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ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

「R&Iファンド大賞2013(日本株式部門)」は直販投信が健闘

2013-04-30 20:00:08 | ニュース

ちょっと時間が経ってしまいましたが、4月19日に投信評価会社のひとつ、格付投資情報センターが『R&Iファンド大賞2013』を発表しました。詳しい結果はこちらをご覧ください。

この賞は投信の過去3年間の運用データを「シャープレシオ」で評価するというシンプルな選考方法です(設定から3年以上で償還予定日まで1年以上の期間を有し、残高が 10億円以上等の条件を満たすファンドが対象)。

シャープレシオ「(リターン-リスクフリーレート)÷リスク」というのは、投信がそのリターンを得るためにどれくらいのリスクを取っているかを計測する指数のことで、一般に数値が大きい投信のほうが「運用効率がよい」とされています。つまり、リスクを抑えながらリターンをあげた投信ほど、シャープレシオは高い数値になります。シャープレシオについては別のコラムで書いていますので、詳細はそちらをお読みください。

今回、投資信託の「国内株式」部門では、独立系直販投信が健闘しています。

●最優秀ファンド賞;結い2101(鎌倉投信)
●優秀ファンド賞;ひふみ投信(レオス・キャピタルワークス)
●優秀ファンド賞;JPMジャパン(JPモルガン・アセット・マネジメント)

*ひふみ投信は昨年の最優秀ファンド賞、JPMジャパン(当時はJFザ・ジャパン)は昨年も優秀ファンド賞受賞しています。

先日、「ひふみ投信」「結い2101」のセミナーや運用報告会で運用担当者のお話を聞く機会がありましたが、2人とも「運用成果はお客様(受益者)と一緒につくってきた結果」と言っていたのが印象的でした。具体的には、「(基準価額が)下がった時に慌てて解約をする人が少ない(結い2101は東日本大震災の時にも解約が一件もなかった)」「安定的に資金が流入している」といった、受益者の行動に支えられている面も大きいと指摘していました。例えば、下がったときにお金が出ていかないことで、株価が安いときに買えるので、その結果、運用に有利に働くということでしょう。もちろん、投信が組み入れている企業が成長して株価が上がるという前提があってのことでしょうが…。詳しいレポートは別途書きたいと思います。



1年間継続して資金純増のファンド(2013年3月末時点)

2013-04-28 16:46:49 | ニュース
『投資信託事情』2013年5月号が届きました。毎月恒例の「1年間継続して資産純増の人気ファンド」を見てみましょう。これは1年以上継続して、資金の流入額から解約額を差し引いて、資金が純増している投信を調べたものです。

2013年3月末時点で「1年間継続して資産純増のファンド」(純資産30億円以上、DC、SMAなどの専用ファンドを除く)は53本(前月比▲7本)。順位は1年間の資金増加額の順です。ここでは、毎月分配型以外の投信をピックアップしてみます。

40位;セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(セゾン投信、2年以上資金純増)
45位;野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(野村AM)
47位;ひふみ投信(レオス・キャピタル、2年以上)
48位;結い2101(鎌倉投信)
49位;外国株式インデックスe(三井住友トラストAM、2年以上)
50位;セゾン資産形成の達人ファンド(セゾン投信、2年以上)
51位;SBI資産設計オープン(資産成長型)<スゴ6資産成長型>(三井住友トラストAM、2年以上)
52位;eMAXIS先進国リートインデックス(三菱UFJ投信、2年以上)
53位;しんきん公共債ファンド(しんきんAM、2年以上)
 
*利益確定売りが出ているためか、ここ数カ月対象ファンドが減少傾向にあります。
*直販投信では、ひふみ投信(レオス・キャピタルワークス)に続き、30億円を超えてきた「結い2101」(鎌倉投信)が初登場です。

お知らせ

2013-04-22 17:57:28 | 近況

いくつかお知らせがあります。ご興味のあるコンテンツをぜひのぞいてみてください。

「投信まとなび」で個人型確定拠出年金(DC)の連載スタート
投資信託の情報ポータルサイト「投信まとなび」で、『竹川美奈子の「個人型DC」で自分年金!』という連載がスタートしています。5回にわたって個人型確定拠出年金制度のメリットや活用法などをわかりやすく解説していて行く予定です。イボットソソンさんにご協力いただき、データなども載せていく予定です。毎月更新予定。加入資格のある自営業やフリーランスの方、企業年金制度のない会社員の方はお読みいただけると嬉しいです。

【第1回】個人型DC」、自営業や企業年金のない会社員はぜひ一考を!
【第2回】投資信託を購入するなら、まずは確定拠出年金に注目。ノーロードで運用管理費用も割安なものが多い!

