[7月13日14:51.天候:雨 東京都大田区蒲田 京急蒲田駅→東京都港区高輪 品川駅]
京急空港線内は、何とか“魔の者”には見つからずに済んだ。
いや、恐らく見つかってたのかもしれない。
天空橋駅からの地上区間では、確かに晴れ間が見えていた。
しかし、大鳥居駅を通過してからの地上区間では曇っていた。
そして、京急蒲田駅。
〔「この電車は快特、京成高砂行きです。品川、泉岳寺の順に止まります。まもなく発車致します」〕
稲生達がこの駅で降りず、そのまま上り電車に乗り続けることを知った“魔の者”は……。
〔「ご乗車ありがとうございます。この電車は快特、京成高砂行きです。品川、泉岳寺の順に止まります。泉岳寺から先、都営地下鉄浅草線内と京成押上線内は各駅に止まります。次は品川、品川です」〕
電車が走り出すと、空には黒い雲が立ち込めた。
そして、雷鳴と共にバケツをひっくり返したような雨が降り注ぐ。
〔「お客様にお知らせ致します。只今、電車、ゲリラ豪雨の中を走行しております。換気による窓開けを行っている所がございますが、雨が入る恐れがありますので、窓は閉めてご利用頂くよう、お願い申し上げます」〕
マリア:「とんでもない“魔の者”だ」
勇太:「いや、全く」
勇太は隣の乗客と力を合わせて、開いている窓を閉めた。
旧型車両でなくても、窓の開閉が重い所があったりするからだ。
バケツをひっくり返したような雨でも、電車の運行に支障は出ず、無事に品川駅に到着した。
〔「品川です。この電車は都営浅草線、京成押上線直通、普通車、京成高砂行きです」〕
勇太:「地下に入れば、また誤魔化せるかな?」
マリア:「どうだろうな?」
1分の停車の後、電車は再び発車した。
次の泉岳寺駅から地下鉄区間になり、上空からグーグルアースの如く監視している“魔の者”の目は誤魔化せるだろう。
マリア:「どこで降りる?」
勇太:「そうだなぁ……」
[同日15:06.天候:不明 東京都港区浜松町 都営地下鉄大門駅→大江戸線電車先頭車内]
〔2番線は京成押上線直通、各駅停車、京成高砂行きです。大門(浜松町)、大門(浜松町)。都営大江戸線、JR線、東京モノレールは、お乗り換えです〕
森下に行くのには、他に東日本橋駅で降りて、都営新宿線に乗り換えるというルートがある。
しかし、勇太はその手前の大門駅での乗り換えを選択した。
なるべく、他の地下鉄よりも地下深くを行く大江戸線で行った方が、より監視の目を誤魔化せるのではないだろうかと思ったのだ。
〔2番線、ドアが閉まります〕
大門駅にはホームドアがある。
電車のドアとホームドアが閉まり切ってから、電車が走り去って行った。
勇太:「よし。今度は大江戸線だ」
勇太はマリアの手を引いて、大江戸線ホームに向かった。
〔まもなく3番線に、両国、春日経由、都庁前行き電車が到着します。ドアから離れて、お待ちください〕
接続を取っているのかは不明だが、そんなに待ち時間無く電車がやってくる。
都営大江戸線は全区間地下を走行する為、車体が雨に濡れているということはなかった。
それでもフロントガラスにワイパーが付いているのは、仕様なのだろう。
せいぜい洗車の時にくらいしか使わないのだろうか。
何しろ、車両基地ですら地下にあるほどである。
〔大門(浜松町)、大門(浜松町)。都営浅草線、JR線、東京モノレールはお乗り換えです〕
電車に乗り込むと、京急線を走行した都営地下鉄の車両よりは硬い座席に腰かけた。
短い発車サイン音が、電車の車外スピーカーから流れる。
そして、ホームドアと車両のドアが同時に閉まった。
浅草線の場合は車掌乗務のツーマン運転なので、その後、車掌による発車合図のブザーが鳴ってから発車していたが、大江戸線はワンマン運転なので、ドアが閉まり切ったらすぐに発車する。
ホームドアが無かった頃は、車両のドアが閉まると同時にスッと走り出していたものだ。
〔都営大江戸線をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は両国、春日経由、都庁前行きです。次は汐留(シオサイト)、汐留(シオサイト)。“ゆりかもめ”は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕
こちらは雨に一切当たる心配が無い代わりに、換気の為の窓が開けられたままである。
その為、車外からの走行音がもろに車内に入って来てやかましい。
これはトンネルが狭いのと、カーブが多いからである。
勇太:「これで、しばらくは凌げるだろう。問題は、駅に着いてからだね。駅からホテルまでは、どうしても地上を行かないといけない」
マリア:「こればっかりは、ダッシュで行くしかないか……」
勇太:「テレポーテーションで行けたりしない?瞬間移動魔法の短距離版」
マリア:「あれかぁ……。よし、やってみよう。どこにする?」
勇太:「そうだねぇ……」
[同日15:28.天候:不明 東京都江東区森下 都営地下鉄森下駅]
〔森下、森下。桜鍋の“みの家”へおいでの方は、こちらでお降りください〕
電車が森下駅に到着する。
〔森下、森下。都営新宿線は、お乗り換えです〕
電車を降りて改札口に向かう。
