[4月10日10:50.天候:晴 JR高尾駅]
ガラガラ、ガコーン!(自動販売機でジュースを買う稲生)
稲生:「この駅、何気に何度も通ってるんだよなぁ……」
マリアの屋敷がある長野から電車で上京しようとすると、中央本線回りになることが多く、その為、この駅を通過する。
当然ながら合宿の時に使用した宿泊施設の最寄り駅である藤野駅も通過しているし、魔界からの異形の者に貨物列車が襲われた時に戦ったトンネルも中央本線だ。
〔まもなく4番線に、当駅止まりの列車が参ります。危ないですから、黄色い線までお下がりください。この列車は折り返し、11時1分発、普通、甲府行きとなります。この列車は3つドア、6両です〕
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/ja/7/78/Takao-sta-dankon.jpg
(第二次大戦中の際、米軍から機銃掃射を受けた痕。戦災遺構として、未だに残る)
6両編成の電車が下り方向からやってくる。
かつては高崎線や宇都宮線を爆走していた211系がやってきた。
塗装は変えられているが、内装などはそのままだ。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/76/JRE_211_nagano_color.JPG
〔たかお〜、高尾〜。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕
高尾から西の中央本線区間ではドアも半自動になるようだが、高尾駅そのものでは自動らしい。
車内は残念ながらロングシート仕様であったが、易々と運転室後ろの2人席に腰掛けた。
但し、211系の亜種である719系(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/6d/719kei_rapid_city_rabbit.JPG)や、JR東海の211系5000番台と比べると運転室と客室との境の窓は小さい。
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。4番線に停車中の列車は、11時1分発、普通、甲府行きです。発車まで、しばらくお待ちください〕
座席に座って待っていると、網棚の上に新聞が置かれているのが分かった。
取ってみると、思った通りの“アルカディア・タイムス”日本語版号外。
広げてみると大きく、『アルカディア王国暴動終結へ!』『反乱軍指揮官ノルマン将軍、塵芥に!』と書かれていた。
稲生:「うわ……」
写真にはドヤ顔のイリーナと、その後ろに牙を覗かせているドラゴンの姿があった。
しかも、『一気に暴動を鎮圧したイリーナ師の使い魔リシーツァ』とも。
稲生:(先生、ドラゴン飼ってたの!?)
当初の旅行の目的は、イリーナの使い魔が何かを見に行くというものだった。
召喚すれば早いだろうと思ったのだが、確かにこれは召喚したらマズいものだろう。
それでこちらから見に行くということだったのか。
こちらでも向こうでも予想外のことが起きたから、もはや見てのお楽しみというわけにもいかなくなったということだ。
稲生:(相変わらず、凄い先生だなぁ……)
[同日11:20.天候:晴 神奈川県相模原市緑区 JR藤野駅]
高尾駅からたった2駅なのに、およそ20分も掛かる。
中央線も東京駅を出発して高尾まで来ても、まだそんなにローカルチックな感じは受けない。
ところが、高尾駅を出ると様相が一変する。
本当に山あいのローカル線といった感じだ。
トンネルも断続的に続き、その中に第二次世界大戦中に起きた悲劇の舞台となったトンネルも存在する(湯の花トンネル)。
長いトンネルも経て、途中の相模湖駅までは10分くらい掛かる。
更に似たような状況を経て、また更に10分ほど走ってようやく藤野駅だ。
平地の少ない部分に作った駅のせいもあってか、ホームはかなり狭い。
〔「まもなく藤野、藤野です。お出口は、右側です。お降りの際、電車のドアは自動では開きません。ドア横にあります『開』のボタンを押して、ドアを開けてください」〕
電車がホームに停車する。
稲生のような東北出身者なら何の疑いも無くドアボタンに手を伸ばすのだが、知らないと慣れるまでドアの前に立ち尽くすことになる。
〔ふじの〜、藤野〜。ご乗車、ありがとうございます〕
稲生は電車を降りた。
稲生:「何だか懐かしいなぁ……」
合宿に来た理由は、来たるべきバァル大魔王との最終決戦に備えて、各自戦力を強化する為だった。
大師匠ダンテとは旧知の仲で、最終的にはその旧友に諭されて、自ら戦いの幕を下ろしている(負けを認めた)。
代理の女王だったルーシーが正式に即位し、帝政アルカディアは、立憲君主制国に変更している。
但し、帝政時代に幅を利かせた魔族達が帝政復活を求めて、未だゲリラ活動が行われている。