●マネックス松本大社長・バンガード社長と特別座談会。テーマは「バンガードETFの伝統と魅力」

2013年1月12日に「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year2012」で「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」が1位を獲得したの機に、特別鼎談を行いました(ちょっと時間経ってますが…)。
バンガード・インベストメンツ・ジャパン代表取締役 加藤隆さん、マネックス証券代表取締役社長CEO 松本大さん、そして私の3名で、「なぜバンガードの商品が個人投資家の支持を受けるようになったのか」をそれぞれの立場から語っています。鼎談の模様はこちら

●田島弓子さんとダイヤモンド書籍オンラインで対談。テーマは「キャリアとお金の育て方」
ダイヤモンド社の書籍オンラインで、ブラマンテ株式会社代表取締役の田島弓子さんとの対談を行いました。テーマは「将来後悔しない! キャリアとお金の育て方」です。キャリアも、お金も長期的な視点でコツコツ育てていきたいもの。38歳(当時)でマイクロソフトの営業部長に就任された弓子さんのお話はわかりやすく、実践的ですよ。

【第1回】
「仕事」と「お金」の両方とも 目先のソントクではなくちょっと長い目で考えよう
【第2回】
将来、大きな差が出る?知らないとソンする「お金」の話
【第3回】心配性でマジメな人ほど悪循環に! キャリアとお金を大きく育てるための共通点とは?

日経電子版「マネー著者行間を語る」に登場
日経電子版の「マネー著者行間を語る」で『一番やさしい!一番くわしい! はじめての「投資信託」入門』を取り上げていただきました→こちら。また、お陰様で5刷が決まりました。ありがとうございます。


日本版ISAスタートをにらんで変わる"直販"!?

2013-04-12 20:20:05 | 直販投信

投資信託の運用会社の中には、販売会社を通さずに運用会社が直接投資家に投信を販売する、いわゆる「直販(チョクハン)」形式をとる会社もあります。こうしたチョクハン各社ですが、直販以外に販路を広げる動きが広がってきています。

●レオス・キャピタルワークスの運用する「ひふみプラス」(直販の「ひふみ投信」と同じマザーファンドで運用)は、SBI証券、上光証券、カブドットコム証券、マネックス証券に続き、4/15からはあかつき証券でも販売を開始するそうです。詳しくはこちら

●コモンズ投信の「コモンズ30ファンド」も、ソニー銀行に次いで、楽天証券、マネックス証券での取り扱いを始めています。詳しくはこちら
コモンズ投信はSBIベネフィットシステムズのインフラを活用して確定拠出年金(企業型・個人型)への参入をはかっています。詳しくはこちら
ただし、個人型DCについては注意点もあります。SBIベネフィット・システムズに問い合わせたところ、「コモンズ30ファンド」が購入できるのは、SBIベネフィット・システムズが運営管理機関として新たに提供する「SBIつみたて個人型年金プラン」のみ。SBI証券の「SBI証券個人型年金プラン」では今のところ取り扱う予定はないとのこと。SBIベネフィット・システムズの「SBIつみたて個人型年金プラン」はオールアセットマネジメントという手続き仲介業者を通じて申し込む形となっていて、年間の口座管理手数料も6744円/年かかります。 

 こうした動きは、来年1月にスタートするISA(少額投資非課税制度)をにらんだものでしょう。従来通り、運用会社との対話などを重視する人は直販で、利便性を重視する投資家は他の販売会社で購入するというすみ分けは進むかもしれません(直販投信に1つひとつ口座を開いていくと、どんどん口座が増えていき、管理が大変になるのも事実で、口座管理のラクさなどを求める人はネット証券などに集約していく感じでしょうか)。

 日本版ISAについては、今のところ、さわかみ投信、セゾン投信、コモンズ投信が参入を表明しています。ほかの会社についてはまだわかりません。
 ISAの件、対応は各社違ったものになるかもしれません。ISA口座対応の有無についても注目はしていますが、それ以上に、そうした判断に至った経緯・理由をしっかり説明してほしいと思っています。また、「本当は直販のプラットホームがあって、1社ISA口座開いたら、いろんな直販投信が買えるになればいいのに」といった個人投資家さんの声も添えておきます。


1年間継続して資金純増のファンド(2013年2月末時点)

2013-04-03 11:12:22 | 投信
先週、『投資信託事情』2013年4月号が届きました。毎月恒例の「1年間継続して資産純増の人気ファンド」を見てみましょう。これは1年以上継続して、資金の流入額から解約額を差し引いて、資金が純増している投信を調べたものです。

2013年2月末時点で「1年間継続して資産純増のファンド」(純資産30億円以上、DC、SMAなどの専用ファンドを除く)は60本(前月比▲3本)。ここでは、毎月分配型以外の投信をピックアップしてみます。

48位;セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(セゾン投信、2年以上資金純増)
54位;ひふみ投信(レオス・キャピタル、2年以上)
55位;外国株式インデックスe(三井住友トラスト、2年以上)
56位;セゾン資産形成の達人ファンド(セゾン投信、2年以上)
57位;しんきん公共債ファンド(しんきんAM)
58位;SBI資産設計オープン(三井住友...ラスト、2年以上)
59位;eMAXIS先進国リートインデックス(三菱UFJ投信、2年以上)
60位;年金積立インデックスファンド海外新興国株式(日興AM

*海外株式のインデックスファンドが脱落していく中で、外国株式インデックスe(三井住友トラスト)と年金積立インデックスファンド海外新興国株式(日興AM)が検討していますね。

日本版ISA(少額投資非課税制度)の口座を慌てて開設しなくてもいい理由(その2)

2013-04-02 16:06:13 | NISA

 続きです)

もうひとつ、ISA口座を開設するのを慎重にしてほしい理由があります。
ISAのPRが多くなってくると、ついつい「日本版ISA」だけに目が行きがちですが、資産形成を考えるときには使える制度や商品をトータルで考えることが大切です。例えば、原則60歳まで引き出せないという”縛り”はありますが、利用できる人は、企業型確定拠出年金のマッチング拠出や、個人型確定拠出年金を優先的に利用したほうがいいケースもあります(掛け金が全額所得控除の対象になる)。それぞれの特徴を押さえた上で、自分にとっての最適な運用方法を考えたいものです。

 繰り返しになりますが、制度のスタートは来年の1月です。まずは

①自分が使える制度を調べる・整理する
②ISAの制度を理解する
③金融資産全体で考えたときに、ISAではどの商品を利用したらいいか、どう活用したらいいかを考える

その上で、口座開設をする金融機関を決めても遅くはありません。個人にとっての「全体最適」を考えることが大切であって、「日本版ISAありき」ではないと思うのです。ましてや、現段階では「どの金融機関がISA対応をするのか」「ISA口座にどんな商品が入れられるのか」がまだわからないわけですから…。
誤解してほしくないのですが、ISA口座を開設するな、といっているわけではありません。金融機関選びは、じっくり検討してからにしましょうね!ということです。

<ご参考>
3/22(金)にk2k2東京主催で、個人投資家さん向けに「日本版ISAの勉強会&意見交換会」を行いました。金融庁の方から日本版ISAについて説明、次いで、質疑応答と意見交換を行いました。参加された方がブログでその時の模様を書いていますので、ご紹介します。


日本版ISA(少額投資非課税制度)の口座を慌てて開設しなくてもいい理由(その1)

2013-04-01 20:53:17 | NISA

 今朝の日経新聞で大手金融グループが『「日本版ISA」の普及)にグループを挙げて取り組みます」』という対談形式の全面広告を打っていますね。今日、この銀行のインターネットバンキングにログインしたところ、お知らせのところに「知ってますか?日本版ISA!(情報配信登録はこちら)」とありました。また、先週くらいから、他の複数の金融機関からも「日本版ISA(少額投資優遇税制)資料請求受付開始」といったメールが届くようになっています。

 日本版ISAの制度自体は来年1月スタートですが、口座開設は今年10月から可能です。それに向けて、これから金融機関が積極的にPRに動きそうです。
 日本版ISAはどんな制度か分からないという方は以下のサイトをご覧ください(ほかの運用会社でもISAサイトができています)
早分かり日本版ISA(フィデリティ)
日本版ISAとは?(日興アセットマネジメント)

 けれど、「早くISA口座を開設しなくては」と焦る必要はありません。まずは制度を理解した上で、慎重に口座を開設する金融機関を選べばいいでしょう。時間はまだたっぷりあります。
というのも、日本版ISAの利用は、
●原則1人1口座(1金融機関)
●2014~2017年、2018年~21年、2022年~23年はそれぞれ同じ金融機関のISA口座を利用する必要あり
●移管することができない

からです。つまり、原則複数の金融機関に口座を持つことはできないし、一度口座をつくると4年間は同じ金融機関でないといけないし、その途中で移管することもできません。

<2013.04.02追記>「1.2014~2017年」「2.2018年~21年」「3.2022年~23年」のそれぞれのクール(勘定設定期間)ごとに金融機関を変えることはできます。つまり、10年で3つの金融機関にISA口座をつくることは可能。ただし、仮に第1クールでISA口座を開設して運用、非課税期間終了時に再度ISA口座に移管(ロールオーバー)しようと思ったら、第1・第2クールは同じ金融機関でないとだめで、異なる金融機関では移管できません。ロールオーバーしない場合には、課税口座(特定口座など)に時価で移ることになります(売却も可)。

また、制度上の対象商品(上場株式、外国上場株式、公募株式投信、外国籍株式投信、ETF、REITなど)と、金融機関で実際にISA口座に入れられる商品は必ずしもイコールではありません。例えば、制度上は海外ETFはISA口座に入れることは可能ですが、その対応はそれぞれの金融機関が決めるということです。そうした対応は金融機関ごとに異なるでしょう。きちんと「ISA口座の対象となる商品」が分かってから口座を開くのが賢明だと思います。逆にいえば、金融機関も商品・サービスの提示をきちんとしてほしいと思うのです。

そして、もうひとつ金融機関選びを慎重にしてほしい理由があります(続く)