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ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

12月から投資信託のトータルリターン通知制度がスタート

2014-10-31 18:32:04 | 投信

今年12月から投信のトータルリターン通知制度がスタートします。

<参考>
2014/10/27付 日本経済新聞 朝刊
投信成績分かりやすく 通算損益を通知・報告書に簡易版-12月に改正法施行 分配金偏重を是正

日本では、毎月分配型、中でもたくさんの分配金がもらえる投信が人気ですが、たくさん分配金を受け取っても、基準価額が下がってしまいトータルでは損益がマイナスということもありえます。そもそも投信の損益については、基準価額の値動きと分配金の両方をあわせてみる必要があるのです。それに、投信を1回で購入し、一度にすべての投信を解約するというケースばかりではありません。保有する投信を買い増したり、一部を解約したりすることもあるでしょう。そうなると、自分で記録をとっておかないと「結局どれくらい儲かっているのか(あるいは損しているのか)」がわからなくなってしまいます。

そこで、投資判断をするときに分配金の金額だけに偏らないように、そして、損益を把握しやすいようにということで、今年12月から導入されるのが「トータルリターン通知制度」です。トータルリターンというのは、投資信託を購入した時点から現在までの投資期間全体における受け取ったすべての分配金を含む損益のこと。銀行や証券会社など、投信の販売を行っている金融機関は、投信を保有する顧客に対して、投信のトータルリターンを定期的に通知しなくてはならなくなります。

●トータルリターンの計算方法は以下の通りです。

トータルリターン=(「①評価金額」+「②累計受取分配金額」+「③累計売付金額」)-「④累計買付金額」

*計算要素はそれぞれ
①評価金額・・・・・計算基準日時点で顧客が保有する投信の評価金額
②累計受取分配金額・・・保有期間中に受け取った分配金の累計額
③累計売付金額・・・保有期間中に当該投資信託を一部換金した際の売却金額の累計額
④累計買付金額・・・投信の買付金額の累計額


これにより、保有する投信について、初回購入時から、追加購入・一部解約、分配金の受取りをすべて反映した現在の合計損益(=トータルリターン)がひと目でわかるようになります。適用となるのは12月以降に新たに買い付ける投資信託ですが、金融機関によっては保有している投信に対しても、トータルリターンを算出するようです。また、通知される頻度は年1回以上、通知方法は、書面のほか、FAXやメール、WebなどでもOKとされています。WEB上で日々みられる金融機関もあれば、年1回の通知にとどめる金融機関もあるかもしれません。その辺は金融機関によって差がでそうです。

また義務化は12月からですが、それに先駆けて、大手ネット証券の1つ、楽天証券は2014年8月末から「投資信託のトータルリターン通知サービス」を開始しています。Webコンテンツもなかなか充実しています(詳しくはこちら)。
そのほか、独立系直販投信の鎌倉投信では2014年2月3日から、オンラインサービスMy鎌倉倶楽部でトータルリターンの開示をはじめています→こちら

最後に、注意点も押さえておきましょう。

・率ではなく、金額で表示されます
→トータルリターンというと、「○%のプラス」とか「○%のマイナス」といった率で表示されそうですが、前述の計算式をご覧いただくとわかるように、損益は金額で表示されます。

・累計受取分配金額、基本は税引き
→受け取った分配金については税金を差し引いた金額が使用されますが、「分配金受渡金額は税引前の金額を用いることもできる」とされているため、どちらを利用しているのかは確認したほうがよさそうです(前述の楽天証券は税引き後、鎌倉投信は税引き前で計算されています)。

・投信の評価損益とは異なるため、税額計算には利用できません。

投資信託を保有している方は、12月以降にぜひトータルリターンを確認してみてください。


1年間継続して資金純増のファンド(2014年9月末時点)

2014-10-27 12:02:55 | 投信

『投資信託事情』2014年11号が届きました。毎月恒例の「1年間継続して資産純増の人気ファンド」を見てみましょう。これは1年以上継続して、資金の流入額から解約額を差し引いて、資金が純増している投信を調べたものです。

2014年9月末時点で「1年間継続して資産純増のファンド」(純資産30億円以上、DC、SMAなどの専用ファンドを除く)は77本(前月比+4本)。順位は1年間の資金増加額の順です。ここでは年1回・年2回決算のものをピックアップします。

17位:コア投資戦略ファンド<コアラップ(成長型)>(三井住友トラストAM)

22位:野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信・米ドルコース・年2回(野村AM)
26位:MHAM物価連動国債ファンド<未来予想>(みずほ投信)