このゲリラ達も一枚岩ではなく、バァルに戻ってきて欲しいという極右派と、ルーシーでいいから帝政にしてという中道右派まで様々だという。
極左政党の魔界民主党は、完全に人間のみの大統領制統治にしたいと考えているし、立憲君主制でも国王は人間でという中道左派まで、やはり左側も様々だ。
稲生はそんなことを考えながら駅の自動改札口を出た。
稲生:(僕は今の王国が好きだな……)
というわけで稲生は完全に中道。
因みに極右ゲリラの活動は、地元の新聞から『夢よ、もう一度運動』などと呼ばれている。
[同日11:40.天候:晴 神奈川県相模原市緑区 タチアナの家]
稲生:「はぁ、はぁ……。やっと着いた……」
稲生の息が上がっているのは、藤野駅からここまで来るのに、キツいアップダウンがあったからだ。
相模川に架かる橋の前後。
因みにこの橋の東側には、もう1つ大きな橋が掛かっているのだが、その橋の名前を日蓮大橋という。
多摩:「カット!カット!雲羽、字が違う!」
雲羽:「えっ?何ですか?『にちれんおおはし』ですよね?……あっ、ごめんなさい。日蓮じゃなくて日連でしたね」
多摩:「だから違うって!日連と書いて『ひづれ』だ!」
雲羽:「ええーっ!?」
多摩:「お前、漢字……。いい加減にしないと相模原在住の妙観講員がファビョるぞ」
雲羽:「そうでしたね。失礼しました。……じゃあ、テイク2行きましょう!」
多摩:「すいませんね、皆さん。監督自らNG出しちゃって……」
AD:「じゃあテイク2、行きまーす!5、4、3、2……」
カチン!🎬
稲生:「はぁ、はぁ……。やっと着いた……」
稲生の息が上がっているのは、藤野駅からここまで来るのに、キツいアップダウンがあったからだ。
相模川に架かる橋の前後。
因みにこの橋の東側には、もう1つ大きな橋が掛かっているのだが、その橋の名前を日連大橋という。
稲生:「こんにちはー」
稲生は息を整えて店の中に入った。
佇まいは、アンティーク家具や小物を取り扱う小さな店といった感じである。
これでようやく、稲生もマリア達と合流であろうか。
ガラガラ、ガコーン!(自動販売機でジュースを買う稲生)
稲生:「この駅、何気に何度も通ってるんだよなぁ……」
マリアの屋敷がある長野から電車で上京しようとすると、中央本線回りになることが多く、その為、この駅を通過する。
当然ながら合宿の時に使用した宿泊施設の最寄り駅である藤野駅も通過しているし、魔界からの異形の者に貨物列車が襲われた時に戦ったトンネルも中央本線だ。
〔まもなく4番線に、当駅止まりの列車が参ります。危ないですから、黄色い線までお下がりください。この列車は折り返し、11時1分発、普通、甲府行きとなります。この列車は3つドア、6両です〕
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/ja/7/78/Takao-sta-dankon.jpg
(第二次大戦中の際、米軍から機銃掃射を受けた痕。戦災遺構として、未だに残る)
6両編成の電車が下り方向からやってくる。
かつては高崎線や宇都宮線を爆走していた211系がやってきた。
塗装は変えられているが、内装などはそのままだ。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/76/JRE_211_nagano_color.JPG
〔たかお〜、高尾〜。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕
高尾から西の中央本線区間ではドアも半自動になるようだが、高尾駅そのものでは自動らしい。
車内は残念ながらロングシート仕様であったが、易々と運転室後ろの2人席に腰掛けた。
但し、211系の亜種である719系(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/6d/719kei_rapid_city_rabbit.JPG)や、JR東海の211系5000番台と比べると運転室と客室との境の窓は小さい。
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。4番線に停車中の列車は、11時1分発、普通、甲府行きです。発車まで、しばらくお待ちください〕
座席に座って待っていると、網棚の上に新聞が置かれているのが分かった。
取ってみると、思った通りの“アルカディア・タイムス”日本語版号外。
広げてみると大きく、『アルカディア王国暴動終結へ!』『反乱軍指揮官ノルマン将軍、塵芥に!』と書かれていた。
稲生:「うわ……」
写真にはドヤ顔のイリーナと、その後ろに牙を覗かせているドラゴンの姿があった。
しかも、『一気に暴動を鎮圧したイリーナ師の使い魔リシーツァ』とも。
稲生:(先生、ドラゴン飼ってたの!?)
