[4月10日19:45.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区上落合 斉藤家]
食後のコーヒーでもって、斉藤家のフルコースは終了した。
しかし、レストランで食べれるような料理を作れるここのメイドさん達は凄い。
斉藤家の夕食会がレストランではなく、家で行われるのも頷ける。
愛原:「社長。来月のゴールデンウィークですが、宜しければ、また娘さんをお預かりしましょうか?」
私が言うと、斉藤社長は苦笑した。
斉藤秀樹:「今年も是非そうして頂ければと思うのですが、どうやら今年はそうもいかないようです」
愛原:「と、仰いますと?」
秀樹:「これは噂なんですが、このゴールデンウィークには、またまた緊急事態宣言が出されるらしいんですよ。なので、是非また愛原さんには、娘を旅行に連れて行ってやってくださいというわけにはいかないのですよ」
愛原:「それは残念です」
秀樹:「まあ、全国的にというわけではないでしょうが、東京はまず確実だと思いますので」
都内在住の私達が、緊急事態宣言破りをするわけにはいかないか。
秀樹:「愛原さんはゴールディンウィーク、どうなさるおつもりですか?」
愛原:「何も予定が入っていません。実家からは、『仕事が無いんだったら帰って来たら?』と言われてるんですが……。緊急事態宣言が出されるとなると、のこのこ帰るわけにもいきませんので……」
秀樹:「愛原さんなら大丈夫でしょう。TウィルスやCウィルスをもろともしない抗体をお持ちじゃありませんか」
ゾンビウィルスの抗体を持つ者は、新型コロナウィルスに対しても耐性があるとされる。
何でも、ワクチンはそんな抗体から作り出されるのだとか……。
高橋:「こいつのせいです!こいつこいつこいつです!」
高橋はリサのほっぺたをつねった。
リサ:「いひゃい!」(ほっぺたをつねられたので、『痛い』とハッキリ言えない)
愛原:「リサのGウィルスが、どうも私達の体に入っちゃったみたいで……」
秀樹:「1つ屋根の下で暮らしていれば、そういうこともありますよ」
いや、新型BOWエブリンのように、BOW自身が相手を感染させようとする気が無ければ感染しないことになっている。
そして、リサも経血に混じっていたGウィルスを私の飲み物に混入させたことを認めている。
Gウィルスはゾンビウィルスではなく、BOWを作り出す為の材料の1つで、それ自身が単体で何かあるというわけではない。
が、どうしてもTウィルスなどのゾンビウィルスより強い為に、それらを無毒化する作用がある。
メイド(サファイヤ):「失礼します。タクシーが到着しました」
秀樹:「おお、来たか。愛原さん、チケットをどうぞ」
愛原:「何から何までありがとうございます」
秀樹:「また仕事頼めたら、よろしくお願いしますね」
愛原:「こちらこそ、御依頼お待ちしております」
私達は玄関に向かった。
斉藤絵恋:「リサ様と離れたくないぃぃっ!」
ガシッとリサにハグしてくる絵恋さん。
愛原:「リサ……様?」
リサ:「サイトー……!」
絵恋:「はっ!?ご、ごめんなさい!」
慌てて離れる絵恋さん。
リサ:「大丈夫。明後日、学校で会える」
絵恋:「そ、そうよね」
私達は斉藤家をあとにし、家の前で待っていたタクシーに乗り込んだ。
愛原:「大宮駅までお願いします」
運転手:「はい、ありがとうございます」
タクシーはヘッドライトを灯し、高級住宅街ながら、一方通行の狭い道を進んだ。
またもや車種はジャパンタクシーで、助手席後ろにモニタが付いているタイプだ。
助手席後ろに座ったリサが、また面白いCMが流れてこないかと、モニタを覗き込んでいる。
が、今流れているのはタクシーアプリのCMだった。
愛原:「あれ?タクシーチケットが2枚付いてる」
高橋:「マジっスか?」
愛原:「これは……どういうことだろう?」
3つ考えられる。
1つは東京駅などからマンションへ帰る時にタクシーに乗ったら、もう1枚を使ってくれという意味。
もう1つは、また斉藤家に来る機会があったら使ってくれという意味。
