[1月7日15:00.天候:晴 宮城県仙台市青葉区国分町]
敷島:「んん……」
敷島はサウナが併設されているカプセルホテルに平賀と泊っている。
サウナの仮眠室で寝ていたのだが、やっと目が覚めた。
敷島:「体が痛ェ……」
午前中、ずっと雪のトンネルを掘っていたからだろう。
その痛む体に鞭打って起き上がり、暗い仮眠室を出た。
敷島:「ん?」
外が何やら騒がしい。
敷島はエレベーターに乗って1階に下りた。
従業員:「あ、お客様!」
敷島:「何かあったんですか?」
従業員:「救助隊が来たんですよ!」
敷島:「今頃ですか」
敷島はついそれが自衛隊だと思っていた。
だが、どうやら違った。
着ている服装が自衛隊のそれとは違う。
かといって、米軍のそれとも思えなかった。
だが、見覚えはある。
1人が気づいて、敷島の所にやってきた。
そして、被っていたフルフェイスのヘルメットを取る。
鳥柴:「DCJ成田営業所の鳥柴です」
アメリカ編ではさんざんっぱらDCJがアドバイザーになったが、ピンチの時には駆け付ける体制になっているというのが何ともニクい。
鳥柴優菜は表向きは成田営業所の営業主任。
だが、裏の顔は御覧の通りである。
敷島:「よくここが分かったな?」
鳥柴:「はいっ!平賀執行役員の連絡で飛んで来ました!」
敷島:「平賀先生が?」
平賀はDCJの外部執行役員という顔も持つ。
敷島:「救助に来てくれたのはありがたいが、まだエミリーが見つかってないんだ」
鳥柴:「そうなんですか?でも、さっきヘリの中に運びましたよ?」
敷島:「な、何だって!?」
鳥柴:「執行役員の話ですと、バージョン4.0の小集団が現れて、エミリーを発見したということです」
敷島:「何だ、バージョン達、結構役に立つじゃないか。随分贅沢なことを言う『女王様』方だ」
鳥柴:「どこの世界でも、『女王様』というのはワガママなものですから」
敷島:「それもそうだな」
鳥柴:「敷島社長も早くヘリコプターへ」
敷島:「いや、俺は1番後でいい」
鳥柴:「えっ?」
敷島:「体が筋肉痛でしょうがないんだ。もう一っ風呂浴びてからにするよ」
鳥柴:「でもそれですと、一旦燃料補給に戻らないといけないので、次の救助は翌日になってしまいますが……」
敷島:「明日でいいよ。ホテルやサウナ代は俺が払っておく。……と、平賀先生に伝えておいてくれ」
鳥柴:「分かりました」
敷島:「エミリー、かなり損傷してたろ?」
鳥柴:「人間だったら、絶対死亡しているレベルです」
敷島:「だろうな。修理はどこでやる?東北工科大学?」
鳥柴:「いえ、あそこはまだ雪深く、ヘリが離着陸できないので、成田営業所まで持って行きます」
敷島:「成田は大丈夫だったのか?」
鳥柴:「はい。成田の積雪は1メートルで済みました」
敷島:「それでも1メートルか。改めて凄い雪だったんだな」
鳥柴:「そうですね」
DCJ社員:「鳥柴主任!そろそろ離陸したいのですが、よろしいですか!?」
鳥柴:「あ、はい。それじゃ敷島社長、エミリーはお預かりして行きます」
敷島:「ああ、頼むよ」
鳥柴:「明日またお迎えに参ります」
敷島:「わざわざ悪いな」
こうしてエミリー達や要救助者を乗せたヘリは飛び去って行った。
敷島:「何だ、ほとんどの客が出て行ったのか?」
従業員:「特にカプセル利用者は出張のお客様が多いですから」
敷島:「そう言われれば、俺もそうだ。会社が心配だから、ちょっと電話してこよう」
こう楽観的なのは、雪に閉ざされてもインフラが止まらなかったからだろう。
停電など1回も無かった。
[同日同時刻 天候:晴 宮城県仙台市青葉区上空 DCJヘリコプター機内]
平賀:「なに?敷島さんはもう一泊して行くって?」
鳥柴:「はい」
平賀:「敷島さんらしいや。まあ、それに……」
平賀はバラバラ死体のようになったエミリーを見た。
平賀:「さすがに今の敷島さんに、これは見せられねぇ……」
