[4月20日00:05.ヤノフ城・大ホール 藤谷春人、稲生ユウタ、アカネ萩原、バーズ渡辺]
「ビビリデブのくせに、いい気になってんじゃないよ!」
ハンドガンを出すアカネ。
どうやら少し武器が強化されているようだ。
「俺の出る幕は無いか?」
同じくハンドガンを出すバーズ。
しかし、こちらは大型のパイソンだ。
「む!?」
すると吹き抜けから、あの白いマネキンが何体も落ちて来た。
「うわっ、出たっ!」
「なるほど……。ヤノフ様はもちろんのこと、私も手を下す必要は無いらしい。お前達の相手はそこのアカネと、ドール達に任せるとしよう」
バーズはニヤッと笑った。
「稲生君!ここは俺に任せて、上に行け!」
「えっ!?……でも!」
「大時計の制御室の中に、文字盤まで上がる点検用のリフトがある。それで一気に上がれるはずだ」
「わ、分かりました!班長、1つ注意が……」
「何だ!?」
ユタはヨタヨタ歩いてくるマネキンの1つを指さして、何やら耳打ちした。
「……そうなのか。分かった」
と、その時、2人の足元に銃弾が着弾する。
「何をコソコソ話してんだい!?」
ダッとユタは制御室の中に飛び込む。
「む!?」
バーズが気づいて、ユタの後を追おうとする。
が、藤谷の持つライフルに足元を撃たれて立ち止まる。
「おっと!アンタはそこで高見の見物だろ?男が二言言っちゃいけねーぜ!」
「貴様……!」
[同日同時刻 ヤノフ城・時計台前 マリアンナ・スカーレット&グルジ・ヤノフ]
「ミカエラ!急いで!」
マリアはなけなしの状態となった魔力を振り絞り、何とかミカエラだけを動かすことに成功した。
しかし人形形態のままだ。
それでもヤノフが捨てていったナイフを拾わせると、それで両手足を縛っている縄を切らせる。
両足と右手の縄を切り、残るは左手となった時だった。
「何をしている?」
「!!!」
そこへヤノフが戻ってきた。
そして、害虫を振り払うような仕草で、ミク人形を叩き落した。
「ひどいわ!何て事するの!!」
「黙れ!この不良娘が!私がどんな気持ちで、ヨーロッパ中を歩き回ったか知ってるのか!?」
「そっちこそ!私が辛い目に遭ってる時に、放浪の旅に出てたくせに!!」
「ふふ……。どうやら、もうムリのようだな……」
ヤノフは腰に下げていた剣を抜き取ると、それを心臓に向けた。
「既に時間は過ぎ去ってしまったが、しかしまだお前の誕生日であることに変わりは無い。今からでも、遅くは無いかもしれない。お前の心臓を頂くことにする」
「くそっ……!杖さえあれば……!」
「さらば、とは言わん。お前は愛すべき祖父の体の中で、未来永劫一緒に生きられるのだ」
「……お断わりだよ」
「お前に選択権は無……」
パンッ!パンパンッ!
「ぐわっ!?」
背後から銃声がして、そのうちの1発がヤノフの背中に命中する。
「ま、マリアさんから離れろ!ヤノフ侯爵!」
「こ、小僧ッ!」
ユタが手持ちのハンドガンを発砲したのだった。
「マリアさん!杖です!」
ユタは取り返したマリアの杖を投げた。
「ユウタ!」
マリアは杖を受け取った。
一瞬、どちらを攻撃したら良いか迷うヤノフ。
「……やはり、マリアンナ!お前からだ!」
ヤノフは選択を誤った。
「ユウタ!瓶を投げて!」
「は、はい!」
ユタが咄嗟に投げたのは、聖水の入った瓶。
中の水はただの水だが、魔力が施された瓶の中に入ることにより、
「えいっ!」
ヤノフのすぐ横で、マリアの杖から発せられた衝撃により、瓶は爆発するように破裂した。
「ぐわあああっ!!」
聖水をまともに浴びたヤノフはもがき苦しむ。
「マリアさん!」
今のうちにとユタはマリアに駆け寄り、残った左手の縄を切り取った。
「ナメるなぁぁぁっ!!」
「うわっ!?」
ヤノフが剣を振るって、攻撃してきた。
[同日00:15.ヤノフ城・大ホール 藤谷、アカネ、バーズ]
「ま、マジかよ……稲生君?」
藤谷は唖然とした。
マネキン達の中には、あの寸胴型が3体ほど含まれており、ユタからあれの特徴を聞いたので、早速攻撃オブジェクトとして発砲した。
案の定、寸胴型は濃硫酸のような液体を吹き散らして破裂した。
それは周囲のマネキン達も道連れにしたのだが、
「ひ、ひひ……ひきょ………」
アカネも巻き込んだ。
アカネは肉体を溶かしていった。
「勝てば官軍だぜ。ここまで来りゃあよ」
藤谷はたちこめる異臭に顔をしかめながら言った。
「あとは……あんただけだな?」
「そうのようだ。だがしかし、私はあのアカネとは違う」
「そうかい。じゃあ、試してみるか?」
「試す?」
「ほら、よく西部劇にあるだろ?1、2、3で早撃ちするヤツ」
「ああ。そうだな。やってみるか」
[同日同時刻 ヤノフ城・時計台前 ユタ、マリア、ヤノフ]
「逃がすか!……でやあーっ!」
ヤノフが剣を振るうと、そこから青白い光が飛んで来る。
「ユウタ!あれに当たってはダメだ!」
「分かってます!」
ユタはマリアが寝かされていた台を盾にしながら、ヤノフに撃ち込んだ。
「くっ……!」
マリアに貧血に似た症状が現れて、立ちくらみを起こす。
(魔力を使い過ぎた……。あと一回……あいつに攻撃できれば……)
「マリアさん、さっきの魔法、もう1度使えますか?」
「えっ?」
「多分、次の攻撃で最後になると思います」
「……わ、分かった」
ユタに何か作戦があるのだろうか?
