよいだけの気がします(買いたい方は止めません)。


日本版「キャピタル」を書ける日は来る!?

2012-06-01 20:05:09 | 投信
久々に読み返したのがこの本

過去にバンガードの取締役であり、『敗者のゲーム』の著者でもあるチャールズ・エリス氏ですが、米国独立系運用会社でアクティブ運用を行う『キャピタル』の本も書いています。しかも、まえがきを書いているのが『ウォール街のランダム・ウォーカー』の著書バートン・マルキール氏ですから、こちらもビックリですよね。

マルキール曰く「私たちのようなパッシブ運用信奉者からみてもキャピタルを取り上げる意味がある」として、以下の2つをあげています。

①1つは効率的な市場仮説の持つ本質的な逆説の中にある。市場が完全に効率的であるためには、新たな情報が瞬時に価格に反映されるように行動する、多数のプロのマネジャーの存在が必要だ。
②キャピタルの長期運用の非凡な成績にある。キャピタルの運用6つのアメリカンファンドは、直近の30年間、S&P500とウィルシャー5000両インデックスを大きく上回っているのだ。

私も、10年後くらいに(パッシブ・アクティブ問わず)日本で成功した独立系の運用会社の本を書いてみたいもの。さて、どこになるでしょうか…。いろいろ思うところはありますが、まだ心に秘めておきます。