33位:グルーバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド(国際投信)
34位:コア投資戦略ファンド<コアラップ(安定型)>(三井住友トラストAM)

42位:トレンド・アロケーション・オープン(国際投信)
44位:日本物価連動国債ファンド(大和投信)

53位:ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(ピクテ投信)
55位:ワールド・バリュー・アロケーションBコース・為替ヘッジなし(アムンディ)
56位:クローズコントロール(DIAMアセット)
57位:UBSコア・コンサバティブ・ファンド (USB AM)
58位:投資のソムリエ(DIAMアセット)

61位:のむラップ・ファンド・保守型(野村アセット)
62位:結い2101(鎌倉投信)
63位:ダイワ日本国債ファンド(年1決算型)
65位:フィデリティ・USハイイールド・ファンド/資産成長型(フィデリティ投信)
66位:スマート・ファイブ・1年決算型(日興アセット)
67位:eMAXISバランス<8資産均等型>(三菱UFJ投信)
68位:<購入・換金手数料なし>ニッセイJリートインデックスファンド(ニッセイAM)
69位:ピクテ・アセット・アロケーション・ファンド<1年決算・ノアリザーブ1年>(ピクテ投信)
70位:SMT国内債券インデックス・オープン(三井住友トラストAM)

72位:BNYメロン・リアル・リターン・ファンド・1年決算型<ノアリザーブ1年>(BNYメロン)
73位:しんきん公共債ファンド<ハロー・インカム>(しんきんAM)
74位:DIAM外国債券パッシブ・ファンド(DIAMアセット)
75位:エマージング・ソブリン・オープン・1年決算型(国際投信)
76位:三菱UFJライフセレクトファンド(安定成長型)
77位:三菱UFJ海外債券オープン(三菱UFJ投信)

*結い2101(鎌倉投信)に加えて、eMAXISバランス<8資産均等型>も3年以上資金純増に! SMT国内債券インデックス・オープン(三井住友トラストAM)は2年以上資金純増となっています。

*クローズコントロール、投資のソムリエ、ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド・1年決算型がランクイン。一方、バリュー・ボンド・ファンド/為替ヘッジなし/年1回決算型(三菱UFJ投信)、のむラップ・ファンド・普通型(野村アセット)、グローバルCBプラス<Wレインボー・ヘッジなし>(国際投信)、フィデリティ・USリード・ファンド/資産成長型D(フィデリティ投信)がランク外に。


「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2014」に関するお知らせ(その2)

2014-10-20 10:38:47 | イベント

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2014」のWebサイトが公開されました
→ こちら です。

今年で8回目になります。
投信ブロガーの皆様、Webサイトをご覧の上、投票をお願いいたします。
より多くの方に投票していただきたいので、告知・拡散もご協力いただけると嬉しいです。

●投票期間:2014年11月1日(土)から11月30日(日)まで
●投票資格:“投信ブロガー”であること。2014年9月30日までにブログを開始していること。
●対象となる投資信託:2014年10月31日までに設定された投資信託(ETF含む)。海外籍ETFについては、日本の証券会社を通じて買付可能なものを対象とします。
●結果発表:2015年1月9日(金)19時より都内で「表彰式イベント」を開催致します(場所等は近日発表予定。スケジュールを空けておいてくださいね!)

*このイベントはコツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ(東京)の幹事を一緒にやっているrennyさんが運営委員長を務めているので、私も微力ながらお手伝いをします。


投信概況(2014年9月末時点)

2014-10-19 19:16:17 | 投信

2014年9月末時点の投信概況についてみていきましょう。発表元は一般社団法人 投資信託協会です。

●全体の概況

契約型公募証券投資信託の純資産は87兆16485億円(前月比+1兆2084億円)となっています。

内訳は
・株式投信:71兆7446億円(前月比+7467億円。うち、運用等増4079億円)
・公社債投信(MMF含む):15兆3718億円(前月比+4616億円)

●運用状況(9月中)

・国内株式→4033億円の売越し
・外国株式→871億円の売越し
・国内公社債→1兆2838億円の売越し
・外国公社債→1082億円の売越し


●主体別残高状況 

・証券会社経由: 57兆3,265億円(株式投信:42兆6,266億円、公社債投信14兆6,999億円)→シェア65.8%
・銀行等 経由: 28兆5,523億円(株式投信:28兆5,523億円 、公社債投信:6,691億円)→シェア33.5%
・投信会社経由(直販): 5,658億円(株式投信5,658 億円、公社債投信20億円)→シェア0.7%

*公社債投信はMMF含む。

 


個人型確定拠出年金に誰でも入れるようになる!?

