[12月24日19:00.天候:曇 長野県北部 マリアの屋敷]
リリィ:「理不尽な太陽じゃなく月の下で〜♪ヒャッハーッ!私の魔法が炸裂ぅ♪」
パーティの最中、余興を行う魔道師もいるが、リリィのヘヴィメタルはとても目立つ。
魔女の姿をしている時とは大違いだ。
稲生:「リリィ、わざわざエレキギターまで持ってきて……」
マリア:「次に立ち直れるのはあのコだよ」
稲生:「ですねぇ……」
イリーナはダンテの相手をしている。
というか、ダンテの周りには直属の大魔道師達が集まっていた。
サンモンド:「まるでハーレムだねぇ……」
稲生:「船長」
サンモンド:「ま、あの老翁にそんな気持ちは微塵も無いだろうけどね」
マリア:「そりゃそうだろう。うちの師匠だって、もう齢1000年のBBAだ」
サンモンド:「ははは……。1000歳はまだ若いよ。稲生君なら知ってるだろう?妖狐の世界では、数千年経ってようやく大妖怪の仲間入りを果たせることを」
稲生:「ええ、まあ……。だから威吹は、妖狐の里ではヒヨっこ扱いだということです。もう400年以上行きてるのに……」
サンモンド:「なるほどね」
[同日22:00.天候:曇 同場所]
因みにパーティは2日に渡って行われるという設定であるが、一度切るわけではない。
即ち、パーティ会場たる大食堂から誰もいなくなって自然終了という流れなのである。
用事のある魔道師は帰るし、2日に渡って参加するつもりの魔道師は館内のゲストルームに宿泊する。
普段は稲生しか寝泊まりしない東側も、この時ばかりは他の男性参加者が寝泊まりする。
稲生が寝泊まりしていることで、東側はいつしか男性用になっていた。
サンモンド:「それじゃ、一泊だけお世話になるよ」
稲生:「どうぞ。僕は自分の部屋にいますから」
サンモンド:「この時ばかりは、寝ずの番をしていた方がいいんじゃないかな?」
稲生:「え?どうしてですか?」
サンモンド:「酔っぱらった魔女達が、何をしでかすか分かったもんじゃないからねぇ……」
稲生:「イリーナ先生もマリアさんもすぐに寝ちゃいますよ?」
サンモンド:「だから、中には酒癖の悪い魔女もいるってことさ」
稲生:「確かにさっき、エレーナに絡まれましたけどねぇ……」
稲生は苦笑いをした。
稲生:「ま、とにかく、僕も疲れましたんで寝ますよ」
サンモンド:「そうかい?まあ、いつでも助けを呼べる体制にしておいた方がいいよ」
稲生:「はあ……」
稲生はサンモンドと別れて、自分の部屋に入った。
大食堂はマリアの人形達が大急ぎで片付けているので、稲生は何もせずとも良い。
尚、男性陣は屋敷の東側となっているが、ダンテだけはVIPルームのある西側に宿泊する。
稲生の部屋にはシャワーとトイレが付いている。
バスタブに入りたければ共用のものを使用することになるが、今日はシャワーだけで良いと稲生は思った。
半分くらいの魔道師達は帰ったと思うが、アナスタシア組も含めて意外と多くの魔道師達が泊まり込むようだ。
因みに東側に宿泊する男性陣というのは、サンモンドを除けば全員がアナスタシア組の弟子達である。
稲生:「明日は海外の遠くで活動している人達が来るんだっけ。ま、今日みたいなノリだろう」
[12月25日02:00.天候:曇 マリアの屋敷東側・稲生の部屋]
……ふと寝苦しくて稲生は目が覚めた。
胸が重い。
胸をグッと押されているような感じがする。
何か、いる。
稲生の部屋に、誰かがいる。
しかし、稲生は怖くて目が開けられなかった。
と、稲生の顔に生暖かい息が吹き掛けられる。
何だか酒の臭いがする。
誰だ?
誰が、稲生の胸に乗っかっている?
体が動かない。
金縛りである!