そして、改札口の外に出ると、2人はエレベーターに向かった。
多目的トイレに向かうことも考えたが、人通りが多く、入った瞬間、怪しまれるだろうと思ったからである。
密室を狙うなら、エレベーターでも良い。
但し、他の利用客と同乗していないことが条件。
幸いにして、この駅のエレベーターにはドアに窓が無い。
改札外コンコースと地上を行き来するエレベーターを狙った。
他に客がいないのを見計らうのは、勇太の役目。
マリアは……。
マリア:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ。我らを飛ばせ。行き先は、ワンスターホテルなり。パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ……」
〔上へ参ります〕
勇太:「さ、早く」
勇太は目を閉じて呪文の詠唱を行っているマリアをエレベーターに乗せた。
〔ドアが閉まります〕
そして、自分も乗り込んで素早く閉めるボタンを押す。
マリア:「Lu la!」
2人の体は光に包まれ、そして消えた。
エレベーターが地上階に着いた時、そこには誰もいなくなっていた。
[同日15:40.天候:雨 同地区内 ワンスターホテル・エレベーター内]
次の瞬間、2人の体はワンスターホテルのエレベーターの中にあった。
マリア:「真っ暗で見えないぞ!」
勇太:「ちょっと待って!」
エレベーターの中には、長時間使用しないと節電モードの働く機種がある。
それが働くと、籠内の照明が消え、換気ファンも止まるのである。
但し、閉じ込めを防止する為、開けるボタンだけは点灯しており、それを押せば、中からドアが開くようになっている。
勇太は一旦、開けるボタンを押した。
すると、エレベーターのドアが開く。
どうやら、最上階の5階にいるようだ。
再びドアを閉め、1階のボタンを押すとエレベーターは下降し始めた。
勇太:「ふう、これでよし」
マリア:「久しぶりにこの魔法使ったけど、上手く行って良かった」
勇太:「さすがマリア」
これ、結果的に上手く行ったから良かったものの、もしも多目的トイレで使用していたら大変だった。
地下鉄の駅は、『建物』ではなく、『洞窟』と同様の扱いになっている。
『洞窟』では瞬間移動の魔法は使えない。
まずは地上脱出魔法で脱出してから、瞬間移動魔法を使うという手順がある。
しかしながら、地上階とを結ぶエレベーターの中は、ぎりぎり『建物』という扱いになる為か、そこで瞬間移動魔法を使う分にはセーフだったようである。
京急空港線内は、何とか“魔の者”には見つからずに済んだ。
いや、恐らく見つかってたのかもしれない。
天空橋駅からの地上区間では、確かに晴れ間が見えていた。
しかし、大鳥居駅を通過してからの地上区間では曇っていた。
そして、京急蒲田駅。
〔「この電車は快特、京成高砂行きです。品川、泉岳寺の順に止まります。まもなく発車致します」〕
稲生達がこの駅で降りず、そのまま上り電車に乗り続けることを知った“魔の者”は……。
〔「ご乗車ありがとうございます。この電車は快特、京成高砂行きです。品川、泉岳寺の順に止まります。泉岳寺から先、都営地下鉄浅草線内と京成押上線内は各駅に止まります。次は品川、品川です」〕
電車が走り出すと、空には黒い雲が立ち込めた。
そして、雷鳴と共にバケツをひっくり返したような雨が降り注ぐ。
〔「お客様にお知らせ致します。只今、電車、ゲリラ豪雨の中を走行しております。換気による窓開けを行っている所がございますが、雨が入る恐れがありますので、窓は閉めてご利用頂くよう、お願い申し上げます」〕
マリア:「とんでもない“魔の者”だ」
勇太:「いや、全く」
勇太は隣の乗客と力を合わせて、開いている窓を閉めた。
旧型車両でなくても、窓の開閉が重い所があったりするからだ。
バケツをひっくり返したような雨でも、電車の運行に支障は出ず、無事に品川駅に到着した。
〔「品川です。この電車は都営浅草線、京成押上線直通、普通車、京成高砂行きです」〕
勇太:「地下に入れば、また誤魔化せるかな?」
マリア:「どうだろうな?」
1分の停車の後、電車は再び発車した。
次の泉岳寺駅から地下鉄区間になり、上空からグーグルアースの如く監視している“魔の者”の目は誤魔化せるだろう。
マリア:「どこで降りる?」
勇太:「そうだなぁ……」
[同日15:06.天候:不明 東京都港区浜松町 都営地下鉄大門駅→大江戸線電車先頭車内]
〔2番線は京成押上線直通、各駅停車、京成高砂行きです。大門(浜松町)、大門(浜松町)。都営大江戸線、JR線、東京モノレールは、お乗り換えです〕
森下に行くのには、他に東日本橋駅で降りて、都営新宿線に乗り換えるというルートがある。
しかし、勇太はその手前の大門駅での乗り換えを選択した。
なるべく、他の地下鉄よりも地下深くを行く大江戸線で行った方が、より監視の目を誤魔化せるのではないだろうかと思ったのだ。
〔2番線、ドアが閉まります〕
大門駅にはホームドアがある。
電車のドアとホームドアが閉まり切ってから、電車が走り去って行った。
勇太:「よし。今度は大江戸線だ」
