報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「山奥の研究所」

2024-04-21 16:11:50 | このブログについて
[3月22日09時15分 天候:晴 神奈川県相模原市緑区某所 国家公務員特別研修センター守衛所]

 藤野駅からタクシーに乗り込んだリサ達は、その足で国家公務員特別研修センターに向かった。
 そこ自体は既にもう何度も行った、勝手知ったる施設である。
 正門は普段、重厚な門扉が閉じられている。

 レイチェル「まるで刑務所のようですね」
 リサ「刑務所の受刑者の方がマシかもしれないよ……」
 愛原「あ、すいません。そこで止めてください」
 運転手「はい」

 リサ達が乗ったトールワゴンタイプのタクシーが、重厚な正門の前で止まる。
 愛原が支払いをしている間、リサはハッチを開けてもらい、そこから自分の荷物を降ろした。
 その間、レイチェルが辺りを警戒している。

 愛原「お待たせ」

 支払いを終えた愛原がタクシーから降りて来た。
 そして、正門横の通用口のインターホンを押す。

 愛原「おはようございます!東京から参りました愛原です!」

〔「どうぞ。お入りください」〕

 門扉の電気錠が解錠される音がする。
 愛原はドアを開けて、リサ達を先に入れた。

 守衛長「やあ、皆さん。またお越しですな」

 すっかり顔見知りとなった50代後半の守衛長がにこやかに出迎えた。
 便宜上、『守衛長』と呼ばれているだけで、正式には総務部総務課警備係長であり、部下の守衛達からは『警備官』と呼ばれているようだ。

 愛原「また、お世話になります。といっても、こちらのリサだけですが」
 リサ「ど、どうも……」
 守衛長「月並みですが、また手荷物検査をさせて頂きます」
 愛原「はい、分かりました。その前に、持ち込み禁止品は先に出しておきます」
 守衛長「ははは。さすが愛原さん、もう慣れたものですな」
 愛原「いや、それはもう……。レイチェル、ここでは銃器や刃物の持ち込みは禁止だ」
 レイチェル「Yes,sir.」
 守衛長「それにしても、日本の国家機密施設にアメリカ人が入って来るとはねぇ……。日本は敗戦国からねぇ……」
 愛原「米軍人ではないですよ、レイチェルは」
 レイチェル「BSAA北米支部、隊員養成学校生のレイチェル・グラハムです」
 守衛長「パスポートか在留カードは持ってますか?」
 レイチェル「はい」

 因みにレイチェルは、留学ビザで入国しているもよう。
 実際その通りなのだが。
 レイチェルの場合、BSAAが費用を負担している為、『公費留学』ということになる。
 留学後の進路は自由であることが多いが、BSAAの養成学校生ということもあり、大体がその後、BSAAに正規隊員として入隊することが普通。
 他にも、国防大学への進学の道もあるという。

 レイチェル「こちらがBSAAのIDです」
 守衛「はい」

 受付にいる守衛は、レイチェルの在留カードとBSAAの身分証の確認した。
 レイチェルの留学期間は来年春までと、比較的長期である為、在留カードの発行資格がある(90日以下の短期滞在者には発行されない)。
 本来は極東支部韓国地区本部のパク・ヨンヒが日本への留学対象者であったが、半死半生の憂き目に遭い、留学中止を余儀なくされた。
 そこで急きょ代わりに選定されたのが、レイチェルだったわけである。
 北米支部では地区本部制は実施されていない。

 愛原「これが私の銃器です」
 守衛長「これはまた立派なショットガンですな」
 愛原「もちろん、普段はこのようにバッグに入れております。で、これが許可証です」
 守衛長「安全装置は、ちゃんと付けていますか?」
 愛原「もちろんです。この通り」
 守衛長「さすがは愛原さんだ」
 守衛「ちょっと、困るな!こんなに持ち込まれちゃ!」
 レイチェル「Ah...ゴメンナサイ」
 愛原「どうしました!?……うっ!」

 レイチェルはどこに隠し持っていたのか、大型の拳銃が2丁とアーミーナイフが1丁、それとジャックナイフとサバイバルナイフを1丁ずつ持っていた。

 愛原「さすがは軍人さん……。養成員だけど」

 他にも大型拳銃に使用する銃弾もあった。

 レイチェル「これで全部です」
 守衛長「……一応、装備品につきましては、デイライトさんを通してBSAAの方に確認を取らせて頂きますので」
 レイチェル「はい。そうしてください」

 こうしてリサ達は、無事に入館証を手にすることができた。
 とはいえ、自由に構内を歩けるわけではなく、守衛長自らの護衛つき。
 それから、守衛も2人付いてくるVIP待遇だ。
 守衛達は警備会社から派遣されてきた、警備業法の適用を受けている『警備員』ではなく、国家公務員特別研修センターの運営元に直接雇用されている為、『守衛』である。
 着ている制服などは、殆ど『警備員』と変わらないように見えるが、やはり法務省の刑務官の制服に似ているところがある。
 紺色の制服なところは警察官に似ているようで、やはり警察官とは違う。

 守衛長「居住区へご案内致します。さすがに、研究施設まではお見せできませんが」
 愛原「それは仕方無いですね」

 まずは研修センターの建物の中に入る。
 その奥にあるエレベーターで、地下の研究施設に向かった。
 エレベーターを地下に向かわせる為には、専用のカードキーを読取機に読み取らさなくてはならない。
 しかし今回、リサ達に発行された入館証では、このエレベーターを動かすことはできなかった。
 先導する守衛長が持っている守衛用のカードキーで、ようやく起動させることができる。
 エレベーターは表向き、客室上階と下階を結ぶ車椅子対応用となっている為、ドアなどはガラス張りである。
 しかし、地下に向かうと、窓から見える景色は無機質なコンクリートだけのものとなる。

 レイチェル「かなり地下深い所まで下りるようですね」
 守衛長「元々が小高い所にありますからな、そのように見えるだけで、そんなに地下深い所まで潜るわけではありません」

 と、守衛長が説明する。
 そしてようやく、エレベーターは地下階に到着した。
 研究施設は見せられないとはいうが、導線上、リサが滞在する居住区に向かうまでの間、ちょこっとそこは通ることになる。
 研究施設ということもあって、白い床に白い壁が目立つメタリックな内装となっている。
 ガラス張りの部屋の前を通るが、そこは研究施設の事務所となっているだけのようだ。
 ブレザーに制帽、そして警棒を持っているだけの地上の守衛達と違い、地下研究施設を警備する守衛は、ヘルメットと防刃チョッキ、ショットガンで武装していた。
 ここには、研究用とはいえ、バイオハザードで暗躍したクリーチャーも保管されているからである。
 万が一、脱走した時のことを考えて、武装守衛を配置しているのだろう。
 だが、リサはそうは思わなかったようで……。

 リサ「もしかして、警戒されてる?」

 自分の警戒の為に、特別に配置されているものだと思ったようだ。
 しかも……。

 守衛長「まあ、万が一です。万が一。あなたが何もしなければ、我々も、あの人達も何もしませんよ」

 と、守衛長も肯定している。
 ということは、武装守衛はいつもいるわけではないのだろうか。

 守衛長「こちらです」

 事務所エリアの廊下を突き抜けると、カードキーで開けるドアがあり、守衛長はそれを開けた。
 しかも、二重扉になっている。
 それらを開けて、ようやく居住区に到着した。
 内部の詳しい案内は、次回にさせて頂く。

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