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ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」の最終報告

2012-12-20 20:33:45 | 制度・税制
今年3月から13回にわたって行われてきた、金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」の「最終報告」が公表されています。
●投信の併合手続きの見直し
●運用報告書の改善
⇒2段階化…運用に関する重要事項を絞って掲載する「交付運用報告書」とより詳細な運用状況を説明する「運用報告書(全体版)」に分ける
⇒「交付運用報告書」は他の投信と比較可能な方式で該当投信の現在と過去を状況を記載。グラフや図の活用と平易な文章による解説。
⇒見直しに具体化にあたっては、実務家を中心に、投資家の意見も交えて、さらなる記載方法の検討を行うことが適当  などと記載されています。
詳細は最終報告をご覧ください⇒こちら
  
今回のWGについて、特に運用報告書については、投信保有者が読みやすいものに改訂してほしいとの思いから、活動を行ってきました。
 
(1)今年7/20に「投資信託の運用報告書と情報開示について考える緊急フォーラム」を開催し、個人投資家や評価機関、FP、投信実務に関わる方などと意見交換を行いました。
 
この時の模様をまとめたのが『7・20緊急フォーラム報告書 投信利用者からの提言 〜 わたしたちが望む運用報告書とは〜』はフォスター・フォーラムのホームページで見ることができます⇒こちら
(2012年7月の活動履歴:)
 
この緊急フォーラムの報告書は8月中旬に金融庁と投信協会に提出しました。

(2)12/7のWGの最終回で、意見・報告書を、緊急フォーラム主宰者3名(永沢裕美子さん・島田知保さん・竹川)の連名で提出しました。7/20の緊急フォーラムをもとに「交付運用報告書案」(日本株投信とファンド・オブ・ファンズ)も作成しました。
詳しくはこちら   (これがベストとは思っていません。あくまでもたたき台です。ぜひご覧いただき、意見を頂戴できれば、と思います)

運用報告書のより具体的な検討はこれからです。投資家の意見を汲んだ、分かりやすいものになってほしいと思います。
 
<ご参考>●フォスター・フォーラム(良質な金融商品を育てる会) 永沢裕美子委員が投資信託に関する部分について、評価できる点と残念・課題として残された点を報告しています⇒こちら

日本版ISAのシンポジウムに参加しました

2012-12-10 18:57:30 | 制度・税制

今日の午後は「カウントダウン日本版ISA 開くか投資の時代」と題したセミナーがありました(格付投資情報センター(R&I)主催)。私は第3部「どうなる個人の資産形成 日本版ISAの効果と課題」でパネリストとしてお話をしてきました。

日本版ISAというのは「少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得などの非課税措置」と称される個人投資家向けの非課税口座のこと。フィデリティが日本版ISA情報サイトをオープンしているので、概要についてはそちらをご覧ください→こちら

日本版ISA、金融庁の税制改正要望に「国民の資産形成を支援する観点から金融証券税制の抜本的見直し」という文言が入っています。本来、リスクをとって長期的に運用できるのは、将来的な稼ぎ力のある資産形成層。そういう人たちを支援するための制度であると打ち出した点は評価しています。

ただ、理念・コンセプトと「制度設計」が合致していない部分も…。ということで、改善要望を挙げました。

①金融庁の要望で5年間とされている「非課税期間」を恒久化してほしい(→平成25年度の税制改正要望で金融庁は恒久化を打ち出していますが、ここでいう恒久化というのは「投資可能期間のこと」。「最初の非課税期間5年」が経過したあと、新たな「ISA口座」の枠に移行するか、特定口座あるいは一般口座に移行する形になっています。例えば、投資した100万円が5年経って120万円に増えていた場合、100万円を超えた分は新たなISA口座に移せず「特定口座」に行ってしまうなど、複雑です…)

②ISA口座内で「リバランス」ができるようにしてほしい 

③投信の収益分配金等の再投資をした場合、年間買い付け額の対象とせず、拠出額に不算入としてほしい(→いまは再投資した分は新たな買い付けとみなして、非課税額がその分減ってしまいます。まあ、分配金を極力出さない投信を選ぶという選択肢もありますが、分配金が出た場合に再投資する分まで新たな買い付けとみなすというのはちょっと…)。

④将来的には累積投資残高の上限を撤廃してほしい(→日本版ISA口座で非課税枠を超えた分を売却したり、特定口座に移行したりするのはわかりにくいですし、「ISA口座」内でコツコツ資産をふやしていくということができません。非課税期間の恒久化が無理なら、5年でロールオーバーする際にせめて時価でそのまま「ISA口座」に移行させてほしいです)。

⑤改善要望を踏まえて、早期の制度改善をしてほしい

*それ以外にも、ISA口座は、特定口座とは損益通算できないなど、注意すべきことがたくさんあります。

*イギリスのISAについては「シンプル」な制度設計をめざしているとのこと。また、スタートから改善を重ねて今の形になったというお話をうかがいました。投資家も含めて、要望を出していき、資産形成を支援する制度に沿った内容になることを期待しています。