[1月28日07:00.天候:雨 東京都江東区森下 ワンスターホテル]
鈴木:「おはよう……」
エレベーターから欠伸をして鈴木が出てきた。
エレーナ:「何だか眠そうだな」
鈴木:「ここだとついつい深く寝入るからな、起きるのが大変だ」
エレーナ:「オマエんち、どんだけ寝にくい所なんだよ……」
エレーナは飽きれた。
鈴木:「リリィは?」
エレーナ:「まだ寝てる。魔界との時差ボケで眠いんだろ。寝かせといてやるさ。どうせ私も、今日は夜勤明けだ」
鈴木:「ホテル業務は大変だな。俺は朝飯食ってくるよ」
エレーナ:「行ってらっさー」
鈴木がホテル1Fにテナントとして入居しているレストランに向かうと……。
リリアンヌ:「エレーナ先輩、おはようございます……」
入れ違うようにしてエレベーターからリリィが降りてきた。
エレーナ:「オマエも起きたか」
リリアンヌ:「私……も?」
エレーナ:「さっき鈴木が来て、レストランに向かったぜ?」
リリアンヌ:「そ、そうですか」
エレーナ:「今行けば、朝飯代も奢ってもらえるかもな?」
リリアンヌ:「フヒッ!?功徳~~~~~~~!!」
エレーナ:「変な日本語使うんじゃねーぜ」
リリアンヌ:「行ってきまーす……」
エレーナ:「ああ、せいぜいタカって来い」
リリィもレストランに向かう。
普段は創作料理レストランだが、モーニングだけは普通のバイキング。
但し、創作料理に使う食材の余りを使ったものが出てくることもある。
エレーナ:(今日は雨か。今日は部屋で引きこもりデーだな)
と、そこへエントランスのドアが開けられた。
エレーナ:「いらっしゃいませー」
男:「…………」
エレーナ:「……!」
エレーナが警戒心を持ったのは、入って来た男がマフィア風の恰好をしていたからだ。
強いて言うなら、見た目が完全にゴッドファーザー。
どこからともなくトンプソンをブチかまして来そうな……。
エレーナ:(ま、まさか私が潰したニューヨークマフィアの生き残り!?)
エレーナは急いでカウンターの下に隠していた魔法の杖を取った。
ゴッドファーザー的な男も、着ていた黒いトレンチコートの中から何かを取り出す。
男:「金髪の魔女……。確かに特徴は合っている……」
エレーナ:「お、お客様、何か御用でしょうか?」
エレーナは魔法の杖を背中に隠した。
どうやら男は外国人のようで、先ほど英語を呟いた。
エレーナ:(パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ……)
そして心の中で呪文を唱える。
いつでも攻撃魔法を放つ為だ。
男:「まず……私は宿泊客ではありません」
エレーナ:(見りゃ分かる!)
物言いは丁寧だが、ヤクザもマフィアもスーツ組は往々にして物言いは丁寧なものである。
男:「実は人を捜してまして……。それがあなたかもしれないのです」
エレーナ:「どちら様ですか?ニューヨークからお越しのアダムス御一家様でしたら、違った意味で歓迎致しますよ?」
男:「いえ、違います。私は世界探偵協会イギリス支部から派遣されたエージェントです」
エレーナ:「探偵さん?」
男改め探偵:「はい」
エレーナ:「あの、失礼ですが、恐らく出演作品を間違えてらっしゃるかと……。バイオハザードは今のところ、武漢でしか起きてませんよ?」
探偵:「いえ、大丈夫です。私は『金髪の魔女』を捜して来日した者ですので」
エレーナ:「イギリスからお越しなんですか?」
探偵:「ええ」
エレーナ:(通りで喋る英語が、うちの先生やマリアンナみたいな感じだと思ったぜ)
探偵:「イギリス人の魔女を捜しています。あなた自身は如何でしょうか?」
エレーナ:「私はウクライナ人です。あいにくですけど」
探偵:「そうですか。あなたのお知り合いで、イギリス人の魔女はいらっしゃいますか?」
エレーナ:「何人かいますけど、それ以上は個人情報なので言えませんね」
