[3月16日09:00.石川県金沢市 十条伝助の実家 十条伝助&キール・プルー]
「……で、これがワシが開発した最新鋭の感情レイヤーじゃ。これが人間並み喜怒哀楽の感情を持たせ、滑らか且つ豊かな感情表現を……」
十条は日曜日であるにも関わらず、自宅に訪れた地元の大学生にレクチャーをしていた。
学生達の目的は、執事ロボットのキールである。
キールの存在もまた学界では注目度が高いのだ。
「ふう……」
学生達が帰ってから、十条は少しバラしたキールの部品を元に戻した。
「博士。だいぶ、お疲れです。今日はもうお休みになられた方が……」
キールが言った。
「いや、なに。レクチャーくらいどうってことないわい。1番疲れたのは、熱海くんだりじゃがな」
「ああ……。何か、エミリーが『キツく・注意します』と言ってきました」
「エミリーが?はて……。エミリーが敷島君に何をするというんじゃ?」
「こんな感じです」
「!」
キールは両目から画像を出し、白い壁に投影させた。
そこには、エミリーにチョークスリーパーを食らう敷島の姿があった。
「これはギャグじゃろう?」
「それは分かりませんが……」
「エミリーが無表情だし、背後に鏡音リンとレンが大笑いしながら『おしおき』のプラカードを持っておるし」
「はあ……」
「お前がエミリーをけしかけたな?」
「い、いえ、そのような事実は一切ございません」
「……感情レイヤーには、まだ改良の余地があるな。『咄嗟に嘘をつく』のは要らんじゃろう」
「す、すいません。エミリーに、『博士がお怒りなので、取り急ぎ敷島参事に反省を促した方が良い』と……」
「それが、これか。南里の意向でそのままにしてあるが、いっそのことエミリーも改造しようかの」
「そ、それはダメです!」
「何故じゃ?」
「エミリーのことですから、感情レイヤーを改良しても、往復ビンタは免れないかと」
「随分と確信を持って言うが、されたことあるのかね?」
[同日18:00.宮城県仙台市青葉区 敷島のマンション 敷島孝夫、アリス・フォレスト、エミリー]
「あー、エラい目に遭った。まだ首が痛ェ……」
「申し訳・ありません」
「シキシマが悪い」
取りあえず、エミリーに首を揉んでもらう敷島だった。
で、ピシャリと断罪するアリス。
「明日までに治るかなぁ……」
「それよりシキシマ、今週末なんだけど、東京行かない?」
「あ?観光ならしないよ」
「そうじゃないの!じー様の遺産回収に行くから」
「東京にあるの?」
敷島は意外そうな顔をした。
「んー、正確には東京じゃないんだけど……」
「どこだよ?」
敷島はタブレットを持ってきた。
「Googleマップ出すから、それで具体的な場所教えてくれよ?」
「…………」
「ん?」
スッとアリスが出した所は……。
「TDR(東京ディズニー・リゾート)じゃねぇかよ!二次創作でも、オリエンタルランドの規制が厳しいからダメ!」
「規制!?」
詳細はアンサイクロペディアを参照のこと。ガクブル……。
[同日21:00.同場所 敷島孝夫]
{「あー、もしもし。敷島君か。ワシじゃ」}
「ワシワシ詐欺ならお断りですよ」
{「誰がワシワシ詐欺じゃ!少しは年寄りをいたわらんかい」}
「固くて私には割れません」
{「板割るんじゃない!労わるんじゃ!……それよりアリス嬢から聞いたと思うが……」}
「年度末で忙しいのに、ディズニー・リゾートに行けるかって話ですか?」
{「? そんなこと言ったのかね?」}
「ええ」
{「ならば、連れて行ってあげなさい」}
「本当にそこにウィリーの遺産が!?」
{「いや、ただ単に遊びに行きたいだけじゃろう。まだ嬢は23、4じゃろう?」}
「だから忙しいって」
{「まあ、ディズニーはともかくとして、東京方面にヤツの遺産が隠されているのは本当じゃよ」}
「あ、そうなんですか」
{「遺産の掘り返しなら、キミの業務の1つでもあるじゃろう?」}
「まあ、そうですね。でも、よく今までバレませんでしたね?」
{「ビルの解体工事中に見つかったというんじゃな」}
「そんな、簡単に……」
{「東日本大震災の影響じゃよ。ほら、千葉県の浦安市などは液状化現象が酷かったじゃろう?」}
「そうですね」
{「結局解体することになって、いざ解体工事をしてみたら、出て来たとの情報が入ってきた。それを確かめに行ってくれんか?」}
「行ってくれんかって、理事は来られないんですか?」
{「行きたいのは山々じゃが、ある事故で金沢から静岡の熱海まで往復するハメになっての、そのせいでまだ足が痛むのじゃ」}
「す、すいませんでした」
{「とにかく、アリスが言いたかったのは、TDRのある町にウィリーの遺産が隠されている、ということじゃろう。一緒に行ってあげなさい」}
