Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

スコットランド紀行 24 シェトランド本島西部

2024-08-04 18:30:36 | ヨーロッパ

5月31日

朝食をいただいたら宿の猫にさよなら。
 
オーナーの方は我々がフェリー乗り場で待っていると、後から自慢のトライアンフのバイクを引っ張ってやってきた。
 
オーナーの趣味はクラシックカーのメンテ。本島でイベントがあるとかで、前日はオースティンだったか、四輪も一台、運び込んだとのこと。冬はスペインのカナリア諸島で過ごすというオーナー、悠々自適だ。

 待つうちにフェリーがやってきて、ここを出てから本島着まで55分。
接続が良くて、なるほどこれなら本島に通勤するのも十分可能だ。

本島に戻ったら夜の飛行機の時間までたっぷり時間があるので島の西部へ。

深く入り組んだ入り江の奥にはきれいな集落があるが、水害などはないのだろうか。

やがて目指す場所の看板が見えてきた。
 
ここにも中華料理イベントの看板が。中華、よほど人気なのか。
しかし我々が目指すのは中華ではなく、Cake Fridge の方。

小さな集落を過ぎた道端に建つのはかわいらしいティールーム。そしてその店の前にあるのが Cake Fridge というケーキの自動販売所。
  
 
コンビニにあるような冷蔵ケースの中にケーキや土産物、飲み物まで入っていて、品物を取り出したら自分でお金を入れるオネスティボックス方式。村の女性が2014年から始めたもので、平和なこの島らしいとSNSを通じてすっかり有名になった。自分もそれに惹かれてやって来た一人。

しかしせっかくお店が営業中なので、ティールームの方へ入ってみる。
 
入ってすぐのカウンターにはいかにもイギリスらしいケーキが並び、お店のお姉さんたちもいい感じ。
 
6卓ほどのテーブルは次々にやって来るお客さんですぐにいっぱいに。周りには絵葉書やらマグカップやらお土産もたくさん並んで、辺鄙な所にあるけれどなかなか商売上手。
 いかにもイギリスらしいビクトリア・スポンジ(£4.5)をいただいてみたが、ケーキがちょっとぱさついて、正直特別においしいとは言えなかった。

ここからもう一度ラーウィックに寄ってみると
  
 
大きなクルーズ船や本土からのフェリーが着いている町はすごい都会に感じる(笑)。

島を南へ下り、東岸のSandwick と言う所の展望台から海を眺めると右手に小さな島が見える。

目を凝らしてよく見るとこの島には石造りの塔がある。
 Broch と呼ばれるこの塔は2000年ほど前に敵の侵入に備えて作られたらしく、一番大きなこの塔は13mもあって上まで上れるとか。

ここから島を横断して西岸に出ると、こちらには砂洲でつながった島がある。
 

降りてみれば白くて細かい砂浜がきれいな海の中を目の前の島まで500mも続いている。
 
海に入る子供や若い女の子たちもいるが、触ってみれば水はかなり冷たい。

 渡った先は St. Ninian's 島。
 
ウサギの巣穴だらけだがこの島には古い教会の跡があって、その地下からは8世紀ごろの銀器が出土したとか。
緑に覆われた島はどこでも歩き回ることができて、ここで一日中ピクニックをしたら楽しそうだ。

 最後は空港の近く、サンバーグ・ヘッドにまた寄ってみた。
またパフィンがいないかと崖下を覗いてみるが
  
 いるのはウミガラスとカモメばかり。

諦めかけたところでやっと一羽発見。
  
さらに同行者が呼ぶので行ってみると
 こちらでは二羽が盛んに巣作りに励んでいる。
 パフィンはやっぱりかわいい!
Unst 島では見られなかったけれど、ここでまた見られてよかった~。

空港に着いたらレンタカーを返して、小さな売店があるだけの待合室へ。
 
今夜の夕食はSt. Ninian's の近くのコミュニティーショップで買ったエクルズケーキというもの。バターたっぷりのパイの中にレーズンが入り、上には砂糖がまぶされたこれ、とてもおいしい。イギリスにはまだまだ知らないお菓子がいっぱいあるようだが、どれも素朴だ。