探偵:「そうですか。実は私が捜しているのは、この魔女です」
探偵は1枚の写真を差し出した。
エレーナ:「……!」
エレーナはその写真に見覚えがあった。
というか、見覚えがあり過ぎるくらいだ。
その表情を探偵は目ざとく見つけた。
探偵:「どうやらお知り合いにいらっしゃるようですね。それとも、あなた自身がその姿を仮の姿としている。あるいはそれが正体で、この写真の魔女が仮の姿だったとか?」
エレーナ:「何のことでしょう?私はこの姿が素ですよ。だから、その写真の人物とは全く関係ありません」
探偵:「詳しく教えて頂けましたら、報奨金をお約束しましょう」
エレーナ:「都合良く日本の札束でもお持ちなんですか?」
探偵:「いえ、あいにくと現金はそんなに持ち歩かない主義です。やはり嵩張りますので」
エレーナ:「小切手1枚寄越されたくらいでは、魔女は動きませんよ?」
探偵:「ええ、分かっています。他国で調査した時もそうでした」
探偵は手持ちの鞄をカウンターの上に置くと、バッグを開けた。
探偵:「魔法具の材料としても完璧。金貨です」
エレーナ:「ファッ!?」
探偵:「現在、世界各地で金の相場が上がっていることは御存知だと思います。そこで報酬はこの金貨でいかがでしょうか?」
探偵は金貨をまるでカジノの勝負師のように積み上げた。
エレーナ:「……何から知りたいですか?」
エレーナ!?
守銭奴魔女の異名を持つ彼女だが、ついに金貨で同門の士を売るのか!?
鈴木:「ヤベェ、ヤベェ。財布忘れちまったよー」
そこへ鈴木、慌ててレストランから出てくる。
鈴木:「やあ、エレーナ。危うくレストランで無銭飲食する所だったよ」
エレーナ:「オマエ、そんなに死にたいか?」
鈴木:「いやはや……。ん?なに、この金貨?あれ、マリアさんの写真だ。どうしたの?」
探偵:「kwsk!この金貨はこちらの方に……」
エレーナ:「って、おおーい!?」
報酬横取り野郎の鈴木。
功徳も何気に横取りする者がいるので、信仰者は注意だ。
鈴木:「おはよう……」
エレベーターから欠伸をして鈴木が出てきた。
エレーナ:「何だか眠そうだな」
鈴木:「ここだとついつい深く寝入るからな、起きるのが大変だ」
エレーナ:「オマエんち、どんだけ寝にくい所なんだよ……」
エレーナは飽きれた。
鈴木:「リリィは?」
エレーナ:「まだ寝てる。魔界との時差ボケで眠いんだろ。寝かせといてやるさ。どうせ私も、今日は夜勤明けだ」
鈴木:「ホテル業務は大変だな。俺は朝飯食ってくるよ」
エレーナ:「行ってらっさー」
鈴木がホテル1Fにテナントとして入居しているレストランに向かうと……。
リリアンヌ:「エレーナ先輩、おはようございます……」
入れ違うようにしてエレベーターからリリィが降りてきた。
エレーナ:「オマエも起きたか」
リリアンヌ:「私……も?」
エレーナ:「さっき鈴木が来て、レストランに向かったぜ?」
リリアンヌ:「そ、そうですか」
エレーナ:「今行けば、朝飯代も奢ってもらえるかもな?」
リリアンヌ:「フヒッ!?功徳~~~~~~~!!」
エレーナ:「変な日本語使うんじゃねーぜ」
リリアンヌ:「行ってきまーす……」
エレーナ:「ああ、せいぜいタカって来い」
リリィもレストランに向かう。
普段は創作料理レストランだが、モーニングだけは普通のバイキング。
但し、創作料理に使う食材の余りを使ったものが出てくることもある。
エレーナ:(今日は雨か。今日は部屋で引きこもりデーだな)
と、そこへエントランスのドアが開けられた。
エレーナ:「いらっしゃいませー」
男:「…………」
エレーナ:「……!」
エレーナが警戒心を持ったのは、入って来た男がマフィア風の恰好をしていたからだ。
強いて言うなら、見た目が完全にゴッドファーザー。
どこからともなくトンプソンをブチかまして来そうな……。
エレーナ:(ま、まさか私が潰したニューヨークマフィアの生き残り!?)