最後の1つは、間違えて2枚渡してしまったという意味。
だが、タクシーチケットを扱ったことがある人なら分かると思うが、間違えて2枚出してしまうことは有り得ない。
特に、クレジットカード会社発行のタクチケはそういう構造になっているので(口や文章では説明しにくい。実際に現物を見てもらえれば分かるのだが、いかんせんサンプルが無い)。
私が渡されたのは、今乗っているタクシー会社が発行している法人契約用のタクチケだ。
これは見た事無いので、こういうのはクレカ会社のタクチケとはまた違うのだろうか。
よく分からないので、私は電話してみた。
愛原:「ああ、すいません、社長。愛原ですが、実はタクシーチケットのことで……はい。実は頂いたチケットが2枚あるんですが、これは……」
秀樹:「もう1枚は御車代代わりです。また我が家に来る時ですとか、駅からお帰りになる時ですとか、他に業務でタクシーに乗る時とかにでも使ってください」
愛原:「あ、すいません。ありがとうございます」
法人契約用のチケットだから、請求は大日本製薬に行くんだろうな。
で、経費で落とすという構造が見え見えだ。
愛原:「御車代として、好きに使ってくれって」
私は電話を切ると、運転席の後ろに座っている高橋に言った。
高橋:「御車代なら現金の方がいいっスよね」
愛原:「こらこら。せっかくの頂き物だぞ」
リサ:「サイトーからなら、もらったよ」
リサは絵恋さんから、大日本製薬で作った入浴剤のサンプルの詰め合わせをもらっていた。
リサ:「私と一緒に行った思い出の温泉ばかりだって」
愛原:「八丈島とかなら分かるが、松島とか富士宮の旅館の風呂って温泉だったっけ?」
リサ:「それ、私も突っ込んどいた」
松島の温泉と称するものにあっては、食塩泉の再現ということになっている。
そりゃ海に面した場所なんだから、食塩泉ではあるだろう。
富士宮は……まあ、見ないでおこう。
高橋:「そのタクチケ、どうするんスか?」
愛原:「1枚は今使うけど、もう1枚はまたの機会に取っておこう」
食後のコーヒーでもって、斉藤家のフルコースは終了した。
しかし、レストランで食べれるような料理を作れるここのメイドさん達は凄い。
斉藤家の夕食会がレストランではなく、家で行われるのも頷ける。
愛原:「社長。来月のゴールデンウィークですが、宜しければ、また娘さんをお預かりしましょうか?」
私が言うと、斉藤社長は苦笑した。
斉藤秀樹:「今年も是非そうして頂ければと思うのですが、どうやら今年はそうもいかないようです」
愛原:「と、仰いますと?」
秀樹:「これは噂なんですが、このゴールデンウィークには、またまた緊急事態宣言が出されるらしいんですよ。なので、是非また愛原さんには、娘を旅行に連れて行ってやってくださいというわけにはいかないのですよ」
愛原:「それは残念です」
秀樹:「まあ、全国的にというわけではないでしょうが、東京はまず確実だと思いますので」
都内在住の私達が、緊急事態宣言破りをするわけにはいかないか。
秀樹:「愛原さんはゴールディンウィーク、どうなさるおつもりですか?」
愛原:「何も予定が入っていません。実家からは、『仕事が無いんだったら帰って来たら?』と言われてるんですが……。緊急事態宣言が出されるとなると、のこのこ帰るわけにもいきませんので……」
秀樹:「愛原さんなら大丈夫でしょう。TウィルスやCウィルスをもろともしない抗体をお持ちじゃありませんか」
ゾンビウィルスの抗体を持つ者は、新型コロナウィルスに対しても耐性があるとされる。
何でも、ワクチンはそんな抗体から作り出されるのだとか……。
高橋:「こいつのせいです!こいつこいつこいつです!」
高橋はリサのほっぺたをつねった。
リサ:「いひゃい!」(ほっぺたをつねられたので、『痛い』とハッキリ言えない)
愛原:「リサのGウィルスが、どうも私達の体に入っちゃったみたいで……」
秀樹:「1つ屋根の下で暮らしていれば、そういうこともありますよ」
いや、新型BOWエブリンのように、BOW自身が相手を感染させようとする気が無ければ感染しないことになっている。
