[7月19日14:15.天候:晴 静岡県富士宮市上条 日蓮正宗大石寺・奉安堂]
御法主日如上人猊下:「遠ごん各地よりジンシンのトウザン、願い出により、本門戒壇之大御本尊御開扉奉り、無始以来、謗法・罪障消滅……【中略】……懇ろに申し上げました」
カタカナはどういう漢字を書くのか不明。
多分、ジンシンは『深信』または『深心』、トウザンは『当参』と書くのではないかと思われる。
御開扉は内拝、つまり秘密の儀式に当たる為、文言が明文化されていないようである。
もちろん、御法主上人猊下は基本的に最初の文言以外は一字一句変えることはない。
もしも海外信徒が多い場合は、『海外を始め』という文言が加わり、支部総登山での参加者がいると、『支部総登山を始め』という文言が加わる。
両方とも多い場合は、『海外並びに支部総登山を始め、遠ごん各地よりジンシンのトウザン』となる。
ここから推測できるのは、御法主上人猊下は、予めその日の信徒の顔ぶれを大方知らされているということだ。
まあ、当然か。
信徒以外の者は入れないのだから、どういった信徒が来ているのかは添書の内容で一目瞭然だろう。
〔「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経……」〕
御法主上人猊下の御説法が終わると、すぐに唱題に入る。
今度は、本門戒壇之大御本尊が御安置されている御厨子を閉め、厳重かつ頑丈な鎧戸を閉めるのである。
厨子の閉扉は僧侶が行い、鎧戸の閉扉は自動で行われる。
勇太:(そういえば、あの御厨子の扉は電動じゃないな……)
閂が付いているタイプの、手動式観音扉。
多分、あえてそうしているのだろう。
日本のタクシーのドアは自動開閉なのに、それより高級なハイヤーのドアが手動なのと同じ理由なのかもしれない。
鎧戸まで閉まり切ると、ここで唱題は一旦終了。
御法主上人猊下が離席される。
この時、猊下は信徒席に向かって必ず一礼して下さるので、信徒側もそれに対して答礼する。
この際、信徒は席に座ったままで良い。
席に座ったままで良いのだが、答礼の際は必ず合掌をしたままである。
立ち上がったり、顕正会員のように伏せ拝をする必要は無い。
信徒が猊下に伏せ拝をするのは、大坊での御目通りの時くらいか?
猊下や他の御僧侶が退場される際、再び唱題が行われる。
退場が終わると、そこでようやく『御開扉』は終了となる。
〔「退場に際し、注意事項を申し上げますので、席を立たずに、そのままでお待ちください。……」〕
人数が多い場合は、各ブロックごとに分割して退場の指示が出るのだが、空いている場合は一気に退場の指示が出る。
〔「それでは、席をお立ち下さい」〕
藤谷:「よし。それじゃ、帰るとするか」
勇太:「マリアを迎えに行きませんと」
藤谷:「それもそうだな。電車の時間は何時だ?」
勇太:「16時26分発です」
藤谷:「そうなのか。まだ、2時間くらいあるな。どれ、お土産でも買って行くか?」
勇太:「そうですね」
奉安堂を出てから、勇太と藤谷は仲見世売店に向かった。
[同日14:30.天候:晴 大石寺売店“藤のや”]
大石寺の裏門を出た所の前に、仲見世商店街がある。
そこの一画に、“藤のや”という喫茶店がある。
マリアはそこで待機していた。
勇太:「お待たせ」
マリア:「おっ、勇太、お疲れ。藤谷さんは?」
勇太:「タバコ吸いに行った。その間、僕もコーヒー飲んでてってさ」
マリア:「そう」
勇太はマリアの向かいに座った。
勇太:「すいません、アイスコーヒー1つください」
女将:「はい、アイスコーヒーですね」
因みにマリア、勇太達が戻ってくるまで、紅茶を2杯しばいていた。
さすがにケーキは1つだけだったが。
マリア:「ケーキはいいの?」
勇太:「班長がタバコから戻って来るまでの間だから」
少しして、アイスコーヒーが運ばれてくる。
勇太:「んー!これだ!」
読経と唱題で喉が渇いた勇太には、素晴らしい清涼剤だっただろう。
勇太:「電車の時間まで少しあるから、お土産でも買って行こうと思うんだ」
マリア:「それはいいね。私もルーシーに送ってあげようと思う」
勇太:「ルーシーかぁ……。エレーナにはいいの?」
マリア:「どうせスズキが買ってるだろ?だからいいよ。ルーシーと師匠にだけ買えば」
勇太:「そ、そうか」
[同日14:45.天候:晴 大石寺売店“藤巻商店”]
女将:「シイタケ茶をどうぞ」
勇太:「あ、ありがとうございます」
あの後、藤谷が戻ってきて、会計は藤谷がしてくれた。
さすがに財布の中から現れたのは、1000円札である。
2000円札は、本当に御開扉御供養料だったのだろう。