「分かりました」
「……で、これがワシが開発した最新鋭の感情レイヤーじゃ。これが人間並み喜怒哀楽の感情を持たせ、滑らか且つ豊かな感情表現を……」
十条は日曜日であるにも関わらず、自宅に訪れた地元の大学生にレクチャーをしていた。
学生達の目的は、執事ロボットのキールである。
キールの存在もまた学界では注目度が高いのだ。
「ふう……」
学生達が帰ってから、十条は少しバラしたキールの部品を元に戻した。
「博士。だいぶ、お疲れです。今日はもうお休みになられた方が……」
キールが言った。
「いや、なに。レクチャーくらいどうってことないわい。1番疲れたのは、熱海くんだりじゃがな」
「ああ……。何か、エミリーが『キツく・注意します』と言ってきました」
「エミリーが?はて……。エミリーが敷島君に何をするというんじゃ?」
「こんな感じです」
「!」
キールは両目から画像を出し、白い壁に投影させた。
そこには、エミリーにチョークスリーパーを食らう敷島の姿があった。
「これはギャグじゃろう?」
「それは分かりませんが……」
「エミリーが無表情だし、背後に鏡音リンとレンが大笑いしながら『おしおき』のプラカードを持っておるし」
「はあ……」
「お前がエミリーをけしかけたな?」
「い、いえ、そのような事実は一切ございません」
「……感情レイヤーには、まだ改良の余地があるな。『咄嗟に嘘をつく』のは要らんじゃろう」
「す、すいません。エミリーに、『博士がお怒りなので、取り急ぎ敷島参事に反省を促した方が良い』と……」
「それが、これか。南里の意向でそのままにしてあるが、いっそのことエミリーも改造しようかの」
「そ、それはダメです!」
「何故じゃ?」
「エミリーのことですから、感情レイヤーを改良しても、往復ビンタは免れないかと」
「随分と確信を持って言うが、されたことあるのかね?」
[同日18:00.宮城県仙台市青葉区 敷島のマンション 敷島孝夫、アリス・フォレスト、エミリー]
「あー、エラい目に遭った。まだ首が痛ェ……」
「申し訳・ありません」
「シキシマが悪い」
取りあえず、エミリーに首を揉んでもらう敷島だった。
で、ピシャリと断罪するアリス。
「明日までに治るかなぁ……」
「それよりシキシマ、今週末なんだけど、東京行かない?」
「あ?観光ならしないよ」
「そうじゃないの!じー様の遺産回収に行くから」
「東京にあるの?」
敷島は意外そうな顔をした。
「んー、正確には東京じゃないんだけど……」
「どこだよ?」
敷島はタブレットを持ってきた。
「Googleマップ出すから、それで具体的な場所教えてくれよ?」
「…………」
「ん?」
スッとアリスが出した所は……。
「TDR(東京ディズニー・リゾート)じゃねぇかよ!二次創作でも、オリエンタルランドの規制が厳しいからダメ!」
「規制!?」
詳細はアンサイクロペディアを参照のこと。ガクブル……。
[同日21:00.同場所 敷島孝夫]
{「あー、もしもし。敷島君か。ワシじゃ」}
「ワシワシ詐欺ならお断りですよ」
{「誰がワシワシ詐欺じゃ!少しは年寄りをいたわらんかい」}
「固くて私には割れません」
{「板割るんじゃない!労わるんじゃ!……それよりアリス嬢から聞いたと思うが……」}
「年度末で忙しいのに、ディズニー・リゾートに行けるかって話ですか?」
{「? そんなこと言ったのかね?」}
「ええ」
{「ならば、連れて行ってあげなさい」}
「本当にそこにウィリーの遺産が!?」
{「いや、ただ単に遊びに行きたいだけじゃろう。まだ嬢は23、4じゃろう?」}
「だから忙しいって」
{「まあ、ディズニーはともかくとして、東京方面にヤツの遺産が隠されているのは本当じゃよ」}
「あ、そうなんですか」
{「遺産の掘り返しなら、キミの業務の1つでもあるじゃろう?」}
「まあ、そうですね。でも、よく今までバレませんでしたね?」
{「ビルの解体工事中に見つかったというんじゃな」}
「そんな、簡単に……」
{「東日本大震災の影響じゃよ。ほら、千葉県の浦安市などは液状化現象が酷かったじゃろう?」}
「そうですね」
{「結局解体することになって、いざ解体工事をしてみたら、出て来たとの情報が入ってきた。それを確かめに行ってくれんか?」}
「行ってくれんかって、理事は来られないんですか?」
{「行きたいのは山々じゃが、ある事故で金沢から静岡の熱海まで往復するハメになっての、そのせいでまだ足が痛むのじゃ」}
「す、すいませんでした」
{「とにかく、アリスが言いたかったのは、TDRのある町にウィリーの遺産が隠されている、ということじゃろう。一緒に行ってあげなさい」}
「分かりました」