7月12日
朝食の後、インスブルックのホテルをチェックアウトして東へ小一時間、キュータイという小さなダム湖へやって来た。
予定ではここからハイキングのはずだったのだが、朝からの小雨がここに来て雷雨になってしまった。
そこでガイドの判断により予定変更、さらに南へ1時間走って今夜宿泊予定のウムハウゼンという小さな村のホテルに入った。
この辺りはスキーリゾートであると同時に最近はサイクリングも盛んらしく、ロビーには自転車の整備のための道具もしっかり備えられている。
ありがたいことに部屋にも入れて、ベランダからは山の麓の村も見える。
雨はほとんど止んできたので、荷物を置いたらまた車に乗り、15分ほどのエッツという村にあるロープウェイ乗り場へ。
この村の標高が1,000m弱、ゴンドラで上がるホッヘッツは2,020m。
降りた所には子供の遊び場などがあるが霧にけぶって真っ白。
サルオガセやアルペンローゼなど見える中を歩いて行くうち、時々霧が晴れて周りの山が見えるようになった。
1時間ほど歩いて見えてきたのはバルバック・アルムの山小屋、1,957m。
今日はこちらでランチ。チロルのハイキングではお弁当を持ち歩くことなく、毎日暖かいお昼を食べられるのだから優雅なものだ。
最初に頼んだのはエルダーフラワーのジュース。和名はセイヨウニワトコというそうだが、小さな花をシロップ漬けにしてあり、これが癖がなくておいしい。
麦の入ったスープに、今日はソーセージとザワークラウト。毎日食べていると味の良し悪しがわかってくる。
昼食を終えて外に出ると雲がどんどん晴れてきて
きれいな青空になった。雨に濡れた後の花もきれい。
眼下の村や背後の岩山を見ながら往路とは違う道をロープウェイ乗り場まで戻ると
所々にこの辺りで見られる動物の木彫りがあるのだが、これが微妙にヘタウマでおかしい。
ロープウェイ乗り場の脇にはこんな池があったとは。
ロープウェイでエッツに降りたら路線バスでウムハウゼンへ。
とんがり屋根の教会の脇を通ってホテルに帰還。
今夜の夕飯はこの教会の隣にあるレストランで。
箱にスプレッドと一緒に入っているのはカリカリのクッキー。この地方の物らしいが、これが塩味でおいしい。
メインはウィンナーシュニッツェルだけれど、ここのは平らに伸ばすのではなく丸めてある。
そして「ここのはおいしいんだよ」とガイドお勧めのジェラート、10種類以上あるうち全員同じものを3種類選べというのでみんなで多数決を取って大騒ぎ。結局バニラとアプリコット、チェリーに決まったけれど、本当にどれもおいしかった。
しかしジェラート一つでこれだけ盛り上がるとは、楽しい夕食になった。
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7月11日 続き
今回のツアーでは毎日ハイキング。
なので添乗員は山旅専門、さらにここから男女二人の現地ネイチャーガイドが付く。
彼らに先導されて大通りのバス停へ。
砂で上手に犬を作る人や路面電車の運転手に愛想を振りまかれながら
我々は路線バスでパッチャーコーフェルと言う所まで40分ほど。
途中、目立つ塔のような物を発見。
これは建築家、ザハ・ハディッドが設計したジャンプ競技台。反対側の山にはやはり彼女の設計したロープウェイ駅もあるそうだが、今回は残念ながら見られなかった。
インスブルック市街の標高は574m、そこから山道を上がって来たこの麓駅が1009m。
ここからロープウェイで1965mの山頂駅まで行き、そこから地図の赤い印を辿って別のロープウェイ駅まで歩くのが今日行くツィルベンヴェーク・ハイキングコース。
ロープウェイのゴンドラは8人乗り。ここは元々スキー場なので扉の外にスキー板を立てられるようになっている。
途中一回乗り換えがあって、到着した山頂駅にはきれいなテラス。
最高のお天気でここから周りの3,000m以上の山々がくっきり。この中にドイツ最高峰、ツークシュピッツェも見えていたはずだが2,962mなのでオーストリア人にはバカにされる。ちなみにオーストリア最高峰は3,798mのグロスグロックナー。富士山よりほんのちょっと高い。
ここから木の門をくぐってハイキング開始。
このコースはほぼ水平に歩くだけなので楽ちん。周りには子連れ、犬連れで手ぶらの人もいっぱい。
距離や所要時間、強度を示した標識も実に分かりやすい。
眼下にはインスブルックの街が見え
山肌を赤く染めるのはアルペンローゼ。名前はローゼだがツツジの一種だ。
ガイドはもう終わっているかもしれないと言っていたがまだきれいに咲いていてラッキー。
今日見つけたそれ以外の花はこちら ↓
こうして歩くこと4時間、トゥルファインアルムの山小屋が見えてきて、また木の門をくぐったらハイキング・コースは終了。
