Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

「オフィサー・アンド・スパイ」

2022-06-14 16:13:01 | 機内食・映画・美術展

映画好き、すねこすりさんのレビューに触発されて、月曜の朝一から日比谷に映画を見に行ってきた。

 「オフィサー・アンド・スパイ」 J'Accuse

このダサいタイトル、すねこすりさんの記事を読んでいなかったら興味を持たなかったかもしれない。フランス語の原題は「私は告発する」、作家のゾラの新聞投稿のタイトルで、有名なドレフュス事件が題材になっている、と知識のある人ならすぐわかるのだろう。もっとも映画会社の名誉(?)のために付け加えれば An Officer and a Spy は元々の英語タイトル。これもいいタイトルとは思えないが、冠詞を取るから余計ダサくなる。

監督は今年88歳になるというロマン・ポランスキー。波乱万丈の人生を歩んでいる人だが、同じく高齢になっても映画を撮り続けているクリント・イーストウッドやリドリー・スコットに比べて全く年を感じさせない所がすごい。
作中、ちょっとした音楽会の場面のエキストラとして本人がカメオ出演しているが、その姿にも変わりがなくてすぐにポランスキーだとわかった。

映画が始まってすぐに思ったのは空気がヨーロッパだということ。
鈍色の空、吐く息の白さ、石畳に響く馬車の音、部屋の調度。
フランス軍の制服もかっこいいが、19世紀末の衣装、特に男性のスーツが素敵。
これを着こなす主演のジャン・デュジャルダンは口髭のために若い頃のショーン・コネリーに似て見える。

さて、ドレフュス事件とはユダヤ人将校が人種ゆえにスパイ容疑をかけられ、ろくな証拠もないのに有罪とされた冤罪事件。
軍上層部の偏見もひどいが、ドレフュスが制服の徽章をはぎ取られるシーンや裁判の場面など、一般民衆の人種差別がひどかった様子も描かれていて、「外国人がこう増えてはこの国の文化は破壊される」なんてセリフもある。

映画全体を通して感じるのはポランスキーの理不尽な人種差別や冤罪に対する怒り。
ユダヤ人差別に関してはいわずもがなだが、アメリカでの淫行レイプ容疑についても本人は否定しているそうなのでやはり冤罪も自分のことかと深読みしてしまう。

ところでドレフュス大尉だが、自分はてっきり有罪判決後に死刑にされてしまったのだと思っていた。
実際は仏領ギアナの独房に入れられ、4年後に特赦、さらにその7年後にやっと無罪になったのだとか。
ドレフュスも、彼の冤罪を晴らすために左遷されてまで真実を追求したピカール中佐も、事件後も軍をやめなかったそうで、そこらへんは将校としてのプライドだろうか。
ピカール中佐が「正義のため」というよりも徹底的に真実を明らかにすべき、隠ぺい工作は許せない、と言うあたりもプライドがそうさせたという感じで、個人主義的な感じもフランスらしいと思う。

パリ、また行きたいなあ。

映画鑑賞後は有楽町の交通会館へ。
この地下にはおいしそうな店がいくつも入っていて、五島の海鮮ちらしと迷った挙句
 
「平戸からありがとう」という長崎県平戸市のアンテナショップで漬け丼のお昼。
 ブリ、タイ、サバなどを甘辛タレにしっかり漬けたこの丼、うま~い!
アラ汁やお漬物もおいしくて、これは大当たり。
ご飯の上に猪ハンバーグがどーんと乗った平戸バーグ丼もおいしそうで、ここはまた来なきゃ。

食後はもちろんアンテナショップめぐりをして、交通会館 Forever!


 ←人気ブログランキングへ一票、お願いします。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする