About Money,Today

ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

インデックスファンド・ラボ

2007-09-26 19:16:38 | Weblog
 インデックスファンドの専門情報サイトがオープンしました。その名も「インデックスファンド・ラボ」。運営会社は投信情報館などを運営するトーキョー・インベスター・ネットワーク。代表の石川さんはション・C・ボーグル著『マネーと常識』(日経BP社)を翻訳を担当された方でもあります。
 オープンしたばかりなので、いまは「インデックスファンドとは?」といった基本的な情報に限られていますが、「インデックスファンドの基本・特徴、Q&A、インデックスファンドを支持する学者や著名人の意見、用語集、ファンド情報を提供しています。また、今後は、より詳細なファンド情報やデータなども順次揃えていく予定」と記されています。
 ちなみに、このサイトでは「インデックスファンドがどのようなファンドかご存じでしたか?」というQがありますが、「知っていた。投資したことがある」が86%を占めています。これはかなり驚きです! 裏を返せば、すでにインデックスファンドに興味を持っている人たちがその動向を注目しているということなのでしょうが・・・。米国だと「ETFコネクト」とったサイトが充実しています。日本でもインデックスファンドの情報・検索サイトが充実してくれば、一般の個人投資家にも認知度も高まっていくのではないでしょうか。期待を込めて応援していきたいですね。


基準価額を下げる理由

2007-09-21 14:18:43 | Weblog
 9月の新規ファンド一覧をみていたら、設定から11年経つアジア株投信の「3カ月決算型」の名前をみつけました。もともとある「アジア株投信」(こちらは1年決算)と実質的には同じ運用を行なう予定で、3カ月ごとの分配金が出るタイプとなっています。
 なぜ今頃、わざわざ3カ月決算のものを出すのだろうと思ったのですが、8月の日経金融新聞に掲載されていた営業部長氏の発言をみてみて、納得しました。
 もともとある投信は、1年決算で配金をほとんど出してきていないため、基準価額が5万円台に突入しています。本来、投信の基準価額は高いから割高、安いから割安ということはありません。しかし、誤解している人も多いのが現実です。インタビューでも、投信の基準価額は、株価とは異なりその高低と割高・割安は直接関係ないとしながらも、(この基準価額では)「感覚的に手を出しにくいもの事実のため、実質的に同じ運用内容で三カ月ごとに積極分配する投信を新規設定する」と述べています。そして、9月に新規設定されているわけですね。
 「高いと買いずらい」という誤ったイメージがある(つまり買ってくれない人もいる)から、新投信は積極的に分配金を出して基準価額を下げる方向のようですが、「それでいいのかなあ」と思ってしまいます。本当は個人投資家に向けて、懇切丁寧にそうした誤解を解いていくのが先のような気がするのですが・・・。


被害届は時価 !?

2007-09-18 14:17:21 | Weblog
生まれて始めて泥棒にモノを盗まれました。幸い部屋の中には入られなかったのですが、干してあった洗濯物を取られたため、悔しいのと気持ち悪いとで怒りがおさまりません。

110番通報をして、警察官が到着。指紋などをとっていきました。
そして、被害届を出すわけですが、被害品目は「時価」でだすのですね!?
「時価?」と戸惑っていると、「今、売るといくらですかね?」と聞かれました。
しかし、盗られたものは、減価償却したら(?)ほとんど価値がないものばかり。金額的にはほんとに少額になってしまいました。でも、新品を買い直したら、当然もっとお金がかかるわけで、やるせない気持ちに・・・。引っ越したばかりなのですが、再び引っ越ししたくなってしまいました。

ホントに勝ったのはどれくらい?

2007-09-13 23:12:58 | Weblog
 ちょっと前になりますが、9月4日の日経金融新聞に「日本株全般を対象とするR&I分類の国内株アクティブ型で、10年以上運用中の投信40本のうち75%がTOPIXを上回った」という記事がでていました(QUICK・QBR調べ)。
 一方、モーニングスターの調査では、日本の場合、10年以上の運用実績のある日本株アクティブファンドは平均でTOPIXを上回っている(本数ではOPIXを上回ったのは64本中31本と半分以下)という結果を報告しています。

 これだけみると、10年単位でみるとアクティブファンドが有利な気がします。しかし、本当にそうでしょうか。実際にはその途中で消えた(途中償還された)投信がたくさんあって、生き残った投信とインデックスで比較しているからです。
 この間、途中償還された日本株投信の正確な数字はわからないのですが、一昨年の金融審議会の中で、投信協会の副会長は「期限前償還は100件から200件、毎年行なわれている」と発言しています(日本株の投信だけでなく投信全体の数値)。
 できれば、10年前には何本の日本株投信があって、そのうち何本が途中で消えて、生き残ったファンドの何割が勝ったのか、正確な数値が知りたいところですね。