退出してから、同じ並びの土産物店に入ってみた。
すると、お茶の接待をしてくれたのだが……。
マリア:「こ、これは不思議な味!」
勇太:「シイタケ茶だって」
マリア:「See……?」
勇太:「Shiitake mushroom.これを粉末にしたお茶だよ」
マリア:「なるほど。キノコのお茶なのか。キノコと言えば……」
藤谷:「スーパーマリオ?」
勇太:「リリィだ!」
マリア:「リリィだね。よし。これは、リリィへのお土産にしよう」
勇太:「ワンスターホテルに送るの?」
マリア:「いつ、リリィが魔界から戻って来るか分からない。どうせうちの屋敷にエレーナが来るだろうから、その時、エレーナに渡せばいいと思うよ」
勇太:「エレーナに頼んだら、『配達料もらうぜ』ってならないかな?」
マリア:「……すいません。これ、『普通の』宅急便でお願いします」
女将:「はい、ありがとうございます」
勇太:「エレーナの配達料、バイク便やメッセンジャー並みの値段なんで」
藤谷:「そりゃ高いな。だが、それだけ急いで送るのにはいいんだろうな」
勇太:「それはまあ、確かに」
尚、イリーナには酒もいいだろうと思ったマリアだったが、恐らく大石寺売店で土産用の酒は置いていないと思う。
勇太:「電車で甲府を通るから、甲府駅の売店でワインとか買えるかもね」
山梨県は国産ワインも多く作られている。
身延線の北の終点は甲府だから、乗り換えの時に買えるのではないかと勇太は思った。
[同日15:00.天候:晴 大石寺売店“大日蓮出版”]
マリア:「難しい……。魔導書並みに難しい……。まだ、聖書の方が簡単かもしれない……」
マリアは御書を見ながら、眉を潜めた。
勇太:「そりゃ、聖書は現代語訳されて出版されてるからね。御書は違うんだよ」
現代語訳版があっても良いだろうと作者は思うのだが、そうしてしまうと、本当に顕正会の言う通り、『正しく拝せない』のかもしれない。
もちろん、御講の際に、お題の御金言を現代語に訳して解説してくれるのだが。
勇太:「ラテン語で書かれている、大師匠様の魔導書よりはマシだと思う」
マリア:「勇太にとっては、まだこっちの方が日本語だもんね」
お土産や出版物を買い求めた勇太達は、これにて下山することにした。
尚、後日、シイタケ茶を受け取ったリリィは大喜びだったが、実際にそれをお湯に溶いて飲用したわけではなく、魔法薬の材料にしたという。
御法主日如上人猊下:「遠ごん各地よりジンシンのトウザン、願い出により、本門戒壇之大御本尊御開扉奉り、無始以来、謗法・罪障消滅……【中略】……懇ろに申し上げました」
カタカナはどういう漢字を書くのか不明。
多分、ジンシンは『深信』または『深心』、トウザンは『当参』と書くのではないかと思われる。
御開扉は内拝、つまり秘密の儀式に当たる為、文言が明文化されていないようである。
もちろん、御法主上人猊下は基本的に最初の文言以外は一字一句変えることはない。
もしも海外信徒が多い場合は、『海外を始め』という文言が加わり、支部総登山での参加者がいると、『支部総登山を始め』という文言が加わる。
両方とも多い場合は、『海外並びに支部総登山を始め、遠ごん各地よりジンシンのトウザン』となる。
ここから推測できるのは、御法主上人猊下は、予めその日の信徒の顔ぶれを大方知らされているということだ。
まあ、当然か。
信徒以外の者は入れないのだから、どういった信徒が来ているのかは添書の内容で一目瞭然だろう。
〔「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経……」〕
御法主上人猊下の御説法が終わると、すぐに唱題に入る。
今度は、本門戒壇之大御本尊が御安置されている御厨子を閉め、厳重かつ頑丈な鎧戸を閉めるのである。
厨子の閉扉は僧侶が行い、鎧戸の閉扉は自動で行われる。
勇太:(そういえば、あの御厨子の扉は電動じゃないな……)
閂が付いているタイプの、手動式観音扉。
多分、あえてそうしているのだろう。
日本のタクシーのドアは自動開閉なのに、それより高級なハイヤーのドアが手動なのと同じ理由なのかもしれない。
鎧戸まで閉まり切ると、ここで唱題は一旦終了。
御法主上人猊下が離席される。
この時、猊下は信徒席に向かって必ず一礼して下さるので、信徒側もそれに対して答礼する。
この際、信徒は席に座ったままで良い。
席に座ったままで良いのだが、答礼の際は必ず合掌をしたままである。
立ち上がったり、顕正会員のように伏せ拝をする必要は無い。
信徒が猊下に伏せ拝をするのは、大坊での御目通りの時くらいか?