エレーナは急いでカウンターの下に隠していた魔法の杖を取った。
ゴッドファーザー的な男も、着ていた黒いトレンチコートの中から何かを取り出す。
男:「金髪の魔女……。確かに特徴は合っている……」
エレーナ:「お、お客様、何か御用でしょうか?」
エレーナは魔法の杖を背中に隠した。
どうやら男は外国人のようで、先ほど英語を呟いた。
エレーナ:(パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ……)
そして心の中で呪文を唱える。
いつでも攻撃魔法を放つ為だ。
男:「まず……私は宿泊客ではありません」
エレーナ:(見りゃ分かる!)
物言いは丁寧だが、ヤクザもマフィアもスーツ組は往々にして物言いは丁寧なものである。
男:「実は人を捜してまして……。それがあなたかもしれないのです」
エレーナ:「どちら様ですか?ニューヨークからお越しのアダムス御一家様でしたら、違った意味で歓迎致しますよ?」
男:「いえ、違います。私は世界探偵協会イギリス支部から派遣されたエージェントです」
エレーナ:「探偵さん?」
男改め探偵:「はい」
エレーナ:「あの、失礼ですが、恐らく出演作品を間違えてらっしゃるかと……。バイオハザードは今のところ、武漢でしか起きてませんよ?」
探偵:「いえ、大丈夫です。私は『金髪の魔女』を捜して来日した者ですので」
エレーナ:「イギリスからお越しなんですか?」
探偵:「ええ」
エレーナ:(通りで喋る英語が、うちの先生やマリアンナみたいな感じだと思ったぜ)
探偵:「イギリス人の魔女を捜しています。あなた自身は如何でしょうか?」
エレーナ:「私はウクライナ人です。あいにくですけど」
探偵:「そうですか。あなたのお知り合いで、イギリス人の魔女はいらっしゃいますか?」
エレーナ:「何人かいますけど、それ以上は個人情報なので言えませんね」
探偵:「そうですか。実は私が捜しているのは、この魔女です」
探偵は1枚の写真を差し出した。
エレーナ:「……!」
エレーナはその写真に見覚えがあった。
というか、見覚えがあり過ぎるくらいだ。
その表情を探偵は目ざとく見つけた。
探偵:「どうやらお知り合いにいらっしゃるようですね。それとも、あなた自身がその姿を仮の姿としている。あるいはそれが正体で、この写真の魔女が仮の姿だったとか?」
エレーナ:「何のことでしょう?私はこの姿が素ですよ。だから、その写真の人物とは全く関係ありません」
探偵:「詳しく教えて頂けましたら、報奨金をお約束しましょう」
エレーナ:「都合良く日本の札束でもお持ちなんですか?」
探偵:「いえ、あいにくと現金はそんなに持ち歩かない主義です。やはり嵩張りますので」
エレーナ:「小切手1枚寄越されたくらいでは、魔女は動きませんよ?」
探偵:「ええ、分かっています。他国で調査した時もそうでした」
探偵は手持ちの鞄をカウンターの上に置くと、バッグを開けた。
探偵:「魔法具の材料としても完璧。金貨です」
エレーナ:「ファッ!?」
探偵:「現在、世界各地で金の相場が上がっていることは御存知だと思います。そこで報酬はこの金貨でいかがでしょうか?」
探偵は金貨をまるでカジノの勝負師のように積み上げた。
エレーナ:「……何から知りたいですか?」
エレーナ!?
守銭奴魔女の異名を持つ彼女だが、ついに金貨で同門の士を売るのか!?
鈴木:「ヤベェ、ヤベェ。財布忘れちまったよー」
そこへ鈴木、慌ててレストランから出てくる。
鈴木:「やあ、エレーナ。危うくレストランで無銭飲食する所だったよ」
エレーナ:「オマエ、そんなに死にたいか?」
鈴木:「いやはや……。ん?なに、この金貨?あれ、マリアさんの写真だ。どうしたの?」
探偵:「kwsk!この金貨はこちらの方に……」
エレーナ:「って、おおーい!?」
報酬横取り野郎の鈴木。
功徳も何気に横取りする者がいるので、信仰者は注意だ。
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