鳥柴:「これでも修理可能とは、さすがは執行役員です」
平賀:「頭部が無事なら、あとはどうにもでもなるさ」
平賀は肩を竦めた。
平賀:「それより、一連の黒いロボットのことだが……。そっちの調査で何か分かったか?」
鳥柴:「はい。色々と輸送ルートは細工されていましたが、やはり出所はアメリカの方ではないかと……」
平賀:「それが日本に対して、どういう嫌がらせだ?」
鳥柴:「それはまだ調査の段階です。ただ……ニューヨークでは関知していないようです」
平賀:「どういうことだ?」
鳥柴:「研究畑が勝手にやったことだ、ということでしょう」
平賀:「とんでもないな。北海道の黒いロボット、そっちでサンプルで確保したんだろ?」
鳥柴:「ええ。その資料はアメリカにも流しました」
平賀:「それだよ、きっと。おおかた、日本法人が独立を企てているという噂を聞きつけて嫌がらせでもさせたんだろ」
鳥柴:「そんな、『顕正会員のブログを発見次第、放火・炎上させる武闘派法華講員』みたいなマネをしますか?」
平賀:「奴らなら平気でやりかねん!」
[同日17:00.天候:晴 宮城県仙台市青葉区国分町]
マッサージ師:「少しずつ雪も融け始めてますし、少しは安心ですね」
敷島:「いや、全く」
サウナ内のマッサージコーナーで、ボディケアを受ける敷島。
敷島:「うー……そこそこ……」
マッサージ師:「この辺りですか?この筋ですか?」
敷島:「そうそう」
マッサージ師:「だいぶお疲れですねぇ」
敷島:「雪掘り過ぎた……」
マッサージ師:「さっきの救助隊が緊急物資を持って来てくれましたから、まだしばらくは持ちそうですよ」
敷島:「それより早く、交通機関が復旧するといいねぇ……」
休憩コーナーのテレビでは、天気はしばらく晴れが続くので雪は融ける一方だろうという天気予報が流れていた。
また、市内各地でも、ようやく除雪作業が本格化してきたことがニュースで報じられていた。
敷島:「んん……」
敷島はサウナが併設されているカプセルホテルに平賀と泊っている。
サウナの仮眠室で寝ていたのだが、やっと目が覚めた。
敷島:「体が痛ェ……」
午前中、ずっと雪のトンネルを掘っていたからだろう。
その痛む体に鞭打って起き上がり、暗い仮眠室を出た。
敷島:「ん?」
外が何やら騒がしい。
敷島はエレベーターに乗って1階に下りた。
従業員:「あ、お客様!」
敷島:「何かあったんですか?」
従業員:「救助隊が来たんですよ!」
敷島:「今頃ですか」
敷島はついそれが自衛隊だと思っていた。
だが、どうやら違った。
着ている服装が自衛隊のそれとは違う。
かといって、米軍のそれとも思えなかった。
だが、見覚えはある。
1人が気づいて、敷島の所にやってきた。
そして、被っていたフルフェイスのヘルメットを取る。
鳥柴:「DCJ成田営業所の鳥柴です」
アメリカ編ではさんざんっぱらDCJがアドバイザーになったが、ピンチの時には駆け付ける体制になっているというのが何ともニクい。
鳥柴優菜は表向きは成田営業所の営業主任。
だが、裏の顔は御覧の通りである。
敷島:「よくここが分かったな?」
鳥柴:「はいっ!平賀執行役員の連絡で飛んで来ました!」
敷島:「平賀先生が?」
平賀はDCJの外部執行役員という顔も持つ。
敷島:「救助に来てくれたのはありがたいが、まだエミリーが見つかってないんだ」
鳥柴:「そうなんですか?でも、さっきヘリの中に運びましたよ?」
敷島:「な、何だって!?」
鳥柴:「執行役員の話ですと、バージョン4.0の小集団が現れて、エミリーを発見したということです」
敷島:「何だ、バージョン達、結構役に立つじゃないか。随分贅沢なことを言う『女王様』方だ」
鳥柴:「どこの世界でも、『女王様』というのはワガママなものですから」
敷島:「それもそうだな」
鳥柴:「敷島社長も早くヘリコプターへ」
敷島:「いや、俺は1番後でいい」
鳥柴:「えっ?」
