Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

ブータンは本当にシャングリラか

2008-10-07 13:19:01 | ブータン
昨晩TBSのNews23を見ていたら、ブータンの「国民総幸福」のレポートをしていた。

曰く、
「森林量が増えている奇跡の国」
「国民の90%が自分は幸福だと答えている」

そしてキャスターのコメントが
「つましく生きていてもみんな幸福を感じているんですね」
「これこそシャングリラですね」

ちゃらちゃらしたタレントの出るような旅番組ならともかく、これで報道番組だというのだからまったくあきれる。

ブータンは確かに平和な国だし、「国民総幸福」というコンセプトも素晴らしい。
しかしこの国に問題がないわけではない。
ネパール系住民への差別問題や地域間格差はあるし、医療などのインフラはまったくの後進国だ。家庭内暴力や麻薬問題、エイズ問題だってあるし、経済は実際の所、他国の援助に頼りきっている。
自給自足が原則とは言え、レポートの中でもしっかり農家のかまどがタイ製の電気製品に取って代わられつつあることを伝えていた。その上での「私は何もほしいものはありません。いまとても幸福です」発言なのだ。

ブータンの国勢調査で90%の人が幸福だと答えた、それは強制ではないし、データの改ざんがあったとも思わない。ブータンはそんな国ではない。
しかしジャーナリストを称するなら90%と言う数字を疑い、その裏にあるものを読み取るぐらいしようと思わないだろうか。

はじめてブータンを訪れた時、田舎の子ども達を見て「貧しい子ども達は純粋ね」と言ってツアーの心ある同行者を激怒させたおばさんがいた。
ニュースキャスターもこのおばさんとレベルは一緒だ。

中国とインドにはさまれ、資源もなく、人口が100万にも満たないこの小国のしたたかさを伝えてこそ報道だと思うのだが、日本のテレビにそんなことを期待する方が無理か。


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コメント (2)
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