定時の19時15分にエジンバラ行きの飛行機は離陸して楽しかったシェトランドとお別れ。
食べるものさえあれば(笑)この島にはまだ1週間ぐらいいたかった。
 
機内でまたスコットランドのお菓子をもらって、友人宅には夜9時過ぎに帰り着いた。


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スコットランド紀行 23 Unst島ツアー後編

2024-08-02 16:06:01 | ヨーロッパ

5月30日 続き

Harmanessのハイキングを終えたら車で移動してお昼。

ガイド氏が予約しておいてくれた Victoria Vintage Tea Room は島でほぼ唯一外食ができる場所なので、室内もテラスもお客さんでいっぱい。
  
 
大きなスコーンとハム、サラダをおいしくいただく。

昼食後にやって来たのは Keen of Hamar と呼ばれる所。
 
道の先に見える小高い丘、よく見ると真ん中にフェンスが通り、左右の色が違う。
この右側、緑の濃い方は牧畜のために肥料をまき、牧草を植えた結果。実は左側が島本来の自然の姿なのだとか。この自然の貴重さから丘の半分だけがかろうじて自然保護区に指定されて守られているのだそうだ。

 車を降りて茶色い方へ入ってみると、地面は石がゴロゴロする荒れ地に見える。
ところが地べたに顔を近づけてよく見ると
  
  
  
  
 
色とりどりのかわいい花があちらこちらに。

中でも貴重なのは Edmontston's Chickweed という小さな白い花。
 高山で似たような花を見たことがあるが、この花はなんと世界中でここにしか存在しないのだそうだ。

  小さな蘭も何種類かあって
  この緑色の蘭は Frog Orchid。
なぜカエルなのかはよくわからない。

地面を這いつくばって植物探しをすることしばし。ガイド氏がいてくれたおかげでいろいろ見つけられたが、植物に詳しい人にはここは宝の山らしい。
それにしてもシェトランドの美しい緑、ほとんどは自然の姿ではないのかもしれないと考えると複雑な気分になる。

ガイド氏の専門である鳥もタゲリや、うるさくて不人気というミヤコドリ
  
 ホンケワタガモなどいろいろ教えてもらう。

ツアーの最後は道端のバス停。これが Bobby's Bus Shelter という島で人気の観光地(笑)。
 
30年ほど前、このバス停から学校に通っていたボビー君、撤去されそうになったものを嘆願して残してもらい、以来大切に飾り付けるようになったのが今でも引き継がれているとか。飾りつけは季節によって変わり、行った時はなぜかカエル仕様だった。
ちなみにボビー君は今でも島在住、毎日ラーウィックまで通勤している、とはガイド氏情報。

16時45分には宿まで送ってもらってツアーは終了。
その後はまた自分たちの車で島の北をめざし、Skaw と言う所まで行ってみた。
 
眼下に見えるのが「イギリス最北端の家」。その脇にはNational Cycle Road最北端のサインも見える。
National Cycle Roadはイギリスの東部海岸線をドーバーまで、1695マイル(2728キロ)続いているのだそうだ。

最北端の家の前はきれいなビーチ。
 
崖の上にロケットの発射台が見えるので格好の見学場所だろう。

今夜も夕食はスーパー内のパン屋のパイとインスタントスープになった。


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「写本」展@国立西洋美術館

2024-07-31 12:01:20 | 機内食・映画・美術展

毎日暑い、と引きこもってばかりも何なので、意を決して(笑)上野へおでかけ。

 いつもは前を素通りする国立西洋美術館だけれど、今回は趣味にドストライクの展覧会を見つけたのでやってきた。
 
「写本 いとも優雅なる中世の小宇宙」と題されたこの展覧会は医師である内藤裕史氏の個人コレクション。今はすべて国立西洋美術館に寄贈されている。

 
地下の展示室は9部屋に分かれていて、個人コレクションとはいえ154品と予想よりはるかに多い作品数。
しかも精密な装飾のミニアチュールばかりなので、鼻をくっつけんばかりに接近して見なければならない。老眼の人間には厳しいが、近視の眼鏡をはずしてがんばった。

 こんもりと金泥を盛り上げた写本からスタートするこのコレクション、12世紀から16世紀まで、イギリス、フランス、イタリアを中心に、ネーデルランドやスペインのものもある。