まるで蛇の舌が稲生の顔をなめるように、生暖かい息が万遍なく稲生の顔に吹きかけられる。
その息は、稲生の耳元で動きが止まった。
何か、呟いている。
ぼそぼそとよく聞き取れない声が、稲生の耳に忍び込んでくる。
その声は、次第に大きくなっていった。
???:「殺してやる……殺してやる……!」
生暖かく、酒の臭いの混じった息が吐かれるたびに、呪いの言葉が稲生の耳をなでまわす。
稲生:「うわあっ!」
稲生は、あまりの怖さに目を見開いた。
そこに、彼女はいた。
ナイフを手にしたリリィが、稲生の胸の上に乗っていた。
その姿は覚醒している時のものだ。
稲生を見据える目の瞳孔は収縮し、瞳全体が灰色で中央に黒い点が入っている。
リリィ:「フヒヒヒヒヒヒ……ヒック!わらひ(私)の中に、悪魔が入ったの……。だから戦った。おかげで、悪魔から解放された……。次の番……つ、次は……お、お前の番だ!」
稲生:「リリィ、やめてよ!キミは酔っぱらってるだけだ!」
リリィはナイフを振り上げた。
と、そこへ、机の上に置かれている水晶玉が机の上から飛び跳ね、リリィの顔面に直撃した。
リリィ:「ぎゃっ……!」
稲生:「リリィ、ゴメン!」
稲生は怯んだリリィを突き上げて、ベッドから振り落とすと、部屋を飛び出した。
マリア:「ユウタ、無事か!?」
稲生:「ええ、何とか……!」
エレーナ:「リリィ、何やってんの!!」
エレーナが部屋に飛び込んで、リリィを連れ出した。
エレーナ:「この大馬鹿野郎!だからあれほど酒飲むなって言ったのに!朝まで説教してやる!!」
エレーナはリリィの腕を掴んで、ズルズルと部屋から引き出した。
リリィは何とも言えぬ顔をしていた。
ヤンデレがその犯行に失敗した時の顔……?という表現は分かりにく過ぎるか。
稲生が部屋の中を覗くと、ナイフが床のカーペットに突き刺さっていた。
アンナ:「ちっ、先を超されたか……」
何故か舌打ちするアンナがいたのだが、イリーナ組もポーリン組も誰も気がつかなかった。
ていうかこんな夜這い、モテ方は絶対に嫌だ。
リリィ:「理不尽な太陽じゃなく月の下で〜♪ヒャッハーッ!私の魔法が炸裂ぅ♪」
パーティの最中、余興を行う魔道師もいるが、リリィのヘヴィメタルはとても目立つ。
魔女の姿をしている時とは大違いだ。
稲生:「リリィ、わざわざエレキギターまで持ってきて……」
マリア:「次に立ち直れるのはあのコだよ」
稲生:「ですねぇ……」
イリーナはダンテの相手をしている。
というか、ダンテの周りには直属の大魔道師達が集まっていた。
サンモンド:「まるでハーレムだねぇ……」
稲生:「船長」
サンモンド:「ま、あの老翁にそんな気持ちは微塵も無いだろうけどね」
マリア:「そりゃそうだろう。うちの師匠だって、もう齢1000年のBBAだ」
サンモンド:「ははは……。1000歳はまだ若いよ。稲生君なら知ってるだろう?妖狐の世界では、数千年経ってようやく大妖怪の仲間入りを果たせることを」
稲生:「ええ、まあ……。だから威吹は、妖狐の里ではヒヨっこ扱いだということです。もう400年以上行きてるのに……」
サンモンド:「なるほどね」
[同日22:00.天候:曇 同場所]
因みにパーティは2日に渡って行われるという設定であるが、一度切るわけではない。
即ち、パーティ会場たる大食堂から誰もいなくなって自然終了という流れなのである。
用事のある魔道師は帰るし、2日に渡って参加するつもりの魔道師は館内のゲストルームに宿泊する。
普段は稲生しか寝泊まりしない東側も、この時ばかりは他の男性参加者が寝泊まりする。
稲生が寝泊まりしていることで、東側はいつしか男性用になっていた。
サンモンド:「それじゃ、一泊だけお世話になるよ」
稲生:「どうぞ。僕は自分の部屋にいますから」
サンモンド:「この時ばかりは、寝ずの番をしていた方がいいんじゃないかな?」
稲生:「え?どうしてですか?」
サンモンド:「酔っぱらった魔女達が、何をしでかすか分かったもんじゃないからねぇ……」