猊下や他の御僧侶が退場される際、再び唱題が行われる。
退場が終わると、そこでようやく『御開扉』は終了となる。
〔「退場に際し、注意事項を申し上げますので、席を立たずに、そのままでお待ちください。……」〕
人数が多い場合は、各ブロックごとに分割して退場の指示が出るのだが、空いている場合は一気に退場の指示が出る。
〔「それでは、席をお立ち下さい」〕
藤谷:「よし。それじゃ、帰るとするか」
勇太:「マリアを迎えに行きませんと」
藤谷:「それもそうだな。電車の時間は何時だ?」
勇太:「16時26分発です」
藤谷:「そうなのか。まだ、2時間くらいあるな。どれ、お土産でも買って行くか?」
勇太:「そうですね」
奉安堂を出てから、勇太と藤谷は仲見世売店に向かった。
[同日14:30.天候:晴 大石寺売店“藤のや”]
大石寺の裏門を出た所の前に、仲見世商店街がある。
そこの一画に、“藤のや”という喫茶店がある。
マリアはそこで待機していた。
勇太:「お待たせ」
マリア:「おっ、勇太、お疲れ。藤谷さんは?」
勇太:「タバコ吸いに行った。その間、僕もコーヒー飲んでてってさ」
マリア:「そう」
勇太はマリアの向かいに座った。
勇太:「すいません、アイスコーヒー1つください」
女将:「はい、アイスコーヒーですね」
因みにマリア、勇太達が戻ってくるまで、紅茶を2杯しばいていた。
さすがにケーキは1つだけだったが。
マリア:「ケーキはいいの?」
勇太:「班長がタバコから戻って来るまでの間だから」
少しして、アイスコーヒーが運ばれてくる。
勇太:「んー!これだ!」
読経と唱題で喉が渇いた勇太には、素晴らしい清涼剤だっただろう。
勇太:「電車の時間まで少しあるから、お土産でも買って行こうと思うんだ」
マリア:「それはいいね。私もルーシーに送ってあげようと思う」
勇太:「ルーシーかぁ……。エレーナにはいいの?」
マリア:「どうせスズキが買ってるだろ?だからいいよ。ルーシーと師匠にだけ買えば」
勇太:「そ、そうか」
[同日14:45.天候:晴 大石寺売店“藤巻商店”]
女将:「シイタケ茶をどうぞ」
勇太:「あ、ありがとうございます」
あの後、藤谷が戻ってきて、会計は藤谷がしてくれた。
さすがに財布の中から現れたのは、1000円札である。
2000円札は、本当に御開扉御供養料だったのだろう。
退出してから、同じ並びの土産物店に入ってみた。
すると、お茶の接待をしてくれたのだが……。
マリア:「こ、これは不思議な味!」
勇太:「シイタケ茶だって」
マリア:「See……?」
勇太:「Shiitake mushroom.これを粉末にしたお茶だよ」
マリア:「なるほど。キノコのお茶なのか。キノコと言えば……」
藤谷:「スーパーマリオ?」
勇太:「リリィだ!」
マリア:「リリィだね。よし。これは、リリィへのお土産にしよう」
勇太:「ワンスターホテルに送るの?」
マリア:「いつ、リリィが魔界から戻って来るか分からない。どうせうちの屋敷にエレーナが来るだろうから、その時、エレーナに渡せばいいと思うよ」
勇太:「エレーナに頼んだら、『配達料もらうぜ』ってならないかな?」
マリア:「……すいません。これ、『普通の』宅急便でお願いします」
女将:「はい、ありがとうございます」
勇太:「エレーナの配達料、バイク便やメッセンジャー並みの値段なんで」
藤谷:「そりゃ高いな。だが、それだけ急いで送るのにはいいんだろうな」
勇太:「それはまあ、確かに」
尚、イリーナには酒もいいだろうと思ったマリアだったが、恐らく大石寺売店で土産用の酒は置いていないと思う。
勇太:「電車で甲府を通るから、甲府駅の売店でワインとか買えるかもね」
山梨県は国産ワインも多く作られている。
身延線の北の終点は甲府だから、乗り換えの時に買えるのではないかと勇太は思った。
[同日15:00.天候:晴 大石寺売店“大日蓮出版”]
マリア:「難しい……。魔導書並みに難しい……。まだ、聖書の方が簡単かもしれない……」
マリアは御書を見ながら、眉を潜めた。
勇太:「そりゃ、聖書は現代語訳されて出版されてるからね。御書は違うんだよ」
現代語訳版があっても良いだろうと作者は思うのだが、そうしてしまうと、本当に顕正会の言う通り、『正しく拝せない』のかもしれない。
もちろん、御講の際に、お題の御金言を現代語に訳して解説してくれるのだが。
勇太:「ラテン語で書かれている、大師匠様の魔導書よりはマシだと思う」
マリア:「勇太にとっては、まだこっちの方が日本語だもんね」
お土産や出版物を買い求めた勇太達は、これにて下山することにした。
尚、後日、シイタケ茶を受け取ったリリィは大喜びだったが、実際にそれをお湯に溶いて飲用したわけではなく、魔法薬の材料にしたという。
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