そして、リサも経血に混じっていたGウィルスを私の飲み物に混入させたことを認めている。
Gウィルスはゾンビウィルスではなく、BOWを作り出す為の材料の1つで、それ自身が単体で何かあるというわけではない。
が、どうしてもTウィルスなどのゾンビウィルスより強い為に、それらを無毒化する作用がある。
メイド(サファイヤ):「失礼します。タクシーが到着しました」
秀樹:「おお、来たか。愛原さん、チケットをどうぞ」
愛原:「何から何までありがとうございます」
秀樹:「また仕事頼めたら、よろしくお願いしますね」
愛原:「こちらこそ、御依頼お待ちしております」
私達は玄関に向かった。
斉藤絵恋:「リサ様と離れたくないぃぃっ!」
ガシッとリサにハグしてくる絵恋さん。
愛原:「リサ……様?」
リサ:「サイトー……!」
絵恋:「はっ!?ご、ごめんなさい!」
慌てて離れる絵恋さん。
リサ:「大丈夫。明後日、学校で会える」
絵恋:「そ、そうよね」
私達は斉藤家をあとにし、家の前で待っていたタクシーに乗り込んだ。
愛原:「大宮駅までお願いします」
運転手:「はい、ありがとうございます」
タクシーはヘッドライトを灯し、高級住宅街ながら、一方通行の狭い道を進んだ。
またもや車種はジャパンタクシーで、助手席後ろにモニタが付いているタイプだ。
助手席後ろに座ったリサが、また面白いCMが流れてこないかと、モニタを覗き込んでいる。
が、今流れているのはタクシーアプリのCMだった。
愛原:「あれ?タクシーチケットが2枚付いてる」
高橋:「マジっスか?」
愛原:「これは……どういうことだろう?」
3つ考えられる。
1つは東京駅などからマンションへ帰る時にタクシーに乗ったら、もう1枚を使ってくれという意味。
もう1つは、また斉藤家に来る機会があったら使ってくれという意味。
最後の1つは、間違えて2枚渡してしまったという意味。
だが、タクシーチケットを扱ったことがある人なら分かると思うが、間違えて2枚出してしまうことは有り得ない。
特に、クレジットカード会社発行のタクチケはそういう構造になっているので(口や文章では説明しにくい。実際に現物を見てもらえれば分かるのだが、いかんせんサンプルが無い)。
私が渡されたのは、今乗っているタクシー会社が発行している法人契約用のタクチケだ。
これは見た事無いので、こういうのはクレカ会社のタクチケとはまた違うのだろうか。
よく分からないので、私は電話してみた。
愛原:「ああ、すいません、社長。愛原ですが、実はタクシーチケットのことで……はい。実は頂いたチケットが2枚あるんですが、これは……」
秀樹:「もう1枚は御車代代わりです。また我が家に来る時ですとか、駅からお帰りになる時ですとか、他に業務でタクシーに乗る時とかにでも使ってください」
愛原:「あ、すいません。ありがとうございます」
法人契約用のチケットだから、請求は大日本製薬に行くんだろうな。
で、経費で落とすという構造が見え見えだ。
愛原:「御車代として、好きに使ってくれって」
私は電話を切ると、運転席の後ろに座っている高橋に言った。
高橋:「御車代なら現金の方がいいっスよね」
愛原:「こらこら。せっかくの頂き物だぞ」
リサ:「サイトーからなら、もらったよ」
リサは絵恋さんから、大日本製薬で作った入浴剤のサンプルの詰め合わせをもらっていた。
リサ:「私と一緒に行った思い出の温泉ばかりだって」
愛原:「八丈島とかなら分かるが、松島とか富士宮の旅館の風呂って温泉だったっけ?」
リサ:「それ、私も突っ込んどいた」
松島の温泉と称するものにあっては、食塩泉の再現ということになっている。
そりゃ海に面した場所なんだから、食塩泉ではあるだろう。
富士宮は……まあ、見ないでおこう。
高橋:「そのタクチケ、どうするんスか?」
愛原:「1枚は今使うけど、もう1枚はまたの機会に取っておこう」
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