山小屋のテラスでお昼になった。
メニューに自家製とあったのでまずいただいたのはバターミルク。
牛乳からバターを作る脂肪分を除いた後のもので、乳酸発酵しているので濃ゆい飲むヨーグルトといった感じ。おいしい、けれどすごい量。これだけで一食分はゆうにある。
パンにチーズ、ベーコン、丼いっぱいのザワークラウトに続いては
きのこに青菜、ベーコン、チーズ入りと4種類もクヌーデルが出てきた。これをそのまま、あるいはコンソメスープに入れて食べる。クヌーデルとはマッシュポテトに片栗粉を入れたものなのでめちゃくちゃお腹にたまる。しかしこの昼食はいかにもチロルらしくて楽しかった。
食事を終えたら花畑の中をちょっと歩き、標高2,055mのGlungezerロープウェイ駅に到着。
ここからまたロープウェイを乗り継ぎ、トゥルフェスという村から路線バスでホテルに戻ったのが16時過ぎ。
この後はもう大きな町には泊まらないので、最初で最後の買い物をしようとホテルのすぐお向かいにあったデパートへ。
もう当然のごとく日本食ラウンジなんてものもあったが、リンツの山に引っかかってしまった。
夕食は今夜は街中のレストランで。
メインはこれも代表的チロル料理というTiroler gröstl。ベーコンとひき肉、茹でたジャガイモを炒めたものでチロル版肉じゃがといったところ。こう言っては失礼だが、ランチといいこれといい、昔のチロルは貧しかったのだろうな、と思わせられる料理。
デザートのアップル・シュトゥルーデルがさすが本場、とてもおいしかった。
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7月11日
昨晩早めに寝たために朝の3時頃に目が覚めてしまった。
布団の中でうだうだしているうちに友人も目を覚ましたので、外が明るくなった6時前に二人で散歩に出ることにした。
外に出てみると残念ながら雨が降っている。
旧市街の向こうに見える山にも低い雲がかかってぼんやり。
しかしまだ人通りの少ない大通りも脇の小路も、いかにもオーストリアらしい町並みで素敵だ。
6時半になったらホテルに戻って朝食。
オーストリアはパンやハムの種類が豊富で期待通り。
昨日夕食を食べたカフェでしっかり朝ごはん。
食事を終えてもまだ時間はある。観光は付いていないツアーなのでまた外へ。
するといつの間にか雲がとれて空が真っ青。
街並みの奥の山もちゃんと見えてきた。
インスブルックにはもう35年ほど前に一度来たことがあった。
ちょっと立ち寄っただけだったのでほとんど何も記憶にないが、これだけは覚えていた
黄金の小屋根。
16世紀の神聖ローマ皇帝、マクリシミリアン1世がイベント見学のために作らせたというバルコニー。
この周りの建物も凝った装飾がいっぱいで
ハードロックカフェにも黄金の屋根。
店先に下がる看板もかわいい。
開き始めた店先にはリンゴだけではない、何種類ものシュトゥルーデルが並び、パン屋のなんと魅力的なこと。
しかし「オーストリアに行く」と言ったら「カンガルーを見に行くのか」と言う間抜けはうちの弟だけではないらしい。
さあ、8時半集合なのでホテルに戻ろう。
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2024年7月9日~7月18日 南北チロルとドロミテハイキング
7月9日~10日
昨年のジョージアに続いてこの夏もヨーロッパでハイキングをしようとS社のツアーに参加。
成田に集合のところ、今回は日暮里から京成のスカイライナーで空港へ向かった。
自分の実家は京成線の沿線、もう50年も前から住んでいるが、沿線だったからこそ実はスカイライナーに乗るのは初めて。
京成王子の車内アナウンスを聞きながら日本で二番目(笑)に早い特急で飛ばすが、特急料金のいらないスカイアクセス線と実は10分ぐらいしか違わない。
空港に着いたらエミレーツのビジネスラウンジに行く友人とは別れるが、第二ターミナルでプライオリティパスが使えるようになった「KoCoo」なるラウンジはすぐその隣。
第一ターミナルの「Noa」よりも席数が多く、落ち着いた雰囲気もいい。
食事はカレーに白玉団子と抹茶チョコぐらいしかないが、去年はラウンジが使えなかったのでありがたい。
22時半出発のエミレーツでインドの上空など飛んで10時間半。
ドバイ到着はまだ真っ暗な午前4時。
去年も使った Marhaba Loungeで
またデーツとすごい色のピスタチオケーキで一息。
ドバイから乗り継いだミュンヘン行きは8:50発予定だったが、空港が混んでいたのか機内で1時間も待たされ、それでもイラクやトルコの上を飛んだ飛行機は定刻から15分遅れの13時半に到着。