当初の旅行の目的は、イリーナの使い魔が何かを見に行くというものだった。
召喚すれば早いだろうと思ったのだが、確かにこれは召喚したらマズいものだろう。
それでこちらから見に行くということだったのか。
こちらでも向こうでも予想外のことが起きたから、もはや見てのお楽しみというわけにもいかなくなったということだ。
稲生:(相変わらず、凄い先生だなぁ……)
[同日11:20.天候:晴 神奈川県相模原市緑区 JR藤野駅]
高尾駅からたった2駅なのに、およそ20分も掛かる。
中央線も東京駅を出発して高尾まで来ても、まだそんなにローカルチックな感じは受けない。
ところが、高尾駅を出ると様相が一変する。
本当に山あいのローカル線といった感じだ。
トンネルも断続的に続き、その中に第二次世界大戦中に起きた悲劇の舞台となったトンネルも存在する(湯の花トンネル)。
長いトンネルも経て、途中の相模湖駅までは10分くらい掛かる。
更に似たような状況を経て、また更に10分ほど走ってようやく藤野駅だ。
平地の少ない部分に作った駅のせいもあってか、ホームはかなり狭い。
〔「まもなく藤野、藤野です。お出口は、右側です。お降りの際、電車のドアは自動では開きません。ドア横にあります『開』のボタンを押して、ドアを開けてください」〕
電車がホームに停車する。
稲生のような東北出身者なら何の疑いも無くドアボタンに手を伸ばすのだが、知らないと慣れるまでドアの前に立ち尽くすことになる。
〔ふじの〜、藤野〜。ご乗車、ありがとうございます〕
稲生は電車を降りた。
稲生:「何だか懐かしいなぁ……」
合宿に来た理由は、来たるべきバァル大魔王との最終決戦に備えて、各自戦力を強化する為だった。
大師匠ダンテとは旧知の仲で、最終的にはその旧友に諭されて、自ら戦いの幕を下ろしている(負けを認めた)。
代理の女王だったルーシーが正式に即位し、帝政アルカディアは、立憲君主制国に変更している。
但し、帝政時代に幅を利かせた魔族達が帝政復活を求めて、未だゲリラ活動が行われている。
このゲリラ達も一枚岩ではなく、バァルに戻ってきて欲しいという極右派と、ルーシーでいいから帝政にしてという中道右派まで様々だという。
極左政党の魔界民主党は、完全に人間のみの大統領制統治にしたいと考えているし、立憲君主制でも国王は人間でという中道左派まで、やはり左側も様々だ。
稲生はそんなことを考えながら駅の自動改札口を出た。
稲生:(僕は今の王国が好きだな……)
というわけで稲生は完全に中道。
因みに極右ゲリラの活動は、地元の新聞から『夢よ、もう一度運動』などと呼ばれている。
[同日11:40.天候:晴 神奈川県相模原市緑区 タチアナの家]
稲生:「はぁ、はぁ……。やっと着いた……」
稲生の息が上がっているのは、藤野駅からここまで来るのに、キツいアップダウンがあったからだ。
相模川に架かる橋の前後。
因みにこの橋の東側には、もう1つ大きな橋が掛かっているのだが、その橋の名前を日蓮大橋という。
多摩:「カット!カット!雲羽、字が違う!」
雲羽:「えっ?何ですか?『にちれんおおはし』ですよね?……あっ、ごめんなさい。日蓮じゃなくて日連でしたね」
多摩:「だから違うって!日連と書いて『ひづれ』だ!」
雲羽:「ええーっ!?」
多摩:「お前、漢字……。いい加減にしないと相模原在住の妙観講員がファビョるぞ」
雲羽:「そうでしたね。失礼しました。……じゃあ、テイク2行きましょう!」
多摩:「すいませんね、皆さん。監督自らNG出しちゃって……」
AD:「じゃあテイク2、行きまーす!5、4、3、2……」
カチン!🎬
稲生:「はぁ、はぁ……。やっと着いた……」
稲生の息が上がっているのは、藤野駅からここまで来るのに、キツいアップダウンがあったからだ。
相模川に架かる橋の前後。
因みにこの橋の東側には、もう1つ大きな橋が掛かっているのだが、その橋の名前を日連大橋という。
稲生:「こんにちはー」
稲生は息を整えて店の中に入った。
佇まいは、アンティーク家具や小物を取り扱う小さな店といった感じである。
これでようやく、稲生もマリア達と合流であろうか。
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