会社の健康保険

2007-09-11 23:37:45 | Weblog
 健康保険には、医療費が高額になっても自己負担を一定限度で抑えられる「高額療養費」という制度があります(計算は暦月単位)。例えば1カ月の医療費が100万円のとき窓口で1割負担の30万円を支払っても、実際の自己負担は9万円程度ですみます(一般所得者の場合、差額ベッド代などは別途かかる)。
 しかし、会社によってはさらに自己負担が少なくてすむケースもあります。例えば、高額療養費の附加給付として、1カ月あたりの自己負担の限度額を法律で決まっている金額より低い金額に設定している会社もあるからです。1カ月の自己負担額の上限を月3~5万円に設定している会社はけっこう聞きますが、中には2万円という会社も。先日知人のFPの方が研修でおじゃました会社はなんと1万5000円だったとか(自営業の私にはすごくうらやましいです)。
医療保障を考えるときには、民間の医療保険の比較から始めてしまいますが、その前に会社の健康保険の内容を一度確認しておくことをおすすめします。意外と恵まれている方もいると思います。

ETFの積み立て

2007-09-10 20:28:22 | Weblog
ETFの件で別の方から質問が来ましたので、再び考えてみたいと思います。

<質問>
野村證券ほっとダイレクトの「積立て倶楽部>株式積立て」で< TOPIX 連動型上場投資信託(1306)>の積み立てを始めました。
 購入の際の手数料は(税別で) 1.1% 、それ自体は決して安いとは申せませんが、長期投資であれば、信託報酬などの安さ故、ノーロードの TOPIX 連動型非上場インデックスファンドの積み立てよりも安く済みます(よね?)。
配当金が出たときには(リバランスしつつ)積み立て金の微増など行なえば、複利効果も、それなりに在るかと思います。

●それに対して
野村證券ではETFが「株式積み立て」(るいとう)の対象になっているので、ETFの積み立てができます。手数料は1.155%(税込)、2年目からは口座管理料が3150円かかります。
ご指摘のとおり、購入時の手数料、信託報酬などを加えても、ノーロードのTOPIX連動型インデックスファンドの積立をするよりも総コストは安くすみます。また、配当金も保有株数に応じて按分され、全額再投資されるため、複利効果も高いです。

ですから、複数口座を持っても「しっかり管理できる」「リバランスも面倒でない」という方は、この方法がよいと思います(そうしたことが難しい場合はインデックスファンドの積立でもよいと思います)。

分配金の再投資

2007-09-05 19:25:55 | Weblog
投信には「分配金再投資コース」を選べるものもあります。これは決算時にでた分配金を決算日の基準価額で追加購するしくみなので、複利運用をするなら、分配金を受け取らずに再投資する「再投資コース」を選びましょう。ただし、この場合も、分配金から税金が差し引かれた後の金額(税引き後の分配金)が再投資されます。ですから、「毎月分配型」で「再投資コース」を選ぶのは効率的とはいえません。
また、年1回分配金を出るタイプであっても、なるべく分配金を出さずに内部で再投資してくれる投信のほうが、複利効果は高くなります。そこで、目論見書で「分配方針」を確認するとともに、「運用レポート」や「運用報告書」で実際にいくらくらいの分配金を出してきたかという実績も併せて確認しましょう。
例えば、同じTOPIX連動型の投信でも分配金を出していないものもあれば、毎年1回分配金を出しているものもあります。

ETFの複利効果

2007-09-03 23:05:19 | Weblog
読者の方から以下の質問が来ていましたので、考えてみたいと思います。

(質問)
本の中で、TOPIX連動のインデックスファンドとETFの比較表が出ていましたが、複利効果という面ではどちらが有利なのでしょうか?
長期運用を考えているのでこの点が非常に気になりました。ETFの配当金=投信の分配金 と考えればよいのでしょうか? その場合、投信は自動的に再投資されるがETFは自分で再度購入しなければいけない、その程度の違いという捉え方でよいのでしょうか。
(ここまで)

 ETFはインデックスファンドに比べて信託報酬が安いため、より長期投資に適した商品ともいえますが、2つデメリットがあります。

 1つはインデックスファンドに比べて購入金額が大きくなることです。例えば、TOPIX連動型上場投資信託(1306)というETFの場合、100口単位でしか取引できないので、最低でも約16万円の資金が必要になります。売却するときも、同じく100口単位になります。

 そして、2つ目がご指摘のように「配当金(=投信では分配金にあたります)」が再投資できないことです。これはETFが税制上、「株式」の扱いになっているためです。ですから、投資信託のように分配金を再投資してくれる仕組みはなく、配当金を受け取るしか選択肢はありません。ちなみに、今期の配当金は100口購入していた場合、1600円、10%の税金が引かれるので、手取りは1440円になります。もし税引き後の配当でETFに再投資できるほどの配当をもらうには1万2000口(約2000万円弱)程度を保有していなくてはならないので、よほど潤沢に資金のある人でないとむずかしいですね。
 そうなると、自力で再投資をするには、今のところ受け取った配当でTOPIX連動型のインデックスファンドを買うしかありません。これは結構面倒ですし、インデックスファンドを購入していってもETF自体に再投資するほどの効果は得られません。
 また、毎月ETFを買っていくというのも厳しいので(「るいとう」ができる証券会社はありますが手数料が高い)、複利効果もさることながら、インデックス投信の積み立てと比べて、ETFは購入タイミングにも収益が左右されるということもあります。

 これはけっこう悩ましい問題です。現状では投資金額の少ないうちはインデックスファンドを積み立てていき、ある程度まとまった金額になった段階でETFにシフトするというのが現実的でしょうか。私は日本株の場合、投信の積み立て+暴落時にETFを買い増すという方法を取っています。米国では「配当金の再投資プラン」というのがあるそうなので、日本でも取り入れてほしいものです。