ミュンヘンの空港はコンパクトだがその分入国審査の窓口が少なくて、空港を出るのに1時間以上もかかった。
今回のツアーは東京出発6名、大阪出発7名の計13人。
空港から大型タクシー2台に乗って、そのままオーストリアへ向かう。
平坦なドイツから山が見えて来たらオーストリアだが、ドイツとオーストリアの間はもうどこが国境だったか、標識にも気が付かないほど。
途中、ドライブインでトイレ休憩。
こんなに酒が並んでいていいのか、というほどワインやビールの品ぞろえが豊富だが、コーラ一缶が€3.5もしていてびっくり。成田で両替をした人は1€が178円だったそうで、それで計算すれば623円!この後もドライブインはどこも高くて、貧乏な日本人は水も飲めない。
この後はちょっとした渋滞にもあいつつ、本日の宿のあるインスブルックに到着したのは17:45。
旧市街の中心近くにあるホテルの部屋はそこそこ広いが、湯沸かしポットがないのが残念。
この後に泊まったホテルもすべてポットや冷蔵庫がなくて、B&Bでも必ずポットとお茶、ビスケットが置いてあったスコットランドはよかった。
ドイツ系のホテルで面白いのはどこでもベッドの上掛けが2つに折って置かれていること。これ、寝る時には自分で広げなければならないので結構面倒くさい。
長旅の後なので今夜の食事はホテルのカフェで。
キノコいっぱいのサラダに、鹿肉シチューにはシュペッツレというパスタ。
カイザーシュマーレンもオーストリアらしいデザートだが、フレンチトーストの小間切れにベリーソースが添えられている感じ。
オーストリアも日が長くて夕食を終えても外はまだ明るい。
気温は意外に高くて26℃。屋外は爽やかだが冬向けに作られているこちらの建物、窓を開けても風は通らず、エアコンなどは当然ない。夜は暑くて寝苦しかった。
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用事がなければとても外を出歩く気になれない今日この頃、仕方なく出かけたからには映画館で涼もうと考えた。
しかし夏休みのせいもあってやっているのはお子様映画ばかり。
そんな中、アメリカのどうやら人情コメディらしい、という情報だけで選んだのはこちら。
「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」 The Holdovers
やって来たのは勝手知ったる日比谷のシャンテシネマ。
平日の昼間なのに意外にも結構混んでいて、客席の6割以上は埋まっていただろう。
ただし客の年齢層はかなり高そうで、皆さん考えることは一緒だったか。
舞台は1970年、ニューイングランドの寄宿学校。クリスマス休暇でみんないなくなる中、金持ちの問題児が一人に教師一人、料理人だけがそれぞれわけあって取り残される。
アメリカの寄宿学校の生徒と先生の話というとロビン・ウィリアムズの「いまを生きる」を思い出すが、裕福な坊ちゃんの苦悩や教師と心を通わせるところなど共通点はありながら、こちらは全体のトーンがずっと軽い。
軽さの元は教師を演じるポール・ジアマッティで、偏屈で厳格な教師と言う設定の割にどこかコミカルで愛嬌がある。斜視を生徒にからかわれるのだが、ジアマッティ本人は斜視ではない。どうやって斜視にしているのだろう。
上手いのはコック役のダバイン・ジョイ・ランドルフという女優さん。ふてぶてしくて不愛想だが実は親切と言うのを実に自然に演じていて、これでアカデミー助演女優賞を取ったとは帰ってから知った。
この映画、他にも作品賞を始め5部門にノミネート、ジアマッティも主演賞候補だったとはまったく知らなかった。地味で助演の印象の方が強い人なので、この作品は代表作になるだろう。
コメディというよりは人情話、ちょっと昔のアメリカ映画と言う感じで、先日機内で見た「ボーイズ・イン・ザ・ボート」もそうだったが、ハリウッドはいささか懐古趣味になっているのだろうか。
ただしこの映画の設定である1970年は、コックの息子がベトナム戦争で死んだという以外にはまったく必然性がなく、時代背景が生かされているとは言い難い。現代の話であってもまったく問題なく、黒人スタッフとの交流もその方がずっと自然だっただろう。
ストーリーに意外性はないがラストまで気持ちよく見られて、こういう素直なアメリカ映画はいい。
しかし何よりよかったのはこれがまったく時季外れのクリスマスの話だったところ。
ニューイングランドの冬は雪景色でなにもかも凍っているが、寒そうというより涼しそうと思ってしまった。
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