About Money,Today

ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

投資から貯蓄へ?

2010-03-16 18:22:53 | リンク
今朝、久々に金融庁の大臣会見にいってきました。
幸い(?)女性記者1人だったので、指されました。

私の質問:
郵貯の預金枠(上限)引き上げ、ペイオフの拡大案など、最近は「貯蓄から投資へ」から「投資から貯蓄へ」戻りつつあるのではないかという投資家や金融関係者からの指摘があるが、それについてどう思われますか?

亀井大臣:
指摘している人もいるが、そんなのはアホな評論家。そんなことは考えてもいないよ。
むしろ1500兆円のお金はどんどんどん産業資金を含めて使われていくという状況にならないとデフレギャップから脱出できません。それは基本的なことだと思いますよ。

この政権は需要を出していく。従来のような公共投資中心ではなく、福祉経済という面で出していこうとしている。ある意味当たっていると思うけど、福祉経済だけでは漢方薬みたいなもの。すぐには効かない。

いま大事なのは、米国や中国だって大胆な緊急な対策を打っちゃったわけですから。漢方薬みたいなこと、自公がやらなかったことをやると同時に、ただちに内需が出てくる対策を予算が成立すれば、速やかに実施すると同時に状況をみて対応していかなくてはならないでしょうね。簡単にいうと需要を出していくということ。

それを今後、鳩山政権がやれるかどうか。中学や高校でブレストで思いついたことをしているのではだめ。そうだといっているわけじゃないよ。

人間の長い歴史のなかで大変なときに、どういうことをやったのか、それで成功したのか、しなかったのか、世界が何をしたのか、そういうことを謙虚に学ぶなかで、思いつきではなく、そういうことを大胆にやることがこの危機を救うことになる。

総理もわかっている。あとはそれを実行するかどうかだ。
財務省の間違った財源論にとらわれないこと。ホント、財務省は間違っている。


*ツッコミたいところがあるとは思いますが、基本的に記者会見では1人1問。重ねて質問(二重質問)しないようにと事前にいわれているのでこのようになります・・・。

クルーセミナー(その3)

2010-03-16 11:28:59 | リンク
2.日本の投資信託を取り巻く環境

運用会社は(1)金融子会社(2)外資系の運用会社(3)直販(独立系)がある。

現状では金融子会社が中心で、販売会社中心にならざるをえない。話題になっていて売りやすいものを設定してもらい、販売する。

運用会社:インデックスに勝つことが主目標になっている
個人:上がってほしい(資産が増えてほしい)と思っている。

製造サイドと個人のニーズ、顧客と販売サイドがかみ合っていないことが問題

米国はどうなっているか?
・残高が多いのは歴史のある投信が多い
例えば、キャピタルという独立系の運用会社が運用する投信。120兆円くらい運用残高がある。そして、1934年に設定されたものがまだ運用されていたりする。
・非上場・独立系の運用会社が多い

3.理想の投資信託

大部分のメガバンク・大手証券がお客様志向になるとは思えない。
本当は独立系のFPの販売が広がってほしい(米国ではすでに投信の半分がFPに相談して投信を購入している)

口コミ情報などが広がり、そこに中立的な人が(個人の)全体最適を考えて投信のアドバイスができるといいと思う。「卵が先か、ニワトリが先か」という話はあるが、FPにも頑張ってもらい、運用の仕方も変わらなくてはならない。

では、どんな投信がいいか。
自分や家族、同じ会社の人に買ってほしい商品をつくれば、それほど間違いはおこらないのではないか。

お客様と同じ立場で商品を考えられるようにすること。つまり、「少なくとも、上がることを目標にやっています」と言えることが必要(もちろん絶対に上がるとはいえないが)。

お客様にも長期で運用ができる
運用会社も長期で運用できる、
右肩上がりの投信。それならみんなが幸せになれる

(個人は)買ったあとにいつ売ったらいいかがわからない。本当はそこを運用者がそこをやってあげるべき。通常は9割くらいを運用に回しておき、相場が上昇・高くなってきたら、例えば株を売って現金のポジションを5割にする。そして、安くなったらまた買えばいい。
米キャピタルなどは個別のFMに「投信が上がることをめざす。キャッシュにしてもいい」と言っている。日本にもそうした商品をつくりたい。

運用会社やファンドマネジャーに話を聞く機会があったら、
「(自分が運用している)投信を持っている?」
「金融資産のなかでどれくらい? 投信の中でどれくらいの比率になる?」などを聞いてみるといい。


クルーセミナ(その2)

2010-03-16 11:05:06 | リンク
後半は投資の実践編です。以下の3つについてお話をされていました。

1.自分はどんな資産運用がしたいの?
2.日本の投資信託を取り巻く環境
3.理想の投信は?


1.自分はどんな資産運用がしたいの?

以前、直販(注:ひふみ投信)をやっていたときに個人投資家と接する機会が触れて、投資家には大きく分けて2つのタイプに分かれると思った。

(1)資産運用をしたいし、社会貢献したい。
(2)お金を増やしたいという人
その中でも2つの方がいて
⇒成果達成型(自分で勉強して納得して買う)
⇒お任せ型(わからないのだからお任せしたい)

(1)についてはそれほど多くはないように感じる。また、社会貢献も大事だが、お金を預けるからには殖えないとだめだろう、と個人的には思う。

(2)について
資産を増やすのは難しい(この中で投資をしている人?と挙手してもらったら結構手が上がったが、今までトータルで儲かった人と聞いたら2人しか手が挙がらなかった・・・)。

証券会社や銀行の窓口に勧められて購入し、投信にイヤな思いをいだしている人が多い。
一方、インデックス運用でいいという方向に行く人も多い。
それは安く買って高く売る努力をするということが、無理。
また、分散投資がよいというコンセンサスができつつある。100年くらいでみたら正しいけれど、資産運用からすると、ある程度流れをみないといけないのかな、と。

2007年までの30年間は過剰流動性の時代だった。いっせいにリスク許容度を緩和していった。
『ブラックスワン』(ダイヤモンド社)という本がある。これまで、運用会社も金融工学の理論(正規分布でリスクをみる)をベースに考えていたけど、この本では金融商品を考えるときにこの統計学を当てはめていいの?という疑問が投げかけられている。実際、正規分布の両端の部分の確率はもっと高い。つまり、急騰・急落はもっと頻繁に起こっている。

また、「グローバル化」「IT化」により、世界の株はよく似た動きをするようになってきている。本当に分散投資は効くのかという疑問も残る。

分散投資はある程度効くけれど、株も債券も上がり続けるにはむずかしいのでは。
「IT化=デフレ化」と、1980年代の冷戦終結で安い労働力が流れ込んだことで、日本を除く世界中の株が沸いてしまった。金利が下がり(=価格上昇)、株が上がるという本来ありえない状況が続いた。

続く。