ヨーロッパの写本はもちろん聖書など教会関係のものがほとんどだけれど
   
 
わずかの隙間までも埋めるかのように、必ずしも内容に関係のない鳥や動物まで描き込まれているのが面白くて仕方ない。

  ものすごく細い線でイニシャルを飾る模様も超好み。

 これに顔が書き加えられたものは特に人気が高く、この部分だけが切り取られてオークションにかけられることもあるとか。

聖歌の楽譜もたくさんあるけれど
 中でも一番気に入ったのはこちら。
  
周りの絵がかわいすぎる。

法令集にまで装飾やミニアチュールが施され
 これは留守中に浮気した奥さんを訴えるの図。わかりやすい。

この展覧会では思いがけず写真撮影もOKで、気に入ったものを撮りまくり。
さらに所々にコレクションの背景説明があったのに興味がわいて
 ショップで内藤氏の著書まで買ってしまった。これは読むのが楽しみ。

ところで国立西洋美術館、実はこれまで記憶している限り常設展をちゃんと見たことがなかった。
そこでコルビュジエの建築を見学がてら
  
 
常設展示室を一巡りしてみると、ルネサンス時代から一通り有名画家を網羅しているのに今更ながら感心。

 このフェルメールの模作とされている作品はもしかしたら真筆かも、って本当だろうか。

一番作品が多いのは日本人が大好きな印象派、特にモネが多かったが、驚いたのはそこここで聞こえるのが中国語だったこと。中国人も印象派が好きなのだろうか。
わざわざ日本で西洋美術館に来るほどの人たちなので、みなさんお行儀が良くて安心。

常設の中で自分が一番気に入ったのはこちら。
 フジタはフランス人だからね。

 暑い午後を涼しく過ごさせていただいた。


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スコットランド紀行 22 Unst島ツアー前編

2024-07-29 15:27:58 | ヨーロッパ

5月30日

Unst島の緯度は北緯60度、昨年11月に行ったNZの亜南極の島々よりも高緯度にある。
なのでこの時期、日の入りは22時過ぎ、朝の4時前には日の出なので夜中に目を覚ましても外は真っ暗ではない。夏至の頃にはほぼ白夜になるらしい。

眼は早く覚めるが、朝食は7時45分から。
 
この宿のオーナーは70代の男性だが、自ら朝食を用意してくれる。
聞けば生まれも育ちのこの島、最初は昨日行った店でパンを焼いていたが、その後はこの島にあった軍基地でヘリのパイロットをしていたとか。奥さんを亡くして今は一人でこのB&Bの切り盛りをしている。

8時45分になって、お願いしてあったこの島のネイチャーガイドが車で来てくれた。
今日一日案内してくれるのはイングランド出身の中年男性。鳥好きが高じてこの島に移住したそうだが、日本にも鶴居村のタンチョウなど、鳥を見るために何度か来たことがあるとのこと。

出発して最初に車を停めたのは宿から遠くない桟橋。この辺りでカワウソが見られるかもしれないということで寄ったのだが
 
桟橋で日向ぼっこをしていたのはアザラシたち。

もう一か所、カワウソ・スポットはバイキングの家と船が再現されている所。残念ながらここでもカワウソの姿は見えなかったが
  
 
シェトランド人はバイキングの末裔を自任していて、冬にはこの島も含めてあちこちで「Upp-Helly-A」と呼ばれる火祭りが行われるのだそうだ。

次に向かったのは島の北端にある Harmaness自然保護区。
  
門を入った先には木道がずっと整備されていて
 
  
周りは秋になればヒースでピンクに染まるとのこと。ところで「ヒース Heath」とは厳密にはここのような低灌木の生える荒れ地のことで、ピンクの花が咲く植物は「Heather」なのだそうだ。知らなかった。

 ワタスゲなど見ながら歩くこと1時間ほど。
 
高い崖の上に出た。

  
 
崖っぷちでは羊たちがのんきに海を眺めていたりするが
 
ここから見える岩の上の灯台、Muckle Flugga こそ英国最北端。ここは島になっていて、作家のスティーブンソンのおじさんが設計した灯台は今でこそ自動制御だが少し前までは灯台守がいて、海が荒れた時など何週間も閉じ込められることもあったとか。
ここまで天気のおかげでシェトランドに来ても思いのほか暖かかったが、さすがにここは北極からの風が直接吹いてきて寒い。

さて、この崖の上には他にも観光客がたくさんいるが、ここが有名なのは鳥、中でも Gannet の大営巣地だから。
 
頭が黄色く、目の青い Gannet は飛ぶ姿もカッコよく、少し先の崖の下を覗くと
  
白いゴマ粒はすべて Gannet。
 
 
鳴き声と糞の匂いがすごくて圧倒される。

もう一つ、ここはかわいい Puffin もたくさん見られる所、のはずだったのだが、この日はどういう具合か一羽も見られず。
「この間は草地にいっぱいいたんだけどねえ」とガイド氏。空港近くで撮った花の中の写真を見せると「こんな写真を撮りたくて何日もここに通う人もいるよ」と、初日はよほど運が良かったらしい。