[同日00:20.ヤノフ城・大ホール 藤谷&バーズ]
「いや、だからさ、パイソンって早撃ちに向かない銃なんだって。リロードもリボルバー式で遅いし。そんなことも知らなかったのかよ」
「ん、んなバカな……」
自分が発砲する前に藤谷からショットガンを撃ち込まれたバーズ。
「威力はこのM3より強いけどさ」
「くそっ……!」
「まあ、いいや。さーて、バーズさんよ。死ぬ前に聞きてぇことがある。答えてくれよ。イリーナ先生とやらはどこにいる?上で戦ってるヤツら、その先生を捜しに来たんだよ」
「……答えると思うか?」
「あのオバハンじゃねーけど、無間地獄に行くか?」
「バカたれが。この私が無間地獄など……」
「じゃあ、いいや。ちょっと聞いてみるわ」
「?」
藤谷は自分のスマートフォンを出した。
「この人に聞いてみていいか?」
電話帳から出したのは、妙観講の大草講頭の携帯番号。
「き、キサマっ!?何故、その電話番号を知ってる!?お前、一末寺の一班長だろう?!」
「俺はただの信徒じゃないんだよ」
ピッと発信ボタンを押す藤谷。
「……あ、もしもし。大草講頭ですか?どうも、夜分遅くに恐れ入ります。……いえ、実はですね、おたくの講員さんとちょっとトラブルがあったんですけどもね、私としてはどのような対応をしたらよろしいんですかねぇ?」
サーッと青ざめるバーズ。
「や、やめてっ!本当のこと言うからっ!」
「んー?どうして慌ててるのかなぁ?」
「な、何でも話す!だっ、だから、電話を切ってくれ!頼むっ!」
「……てことはやっぱり、バーズさんは妙観講員だったか」
電話を切る藤谷。
「で、イリーナ先生はどこだ?ん?」
「…………」
「……もう1回電話するか?あ?」
「ち、地下牢だ。地下牢に石像にして置いてある」
「つまり、魔法か何かでそのようにしているということか?」
「そうだ!そしてその魔法はヤノフ様にしか解けん!」
「なるほど……。それなら、上で稲生君がそのヤノフさんを倒せば解けるってわけだ」
「フン!ヤノフ様を倒すなどと……!」
「その前に俺がお前を倒すけどな」
「なにっ!?」
「もう1度、今の番号に掛けてみるから、自分で確認してみな」
藤谷はもう1度、『大草講頭』の番号に掛けた。
{「もしもし?」}
「も、もしもし!私です!李哲雄です!さ、先ほどは、も、もも、申し訳ありませんでした!ぜ、全部、正証寺の連中が……!」
「お前、渡辺って……通名だったのかよ!」
{「あの、うちラーメン屋なんですけど?」}
「は……?え?」
「たーっはははははははははっ!実は行き着けのラーメン屋の店長の番号でしたぁ!」
「……!!」
「正体もバレたことだし、後は本当に妙観講にチクるだけだな!」
……バタッ!(←泡吹いて失神したバーズ渡辺こと、李哲雄)
「さて、後のことは稲生君達に任せて、俺はセンセを助けに行こう」
藤谷はスタコラサッサとばかりに、地下牢へ向かう階段に走ったのだった。
「ビビリデブのくせに、いい気になってんじゃないよ!」
ハンドガンを出すアカネ。
どうやら少し武器が強化されているようだ。
「俺の出る幕は無いか?」
同じくハンドガンを出すバーズ。
しかし、こちらは大型のパイソンだ。
「む!?」
すると吹き抜けから、あの白いマネキンが何体も落ちて来た。
「うわっ、出たっ!」
「なるほど……。ヤノフ様はもちろんのこと、私も手を下す必要は無いらしい。お前達の相手はそこのアカネと、ドール達に任せるとしよう」
バーズはニヤッと笑った。
「稲生君!ここは俺に任せて、上に行け!」
「えっ!?……でも!」
「大時計の制御室の中に、文字盤まで上がる点検用のリフトがある。それで一気に上がれるはずだ」
「わ、分かりました!班長、1つ注意が……」
「何だ!?」
ユタはヨタヨタ歩いてくるマネキンの1つを指さして、何やら耳打ちした。
「……そうなのか。分かった」
と、その時、2人の足元に銃弾が着弾する。
「何をコソコソ話してんだい!?」
ダッとユタは制御室の中に飛び込む。
「む!?」
バーズが気づいて、ユタの後を追おうとする。