敷島:「体が筋肉痛でしょうがないんだ。もう一っ風呂浴びてからにするよ」
鳥柴:「でもそれですと、一旦燃料補給に戻らないといけないので、次の救助は翌日になってしまいますが……」
敷島:「明日でいいよ。ホテルやサウナ代は俺が払っておく。……と、平賀先生に伝えておいてくれ」
鳥柴:「分かりました」
敷島:「エミリー、かなり損傷してたろ?」
鳥柴:「人間だったら、絶対死亡しているレベルです」
敷島:「だろうな。修理はどこでやる?東北工科大学?」
鳥柴:「いえ、あそこはまだ雪深く、ヘリが離着陸できないので、成田営業所まで持って行きます」
敷島:「成田は大丈夫だったのか?」
鳥柴:「はい。成田の積雪は1メートルで済みました」
敷島:「それでも1メートルか。改めて凄い雪だったんだな」
鳥柴:「そうですね」
DCJ社員:「鳥柴主任!そろそろ離陸したいのですが、よろしいですか!?」
鳥柴:「あ、はい。それじゃ敷島社長、エミリーはお預かりして行きます」
敷島:「ああ、頼むよ」
鳥柴:「明日またお迎えに参ります」
敷島:「わざわざ悪いな」
こうしてエミリー達や要救助者を乗せたヘリは飛び去って行った。
敷島:「何だ、ほとんどの客が出て行ったのか?」
従業員:「特にカプセル利用者は出張のお客様が多いですから」
敷島:「そう言われれば、俺もそうだ。会社が心配だから、ちょっと電話してこよう」
こう楽観的なのは、雪に閉ざされてもインフラが止まらなかったからだろう。
停電など1回も無かった。
[同日同時刻 天候:晴 宮城県仙台市青葉区上空 DCJヘリコプター機内]
平賀:「なに?敷島さんはもう一泊して行くって?」
鳥柴:「はい」
平賀:「敷島さんらしいや。まあ、それに……」
平賀はバラバラ死体のようになったエミリーを見た。
平賀:「さすがに今の敷島さんに、これは見せられねぇ……」
鳥柴:「これでも修理可能とは、さすがは執行役員です」
平賀:「頭部が無事なら、あとはどうにもでもなるさ」
平賀は肩を竦めた。
平賀:「それより、一連の黒いロボットのことだが……。そっちの調査で何か分かったか?」
鳥柴:「はい。色々と輸送ルートは細工されていましたが、やはり出所はアメリカの方ではないかと……」
平賀:「それが日本に対して、どういう嫌がらせだ?」
鳥柴:「それはまだ調査の段階です。ただ……ニューヨークでは関知していないようです」
平賀:「どういうことだ?」
鳥柴:「研究畑が勝手にやったことだ、ということでしょう」
平賀:「とんでもないな。北海道の黒いロボット、そっちでサンプルで確保したんだろ?」
鳥柴:「ええ。その資料はアメリカにも流しました」
平賀:「それだよ、きっと。おおかた、日本法人が独立を企てているという噂を聞きつけて嫌がらせでもさせたんだろ」
鳥柴:「そんな、『顕正会員のブログを発見次第、放火・炎上させる武闘派法華講員』みたいなマネをしますか?」
平賀:「奴らなら平気でやりかねん!」
[同日17:00.天候:晴 宮城県仙台市青葉区国分町]
マッサージ師:「少しずつ雪も融け始めてますし、少しは安心ですね」
敷島:「いや、全く」
サウナ内のマッサージコーナーで、ボディケアを受ける敷島。
敷島:「うー……そこそこ……」
マッサージ師:「この辺りですか?この筋ですか?」
敷島:「そうそう」
マッサージ師:「だいぶお疲れですねぇ」
敷島:「雪掘り過ぎた……」
マッサージ師:「さっきの救助隊が緊急物資を持って来てくれましたから、まだしばらくは持ちそうですよ」
敷島:「それより早く、交通機関が復旧するといいねぇ……」
休憩コーナーのテレビでは、天気はしばらく晴れが続くので雪は融ける一方だろうという天気予報が流れていた。
また、市内各地でも、ようやく除雪作業が本格化してきたことがニュースで報じられていた。
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