勇太はマリアの手を引いて、大江戸線ホームに向かった。
〔まもなく3番線に、両国、春日経由、都庁前行き電車が到着します。ドアから離れて、お待ちください〕
接続を取っているのかは不明だが、そんなに待ち時間無く電車がやってくる。
都営大江戸線は全区間地下を走行する為、車体が雨に濡れているということはなかった。
それでもフロントガラスにワイパーが付いているのは、仕様なのだろう。
せいぜい洗車の時にくらいしか使わないのだろうか。
何しろ、車両基地ですら地下にあるほどである。
〔大門(浜松町)、大門(浜松町)。都営浅草線、JR線、東京モノレールはお乗り換えです〕
電車に乗り込むと、京急線を走行した都営地下鉄の車両よりは硬い座席に腰かけた。
短い発車サイン音が、電車の車外スピーカーから流れる。
そして、ホームドアと車両のドアが同時に閉まった。
浅草線の場合は車掌乗務のツーマン運転なので、その後、車掌による発車合図のブザーが鳴ってから発車していたが、大江戸線はワンマン運転なので、ドアが閉まり切ったらすぐに発車する。
ホームドアが無かった頃は、車両のドアが閉まると同時にスッと走り出していたものだ。
〔都営大江戸線をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は両国、春日経由、都庁前行きです。次は汐留(シオサイト)、汐留(シオサイト)。“ゆりかもめ”は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕
こちらは雨に一切当たる心配が無い代わりに、換気の為の窓が開けられたままである。
その為、車外からの走行音がもろに車内に入って来てやかましい。
これはトンネルが狭いのと、カーブが多いからである。
勇太:「これで、しばらくは凌げるだろう。問題は、駅に着いてからだね。駅からホテルまでは、どうしても地上を行かないといけない」
マリア:「こればっかりは、ダッシュで行くしかないか……」
勇太:「テレポーテーションで行けたりしない?瞬間移動魔法の短距離版」
マリア:「あれかぁ……。よし、やってみよう。どこにする?」
勇太:「そうだねぇ……」
[同日15:28.天候:不明 東京都江東区森下 都営地下鉄森下駅]
〔森下、森下。桜鍋の“みの家”へおいでの方は、こちらでお降りください〕
電車が森下駅に到着する。
〔森下、森下。都営新宿線は、お乗り換えです〕
電車を降りて改札口に向かう。
そして、改札口の外に出ると、2人はエレベーターに向かった。
多目的トイレに向かうことも考えたが、人通りが多く、入った瞬間、怪しまれるだろうと思ったからである。
密室を狙うなら、エレベーターでも良い。
但し、他の利用客と同乗していないことが条件。
幸いにして、この駅のエレベーターにはドアに窓が無い。
改札外コンコースと地上を行き来するエレベーターを狙った。
他に客がいないのを見計らうのは、勇太の役目。
マリアは……。
マリア:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ。我らを飛ばせ。行き先は、ワンスターホテルなり。パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ……」
〔上へ参ります〕
勇太:「さ、早く」
勇太は目を閉じて呪文の詠唱を行っているマリアをエレベーターに乗せた。
〔ドアが閉まります〕
そして、自分も乗り込んで素早く閉めるボタンを押す。
マリア:「Lu la!」
2人の体は光に包まれ、そして消えた。
エレベーターが地上階に着いた時、そこには誰もいなくなっていた。
[同日15:40.天候:雨 同地区内 ワンスターホテル・エレベーター内]
次の瞬間、2人の体はワンスターホテルのエレベーターの中にあった。
マリア:「真っ暗で見えないぞ!」
勇太:「ちょっと待って!」
エレベーターの中には、長時間使用しないと節電モードの働く機種がある。
それが働くと、籠内の照明が消え、換気ファンも止まるのである。
但し、閉じ込めを防止する為、開けるボタンだけは点灯しており、それを押せば、中からドアが開くようになっている。
勇太は一旦、開けるボタンを押した。
すると、エレベーターのドアが開く。
どうやら、最上階の5階にいるようだ。
再びドアを閉め、1階のボタンを押すとエレベーターは下降し始めた。
勇太:「ふう、これでよし」
マリア:「久しぶりにこの魔法使ったけど、上手く行って良かった」
勇太:「さすがマリア」
これ、結果的に上手く行ったから良かったものの、もしも多目的トイレで使用していたら大変だった。
地下鉄の駅は、『建物』ではなく、『洞窟』と同様の扱いになっている。
『洞窟』では瞬間移動の魔法は使えない。
まずは地上脱出魔法で脱出してから、瞬間移動魔法を使うという手順がある。
しかしながら、地上階とを結ぶエレベーターの中は、ぎりぎり『建物』という扱いになる為か、そこで瞬間移動魔法を使う分にはセーフだったようである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます