今日の午後は「カウントダウン日本版ISA 開くか投資の時代」と題したセミナーがありました(格付投資情報センター(R&I)主催)。私は第3部「どうなる個人の資産形成 日本版ISAの効果と課題」でパネリストとしてお話をしてきました。
日本版ISAというのは「少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得などの非課税措置」と称される個人投資家向けの非課税口座のこと。フィデリティが日本版ISA情報サイトをオープンしているので、概要についてはそちらをご覧ください→こちら
日本版ISA、金融庁の税制改正要望に「国民の資産形成を支援する観点から金融証券税制の抜本的見直し」という文言が入っています。本来、リスクをとって長期的に運用できるのは、将来的な稼ぎ力のある資産形成層。そういう人たちを支援するための制度であると打ち出した点は評価しています。
ただ、理念・コンセプトと「制度設計」が合致していない部分も…。ということで、改善要望を挙げました。
①金融庁の要望で5年間とされている「非課税期間」を恒久化してほしい(→平成25年度の税制改正要望で金融庁は恒久化を打ち出していますが、ここでいう恒久化というのは「投資可能期間のこと」。「最初の非課税期間5年」が経過したあと、新たな「ISA口座」の枠に移行するか、特定口座あるいは一般口座に移行する形になっています。例えば、投資した100万円が5年経って120万円に増えていた場合、100万円を超えた分は新たなISA口座に移せず「特定口座」に行ってしまうなど、複雑です…)
②ISA口座内で「リバランス」ができるようにしてほしい
③投信の収益分配金等の再投資をした場合、年間買い付け額の対象とせず、拠出額に不算入としてほしい(→いまは再投資した分は新たな買い付けとみなして、非課税額がその分減ってしまいます。まあ、分配金を極力出さない投信を選ぶという選択肢もありますが、分配金が出た場合に再投資する分まで新たな買い付けとみなすというのはちょっと…)。
④将来的には累積投資残高の上限を撤廃してほしい(→日本版ISA口座で非課税枠を超えた分を売却したり、特定口座に移行したりするのはわかりにくいですし、「ISA口座」内でコツコツ資産をふやしていくということができません。非課税期間の恒久化が無理なら、5年でロールオーバーする際にせめて時価でそのまま「ISA口座」に移行させてほしいです)。
⑤改善要望を踏まえて、早期の制度改善をしてほしい
*それ以外にも、ISA口座は、特定口座とは損益通算できないなど、注意すべきことがたくさんあります。
*イギリスのISAについては「シンプル」な制度設計をめざしているとのこと。また、スタートから改善を重ねて今の形になったというお話をうかがいました。投資家も含めて、要望を出していき、資産形成を支援する制度に沿った内容になることを期待しています。