2014-10-15 11:57:22 | 確定拠出年金

昨日から議論にのぼり、今日の朝刊各紙でも取り上げられているのが「個人型確定拠出年金(以下、個人型DC)の対象者拡大・利便性向上」に関する記事です。

具体的には
・厚生労働省は個人型確定拠出年金(個人型DC)の制度を見直し、誰でも加入できるようにする方針を固めた(→現在は自営業やフリーランスといった第一号被保険者と、企業年金制度のない会社員に限られる)
・これにより、現在は認められていない専業主婦や、別の企業年金に加入している会社員、共済に加入している公務員なども、個人型DCに加入できるようになる
・転職など働き方の変化にも対応した制度に作り替える
・今後、制度改正の詳細を詰め、来年の通常国会で関連法案の成立を目指す
といった趣旨です。

<参考>
日経:確定拠出年金に誰でも加入、主婦・公務員も 厚労省案
時事:「個人型」、誰でも加入可能=確定拠出年金の改革案-厚労省

この記事の元になっているのは、昨日(2014.10.14)開催された第10回社会保障審議会・企業年金部会(厚労相の諮問機関)での議論。議事録はまだ公開されていませんが、資料については厚生労働省のHP上にアップされています。この中の「資料2 ライフコースの多様化への対応」で、個人の自助努力を支援する仕組みと論点として、個人型DCや企業型DCのマッチング拠出などについて記載されています。

第10回社会保障審議会企業年金部会 資料
資料2 ライフコースの多様化への対応(PDF:2,554KB)


今回傍聴できなかったため、参加された方にお話をうかがったところ、「記事はやや勇み足ではないか」と言われました。委員のみなさんも方向としては賛成だが、様々な意見があり、会としてこれから議論が必要というトーンだったとのこと。結論が固まったというわけではないようです。

とはいえ、厚生労働省がそうした姿勢を出してきたことは評価できますし、資産形成において自助努力が必要になる中、個人型DCの対象者の拡大・普及、利便性の向上(ポータビリティなど)はよいことです。
私は昨年から数カ月に1度、個人型DCのセミナーを行ってきましたが、「将来、転職した先が確定給付企業年金(DB)を実施していたら」、あるいは女性の方だと「結婚して万一第三号被保険者になったら」といった質問や不安、それに伴い個人型DCへの加入を躊躇する声をよくききました(DBのみ実施する企業に転職したり、第三号被保険者になったりすると、運用指図者となり、掛け金を追加で入れることはできなくなるためです)。

誰でも加入できるシンプルな制度になれば、途中で加入対象から外れたり、移管したりといったこともなくなり、長期的に掛け金を払って運用を続けることが可能になります。また、対象者が広がり加入者が増えることで、(運営管理機関や商品提供会社も商売として成り立ち)結果的に商品・サービスの向上につながることも期待できます。

ただ、これに合わせて企業型のマッチング拠出の制約(個人拠出は拠出限度額の範囲内、事業主掛け金を超えない)や、国民年金保険料を負担してない3号被保険者の問題なども併せて議論する必要があるでしょう。公務員については共済を1本化してからでもいいような気もしますし…。また、現在凍結が延長されている特別法人税についても、明確に廃止を打ち出してほしいです…。いずれにしても、今後の議論は注目していきたいですね。


お知らせ(10月以降の予定)

2014-10-07 16:41:03 | 近況

2014年10月のセミナーや交流会の予定などをご紹介致しましす(一般の方が参加できるもの)。ご興味があれば、ご参加いただけると嬉しいです。

●ビジネスパーソンのためのマネープランセミナー(家計の総合相談センター主催)

10/16(木)19時~家計の見える化をしよう!】 新宿
家計の見える化セミナーでは家計および公的保障・企業内保障の現状把握を行い、自分でお金をマネジメントする法を考えていきます。ワークも行いますので、計算機もあると便利です。著書プレゼント付。
・詳細お申込はこちら

10/17(金)19時~ 【NISA活用入門】 新宿
NISA(少額投資非課税制度)の制度説明から活用法まで、NISA活用の基本についてお話します。著書プレゼント付です。

・詳細お申込はこちら 


●11/5
(水)19:30~ 【コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ(東京)#54】 
コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べは、投資信託やETF(上場投信)などを活用して、コツコツ投資しながら資産形成をしたい・しているという方が自由に語り合える「場」です。「投資信託事情」編集長の島田知保さん、投信ブロガーのrennyさん、竹川の3人が発起人となって毎月第一水曜日に定期的に開催しています。ご興味のある方は一度のぞいてみてください。ベテランの方も、初心者も、女性も学生さんも大歓迎です。

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