About Money,Today

ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

金融庁の「平成23年度税制改正要望項目」の発表

2010-08-30 20:15:42 | リンク
金融庁が「平成23年年度税制改正要望項目」について発表しました(発表は田村政務官より)

具体的な要望項目としては

◆上場株式等の軽減税率の延長
◆金融商品に係る損益通算範囲および損失繰越期間の拡大
などいくつかの項目があがっています。

詳しくはこちら

・上場株式等の軽減税率の延長については平成23年末に期限切れになるが、現在の経済金融状況を考えて、平成24年以降も引き続き延長を行いたい。
・どの程度延長するのか、中期的な見通しについては現在詰めているところ。
・軽減税率の恒久化については大勢の意見ではなく、現時点では全く考えていない。

・金融一体課税についても広げる範囲なども含めて今後詰めていく。

・損失繰越期間の拡大について。損失の繰り越し期間はドイツが10年、アメリカ、フランス、イギリスについては無期限。日本の3年は極めて限定的なので、できれば無期限にしたいが、少なくとも3年よりは延長したい

・(軽減税率の延長があるなしにかかわらず)、小規模投資非課税制度(日本版ISA)については平成24年に導入することは決まっている。
・日本版ISAの詳細については平成22年度税制改正で決まったものから変更はない。

・その他の要望事項として、(企業年金全般にかかる)「特別法人税の撤廃」についても記載があります⇒自分も含めてですが、401k加入者に関心の高い問題かと思いますので、引き続きウオッチします。

*今日の段階ではまだ中長期的な見通しについては詰めている段階といった返答が多かったですね。9月中旬の内閣改造までにはもう少し詰めた内容をということでした。


下がっているときに投資をはじめて大丈夫?

2010-08-29 23:43:09 | リンク
「投資信託にだまされるな! 2010年最新投信対応版」をお読み頂いた方から質問を頂戴しています。可能なものから順番にお答えしていきたいと思います。

◆質問の抜粋

現在、日本は円高です。
日経平均も9000円を割り込みました。

このタイミングは投資信託を始めるのには適した時期なのでしょうか。
それとも待ったほうがいいのでしょうか?
(ここまで)


2001年の米国同時多発テロをはじめ、さまざまな事件や事故が起こるたびに、世界的に株価が急落することはありますし、これからもそうしたことは起こりうるでしょう。
 しかし、著書でもご説明したように、過去の例でいえば、投資対象・資産を分散して長期運用を心がければ、いつから運用をスタートしてもそれほど大きな差はつきませんでした。いつから投資を始めるかよりも、資産を分散して長期的な運用を行うことのほうが、実は大切だと考えます。
 また、考えかた次第ですが、株価が低迷しているときに投資をスタートできるのは安いときに買えるという意味で、むしろラッキーととらえることもできます。ただし買った後も下がり続けることが怖いという場合は、少しずつお金を投じるか、自動的に毎月一定額を買い付けていくような「自動積み立て」の設定をしてしまうといいと思います。


*質問メール頂いている方へ
たくさんの質問が寄せられているため、可能なものから順番にお答えしていきたいと思いますが、すぐにお答えできるとは限りません。ご了承ください)。




増刷決定

2010-08-18 15:59:54 | リンク
『投資信託にだまされるな! 2010年最新投信対応版』の増刷が決定しました。
ご購入いただいた皆様、有り難うございます。

また、引き続き、ブログなどでご紹介いただきました。感謝!です。

株式会社日本生活設計
デイリーニュース「投資信託にだまされるな!」2010年版発行

生命保険の罠-保険営業マンは「お勧め保険」に入っているの?
「投資信託にだまされるな!」 (2010年 最新投信対応版)

Site.M from 新所沢
投資信託にだまされるな! 竹川美奈子 新書

読書と投資のブログ
投資信託にだまされるな! 新版

<2010.08.28追加>
travelbookcafe ビジネス書と投資のブログ
投資信託にだまされるな![新版]

日経マネーブログ
バッサリ!こんな投信は買ってはいけない
http://nikkeimoney.cocolog-nifty.com/blog/

D.I.'s Memorandum
投資信託にだまされるな![新版]

naniyueの本棚
投資信託にだまされるな! [新版]

広島FPブログ
投資信託にだまされるな!