 来た道を戻ると草地にいたのは Skua (トウゾクカモメ)。
これもたくさんいたらしいが、最近の鳥インフルエンザの影響で今年はとても少ないとか。

緯度は高いがこの島はメキシコ暖流のおかげで冬でもほとんど雪は降らないとか、自分たちのように他から移住してくる人間もいるが若者は高等教育のために島を離れるとやっぱり帰ってこないとか、ガイドさんと歩くといろいろ聞けて面白い。


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スコットランド紀行 21 Unst島上陸

2024-07-27 17:48:06 | ヨーロッパ

5月29日 続き

石油基地を見ながら少し行くとフェリー乗り場が見えてきた。
 
この乗り場は地図の小さな円のところ、これから Yell島を通り抜け、シェトランドでも最北端の Unst島に行くのだ。

しばらく待っているとYell行きのフェリーがやって来て、用意周到な同行者が事前に予約をしておいてくれたおかげで無事乗船。
 
便はほぼ30分おきと頻繁に出ているが、運が悪いと満車で2,3本待つこともあるのだとか。
 乗り込むと係員がやって来て運賃徴収。切符は必ず往復、車一台+一人で£19.3。所要時間は20分なので車に乗ったままで対岸へ。

Yell島は平べったい島で、人口は900人いるそうだが有名な見どころなどはない。
  
 
というわけでよく整備された道を飛ばして通り抜け、Unst島へ渡るフェリー乗り場へ直行。

  
こちらのフェリーは少し小さくて、所要時間もわずか10分。
 で無事にUnst島上陸。

 
海べりに集落が散らばる中、島の中央を突っ切る道路を通って島のほぼ真ん中に位置する最大の集落、Baltasound へ。と言ってもこの島全体の人口が650人ほど。Baltasound も周りに家が見えるな、というほどの密集(?)程度だが
 今夜の宿はその中の一軒、Winwick House。
 
部屋の窓からは庭の向こうに海が見える。

この宿に着いたのが16時、17時には店が閉まるというのですぐ近くの「スーパー」へ。
 
Skibhoul Storesはパン屋も併設したスーパーだが、真ん中にあるのは冷凍食品。
 
海に囲まれているのに売られている魚は燻製や塩漬け。ブラックプディングはたくさんあるけれど
 野菜や果物の品ぞろえはこの通りでかなり厳しい。

ここから車で2,3分の所にはもう一軒店があるが
 こちらの半分は電気製品や雑貨で生鮮食品はない。
そんなわけで島の住人は定期的にラーウィックにある大きなTescoに買い出しに行き、雑貨などは最近はオンラインで買うと郵便局員が配達をしてくれるのだそうだ。

そんなBaltasound だけれど
 店の前にあった掲示板によると、ここは19世紀末から1920年頃まではヨーロッパ最大のニシンの水揚げ港で、年間36,000トンも収量のあった最盛期には人口も1万人もいたのだとか。

さて、買い物は済ませたがまだまだ日は高い。
そこで車で少し北の Norwick へ。
 途中「イギリス最北端の教会」など見つつ
  
 
やって来た砂浜のきれいなこと。

さらに北へ、高い丘に上ると眼下に面白いものが見える。
 
ここはなんと Saxavord という民間ロケット打ち上げ基地。まだ候補地の一つだそうだがすでに発射台ができて、打ち上げテストも実施中とか。
 
好奇心の強い羊たちに見守られつつ看板を読んでみると、「エイリアンは宇宙警察に通報されて火星に送られます」とのこと。

丘を降りた所には宿舎などもできているが
  
  やっぱりしゃれ好きなようだ。
それにしてもなぜこれほど辺鄙な所に作るのか、環境問題や雇用のチャンスなど、地元民の間でも賛否両論らしい。

宿に戻ったのは18時半。夕食の時間だがこれが大問題。
村に食堂などはなく、ホテルが一軒あるがレストランの予約をしようと行ってみると「うちはツアー客でいっぱいだから」とけんもほろろの対応だった、と同行者。宿のオーナーなどによるとホテルの経営者は島外の人間だが変わり者と悪評だらけ。それでよくホテルが経営できる、となんとも不思議。

というわけで今夜の食事は部屋で
 こうなった。


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