が、藤谷の持つライフルに足元を撃たれて立ち止まる。
「おっと!アンタはそこで高見の見物だろ?男が二言言っちゃいけねーぜ!」
「貴様……!」
[同日同時刻 ヤノフ城・時計台前 マリアンナ・スカーレット&グルジ・ヤノフ]
「ミカエラ!急いで!」
マリアはなけなしの状態となった魔力を振り絞り、何とかミカエラだけを動かすことに成功した。
しかし人形形態のままだ。
それでもヤノフが捨てていったナイフを拾わせると、それで両手足を縛っている縄を切らせる。
両足と右手の縄を切り、残るは左手となった時だった。
「何をしている?」
「!!!」
そこへヤノフが戻ってきた。
そして、害虫を振り払うような仕草で、ミク人形を叩き落した。
「ひどいわ!何て事するの!!」
「黙れ!この不良娘が!私がどんな気持ちで、ヨーロッパ中を歩き回ったか知ってるのか!?」
「そっちこそ!私が辛い目に遭ってる時に、放浪の旅に出てたくせに!!」
「ふふ……。どうやら、もうムリのようだな……」
ヤノフは腰に下げていた剣を抜き取ると、それを心臓に向けた。
「既に時間は過ぎ去ってしまったが、しかしまだお前の誕生日であることに変わりは無い。今からでも、遅くは無いかもしれない。お前の心臓を頂くことにする」
「くそっ……!杖さえあれば……!」
「さらば、とは言わん。お前は愛すべき祖父の体の中で、未来永劫一緒に生きられるのだ」
「……お断わりだよ」
「お前に選択権は無……」
パンッ!パンパンッ!
「ぐわっ!?」
背後から銃声がして、そのうちの1発がヤノフの背中に命中する。
「ま、マリアさんから離れろ!ヤノフ侯爵!」
「こ、小僧ッ!」
ユタが手持ちのハンドガンを発砲したのだった。
「マリアさん!杖です!」
ユタは取り返したマリアの杖を投げた。
「ユウタ!」
マリアは杖を受け取った。
一瞬、どちらを攻撃したら良いか迷うヤノフ。
「……やはり、マリアンナ!お前からだ!」
ヤノフは選択を誤った。
「ユウタ!瓶を投げて!」
「は、はい!」
ユタが咄嗟に投げたのは、聖水の入った瓶。
中の水はただの水だが、魔力が施された瓶の中に入ることにより、
「えいっ!」
ヤノフのすぐ横で、マリアの杖から発せられた衝撃により、瓶は爆発するように破裂した。
「ぐわあああっ!!」
聖水をまともに浴びたヤノフはもがき苦しむ。
「マリアさん!」
今のうちにとユタはマリアに駆け寄り、残った左手の縄を切り取った。
「ナメるなぁぁぁっ!!」
「うわっ!?」
ヤノフが剣を振るって、攻撃してきた。
[同日00:15.ヤノフ城・大ホール 藤谷、アカネ、バーズ]
「ま、マジかよ……稲生君?」
藤谷は唖然とした。
マネキン達の中には、あの寸胴型が3体ほど含まれており、ユタからあれの特徴を聞いたので、早速攻撃オブジェクトとして発砲した。
案の定、寸胴型は濃硫酸のような液体を吹き散らして破裂した。
それは周囲のマネキン達も道連れにしたのだが、
「ひ、ひひ……ひきょ………」
アカネも巻き込んだ。
アカネは肉体を溶かしていった。
「勝てば官軍だぜ。ここまで来りゃあよ」
藤谷はたちこめる異臭に顔をしかめながら言った。
「あとは……あんただけだな?」
「そうのようだ。だがしかし、私はあのアカネとは違う」
「そうかい。じゃあ、試してみるか?」
「試す?」
「ほら、よく西部劇にあるだろ?1、2、3で早撃ちするヤツ」
「ああ。そうだな。やってみるか」
[同日同時刻 ヤノフ城・時計台前 ユタ、マリア、ヤノフ]
「逃がすか!……でやあーっ!」
ヤノフが剣を振るうと、そこから青白い光が飛んで来る。
「ユウタ!あれに当たってはダメだ!」
「分かってます!」
ユタはマリアが寝かされていた台を盾にしながら、ヤノフに撃ち込んだ。
「くっ……!」
マリアに貧血に似た症状が現れて、立ちくらみを起こす。
(魔力を使い過ぎた……。あと一回……あいつに攻撃できれば……)
「マリアさん、さっきの魔法、もう1度使えますか?」
「えっ?」
「多分、次の攻撃で最後になると思います」
「……わ、分かった」
ユタに何か作戦があるのだろうか?