資産形成+社会形成

2010-08-17 19:29:28 | リンク
個人の「資産形成」を考えると、インデックスファンドやETFを活用して、長期・分散・低コストをたんたんと実践していくことのが現実的だと思います。

そのいっぽうで、社会形成という視点。自分の投じるお金がどこに向かうのか、それによって社会がどう変わるのか、変わってほしいのかを少しだけ意識してみることも必要なのではないかと思う今日この頃です。

以前、大和証券グループ本社CSR室長の河口真理子さんに「持続可能な社会と投資を考える-SRIからESG(Environment,Social,Governance)、インパクト投資へ」と題したお話を伺いましたが、SRI拡大の背景として欧州の法規制や年金基金によるSRI投資の採用などがあるが、日本はまだこれからというお話をされていました。

「お金の出し手が変わればお金は変わる」という意味で、自社の企業年金や保険、銀行預金の運用先などにもっと関心を持ってもいいという指摘もされていました。

また、昨日の日経新聞5面には、三菱ケミカルホールディングス社長の小林喜光氏がMOS(マネジメント・オブ・サステナビリティ)という視点を加えた経営について語っていました。

今後はESG(環境・社会・ガバナンス)やMOSといった視点での投資も少しだけ加えてみてもいいかもしれません。もっとも、従来のSRIファンドは、投資先の銘柄があまりインデックスファンドと変わらなかったり、設定時に資金を集めてもその後は資金が流出していくいっぽうだったりというものも少なくありませんでした。理念に加えて、しっかりした商品だというのがもちろん大前提です。個別の株に投資するという選択肢もあるでしょう。

来週、CFA協会主催のセミナーがあり、そこでもESG(環境・社会・ガバナンス)支店のコーポレートコミュニケーションがテーマなので、じっくり話を聞いてきたいと思います。



STAM信託報酬引き下げで取り分が減ったのはどこ?

2010-08-10 17:37:57 | リンク
7月末にSTAMインデックスシリーズの信託報酬が引き下げられました。信託報酬(運用管理費用)は運用会社(委託者)、販売会社、信託銀行(受託者)の三者で折半されます。

引き下げにより、誰の取り分が減ったのかを「EDNET」でみてみました。
https://info.edinet-fsa.go.jp/E01EW/BLMainController.jsp?1281428703048

●STAM グローバル株式インデックス・オープン

<訂正前>信託報酬:年率0.7770%(税抜0.74%)
委託者: 年率0.3465%(税抜0.33%)
販売会社:年率0.3675%(税抜0.35%)
受託者 :年率0.0630%(税抜0.06%)

<訂正後>信託報酬:年率0.6300%(税抜0.60%)
委託者 :年率0.2415%(税抜0.23%)
販売会社:年率0.3255%(税抜0.31%)
受託者 :年率0.0630%(税抜0.06%)


●STAMグローバル債券インデックス・オープン

<訂正前>信託報酬:年率0.672%(税抜0.64%)
委託者 :年率0.315%(税抜0.30%)
販売会社:年率0.315%(税抜0.30%)
受託者 :年率0.042%(税抜0.04%)

<訂正後>信託報酬:年率0.5775%(税抜0.55%)
委託会社:年率0.2415%(税抜0.23%)
販売会社:年率0.2940%(税抜0.28%)
受託者: 年率0.0420%(税抜0.04%)

●STAM 新興国株式インデックス・オープン

<訂正前>信託報酬:年率0.8715%(税抜0.83%)
委託者 :年率0.3990%(税抜0.38%)
販売会社:年率0.4095%(税抜0.39%)
受託者 :年率0.0630%(税抜0.06%)

<訂正後>信託報酬:年率0.6825%(税抜0.65%)
委託者 :年率0.2625%(税抜0.25%)
販売会社:年率0.3570%(税抜0.34%)
受託者 :年率0.0630%(税抜0.06%)


●STAM TOPIXインデックス・オープン

<訂正前>信託報酬:年率0.4830%(税抜0.46%)
委託者 :年率0.2100%(税抜0.20%)
販売会社:年率0.2205%(税抜0.21%)
受託者 :年率0.0525%(税抜0.05%)

<訂正後>信託報酬:年率0.4725%(税抜0.45%)
委託者 :年率0.1890%(税抜0.18%)
販売会社:年率0.2310%(税抜0.22%)
受託者 :年率0.0525%(税抜0.05%)

ご覧いただくとわかるように、受託者(信託銀行)は変更なし。
委託者(運用会社)と販売会社の取り分を引き下げています。
そして、両者のうち、販売会社引き下げ分は数%から10%台なのに対して、運用会社は20%~30%台の引き下げを行っていて、委託会社がかなりガンバッているのがわかります。
(TOPIX連動型にいたっては販売会社の取り分は増えています)

書評

2010-08-10 14:10:41 | リンク
先週6日に発売になされた『投資信託にだまされるな! 2010年最新投信対応版』について、夏休み時期にもかかわらず、早くもブログなどでご紹介いただきました。有り難うございます!! 

梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー
「投資信託にだまされるな![新版]」(竹川美奈子著)は今まさに金融機関から投信をおすすめされているかたにこそ読んでほしい

rennyの備忘録
投資信託にだまされるな!【新版】

まっきーの議事録
「投資信託にだまされるな」

【京極・出町/京都】年金アドバイザーの毎日
「投資信託にだまされるな!」を読みました

おフランス風味
投資信託にだまされるな![新版]


「第一回SMBC商品・サービス意見交換会」に行ってきた

2010-08-09 23:35:12 | リンク
先週の金曜日、三井住友銀行の商品・サービス意見交換会がありました(メディアとファイナンシャルプランナー向け)。

今回のテーマは「住宅ローンマーケットの動向と当行の取り組み」と「インターネットを通じた商品・サービスの提供について」の2つ。

インターネット専用の投資信託についての説明があったので、そちらについてご報告します。2009年からインターネット・モバイル専用の投信の取り扱いを開始。現在、30ファンドを取り扱っています。また、大手メガバンクでは唯一毎月1000円から積み立てができるのが特徴です。

インターネット・モバイル専用ファンドのラインナップ

海外株式は韓国株、ベトナム株、天然資源株など、エッジが立った商品多いですね・・・。
そこで、30商品を選定した基準、1000円積立の実施による影響について質問しました。

◆以下、返答です。

(30ファンドは)1つは(投資の)ベテラン向けにと考えた。
店頭では説明できるコアな商品を扱っているが、特定の国や分野について説明するのは難しい部分もある。そうしたものについては(ベテランの方に)ネットで購入していただく。
もう1つは初心者にも手軽に購入してもらうためだ。

積立金額を1000円に引き下げたことで申込み件数は増えた。とくに30~40代の男性が多く、店頭とは異なる顧客層であると認識している。


◆以下、個人的な感想です。
店頭とネットで商品を分けていますが、個人的には店頭で取り扱う商品を充実させ、それをネットで販売手数料を引き下げて取引できればよい気がしますが、現状では「同じ商品を販売チャネルによって変える予定はない」とのこと(店頭の商品もネット取引はできますが手数料は同水準)。

また、同行に限らず、銀行の投信のラインナップをみると同グループや以前からお付き合いのある運用会社の商品が多い傾向があります。資産管理のしやすさから「低コストで資産形成に適した商品があれば銀行で投信の積立をしたい」というニーズもあるだけにもったいないなと感じます。

チャールズ・エリス氏がやってくる

2010-08-04 18:23:11 | リンク
ロングセラーで投資家必読の『敗者のゲーム』の著者で、インデックスファンド運用最大手バンガード・グループの元社外取締役のチャールズ・D・エリス氏が9月に来日し、都内で講演を行います。

詳細は
チャールズ・エリス氏セミナー開催


講演は2日間行われます。私は9月12日に東京有楽町に朝日ホールで行われる講演会のあとに行われるパネルディスカッションに参加します。いまから楽しみです。

また、雄牛と熊と欲豚とクマーな投資ブログで知ったのですが、『敗者のゲーム』第5版になっているのですね。

Winning the Loser's Game, Fifth Edition: Timeless Strategies for Successful Investing

英語の得意な方は講演を聞かれる前に読んでおくとよいかも-。日本語版はまだ出ていないみたいです。

*追加情報(2010.08.05)
今年12月に日本経済新聞社から日本語版が出版されるそうです(7年ぶりの改訂)。


インデックス投資ってはやっている?

2010-08-02 17:23:32 | リンク
先日、ある雑誌の方に「インデックス投資ってはやっているんですよね?」と聞かれました。改めてそう質問されるとそれほど流行っていないような・・・。

投信協会HPで、株式投信(追加型)の商品分類別内訳(2010年6月末)をみてみると

純資産総額でみた、公募型株式投信に占める割合は
・インデックスファンド:3.1%
・ETF       :4.8%

両方合わせても7.9%ほどにすぎません。

ちなみに、昨年10月末時点では

公募型株式投信に占める割合(純資産総額)は
・インデックスファンド:3.2%
・ETF:      :4.9%
   
合計:8.1%です。

ここでいうETFは国内の取引所に上場するものだけなので、実際には海外ETFを含めるともう少し比率は上がると思いますが、流行っているといえるほどではありませんね。

そもそも金融資産に占める投信の割合は4%程度ですから、そのうちの8%だと、金融資産に占めるインデックスファンド+国内ETFの比率は0.3%程度にすぎません。

よくいえば、まだまだ普及余地はあるということだと思います。

*訂正:実際は0.3%よりさらに低いです(インデックス型は公募型株式投信の8%程度ですが、実際には公社債投信なども加わるので)。