稲生:「イリーナ先生もマリアさんもすぐに寝ちゃいますよ?」
サンモンド:「だから、中には酒癖の悪い魔女もいるってことさ」
稲生:「確かにさっき、エレーナに絡まれましたけどねぇ……」
稲生は苦笑いをした。
稲生:「ま、とにかく、僕も疲れましたんで寝ますよ」
サンモンド:「そうかい?まあ、いつでも助けを呼べる体制にしておいた方がいいよ」
稲生:「はあ……」
稲生はサンモンドと別れて、自分の部屋に入った。
大食堂はマリアの人形達が大急ぎで片付けているので、稲生は何もせずとも良い。
尚、男性陣は屋敷の東側となっているが、ダンテだけはVIPルームのある西側に宿泊する。
稲生の部屋にはシャワーとトイレが付いている。
バスタブに入りたければ共用のものを使用することになるが、今日はシャワーだけで良いと稲生は思った。
半分くらいの魔道師達は帰ったと思うが、アナスタシア組も含めて意外と多くの魔道師達が泊まり込むようだ。
因みに東側に宿泊する男性陣というのは、サンモンドを除けば全員がアナスタシア組の弟子達である。
稲生:「明日は海外の遠くで活動している人達が来るんだっけ。ま、今日みたいなノリだろう」
[12月25日02:00.天候:曇 マリアの屋敷東側・稲生の部屋]
……ふと寝苦しくて稲生は目が覚めた。
胸が重い。
胸をグッと押されているような感じがする。
何か、いる。
稲生の部屋に、誰かがいる。
しかし、稲生は怖くて目が開けられなかった。
と、稲生の顔に生暖かい息が吹き掛けられる。
何だか酒の臭いがする。
誰だ?
誰が、稲生の胸に乗っかっている?
体が動かない。
金縛りである!
まるで蛇の舌が稲生の顔をなめるように、生暖かい息が万遍なく稲生の顔に吹きかけられる。
その息は、稲生の耳元で動きが止まった。
何か、呟いている。
ぼそぼそとよく聞き取れない声が、稲生の耳に忍び込んでくる。
その声は、次第に大きくなっていった。
???:「殺してやる……殺してやる……!」
生暖かく、酒の臭いの混じった息が吐かれるたびに、呪いの言葉が稲生の耳をなでまわす。
稲生:「うわあっ!」
稲生は、あまりの怖さに目を見開いた。
そこに、彼女はいた。
ナイフを手にしたリリィが、稲生の胸の上に乗っていた。
その姿は覚醒している時のものだ。
稲生を見据える目の瞳孔は収縮し、瞳全体が灰色で中央に黒い点が入っている。
リリィ:「フヒヒヒヒヒヒ……ヒック!わらひ(私)の中に、悪魔が入ったの……。だから戦った。おかげで、悪魔から解放された……。次の番……つ、次は……お、お前の番だ!」
稲生:「リリィ、やめてよ!キミは酔っぱらってるだけだ!」
リリィはナイフを振り上げた。
と、そこへ、机の上に置かれている水晶玉が机の上から飛び跳ね、リリィの顔面に直撃した。
リリィ:「ぎゃっ……!」
稲生:「リリィ、ゴメン!」
稲生は怯んだリリィを突き上げて、ベッドから振り落とすと、部屋を飛び出した。
マリア:「ユウタ、無事か!?」
稲生:「ええ、何とか……!」
エレーナ:「リリィ、何やってんの!!」
エレーナが部屋に飛び込んで、リリィを連れ出した。
エレーナ:「この大馬鹿野郎!だからあれほど酒飲むなって言ったのに!朝まで説教してやる!!」
エレーナはリリィの腕を掴んで、ズルズルと部屋から引き出した。
リリィは何とも言えぬ顔をしていた。
ヤンデレがその犯行に失敗した時の顔……?という表現は分かりにく過ぎるか。
稲生が部屋の中を覗くと、ナイフが床のカーペットに突き刺さっていた。
アンナ:「ちっ、先を超されたか……」
何故か舌打ちするアンナがいたのだが、イリーナ組もポーリン組も誰も気がつかなかった。
ていうかこんな夜這い、モテ方は絶対に嫌だ。
謗法という強迫観念のせいで、なかなかできなかったからね。
大石寺の総代さんも処分されなかったみたいだし、ましてや私はもう辞めた人間。
心置きなく、他宗のネタが使えるということだ。
素晴らしい解放感!
やはり、日蓮信仰は足枷でしか無かった。