[同日00:20.ヤノフ城・大ホール 藤谷&バーズ]
「いや、だからさ、パイソンって早撃ちに向かない銃なんだって。リロードもリボルバー式で遅いし。そんなことも知らなかったのかよ」
「ん、んなバカな……」
自分が発砲する前に藤谷からショットガンを撃ち込まれたバーズ。
「威力はこのM3より強いけどさ」
「くそっ……!」
「まあ、いいや。さーて、バーズさんよ。死ぬ前に聞きてぇことがある。答えてくれよ。イリーナ先生とやらはどこにいる?上で戦ってるヤツら、その先生を捜しに来たんだよ」
「……答えると思うか?」
「あのオバハンじゃねーけど、無間地獄に行くか?」
「バカたれが。この私が無間地獄など……」
「じゃあ、いいや。ちょっと聞いてみるわ」
「?」
藤谷は自分のスマートフォンを出した。
「この人に聞いてみていいか?」
電話帳から出したのは、妙観講の大草講頭の携帯番号。
「き、キサマっ!?何故、その電話番号を知ってる!?お前、一末寺の一班長だろう?!」
「俺はただの信徒じゃないんだよ」
ピッと発信ボタンを押す藤谷。
「……あ、もしもし。大草講頭ですか?どうも、夜分遅くに恐れ入ります。……いえ、実はですね、おたくの講員さんとちょっとトラブルがあったんですけどもね、私としてはどのような対応をしたらよろしいんですかねぇ?」
サーッと青ざめるバーズ。
「や、やめてっ!本当のこと言うからっ!」
「んー?どうして慌ててるのかなぁ?」
「な、何でも話す!だっ、だから、電話を切ってくれ!頼むっ!」
「……てことはやっぱり、バーズさんは妙観講員だったか」
電話を切る藤谷。
「で、イリーナ先生はどこだ?ん?」
「…………」
「……もう1回電話するか?あ?」
「ち、地下牢だ。地下牢に石像にして置いてある」
「つまり、魔法か何かでそのようにしているということか?」
「そうだ!そしてその魔法はヤノフ様にしか解けん!」
「なるほど……。それなら、上で稲生君がそのヤノフさんを倒せば解けるってわけだ」
「フン!ヤノフ様を倒すなどと……!」
「その前に俺がお前を倒すけどな」
「なにっ!?」
「もう1度、今の番号に掛けてみるから、自分で確認してみな」
藤谷はもう1度、『大草講頭』の番号に掛けた。
{「もしもし?」}
「も、もしもし!私です!李哲雄です!さ、先ほどは、も、もも、申し訳ありませんでした!ぜ、全部、正証寺の連中が……!」
「お前、渡辺って……通名だったのかよ!」
{「あの、うちラーメン屋なんですけど?」}
「は……?え?」
「たーっはははははははははっ!実は行き着けのラーメン屋の店長の番号でしたぁ!」
「……!!」
「正体もバレたことだし、後は本当に妙観講にチクるだけだな!」
……バタッ!(←泡吹いて失神したバーズ渡辺こと、李哲雄)
「さて、後のことは稲生君達に任せて、俺はセンセを助けに行こう」
藤谷はスタコラサッサとばかりに、地下牢へ向かう階段に走ったのだった。
もしもシリーズが入っているので、もちろんこの作品はフィクションです。
悪しからず。
それなら、帰化して日本国籍を取ればいいのにと思う。
さすがに帰化人にまで帰化前の名前を名乗れというのは酷だろう。
なのでこの会社の社長の言い分は正しいと思うのだが、日本の司法もあまり良くないな。
まあ、被害者より加害者の人権が重視されている時点で変だとは思うけどね。