報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

私の小説は、もちろんフィクションです。

2013-09-27 02:35:03 | 日記
 “妖狐 威吹”より。前回の続き。

[11:55.日蓮正宗大石寺・大講堂 稲生ユウタ]

「……これを持ちまして、本日の話とさせて頂きます。ご清聴、感謝致します」
 僕は他の信徒の人達と一緒に拍手をした。
「それでは御題目三唱を致します」
 僕達が拝聴した部屋には、御本尊様が御安置されていない。そんな時はどうするのかというと、奉安堂の方を向いて行うのである。
「どうだった?」
 御題目三唱が終わって、信徒の人達が三々五々散っていく中、藤谷班長が話し掛けてくれた。
「ええ、浅井会長の話よりいいですね。終末論が出てこないだけでも、聞いていて安心しますよ」
 と、僕は答えた。
「うんうん。そうだろう」
 班長は大きく頷いた。そして続ける。
「この後、御開扉が13時30分からだから、“売店”で何か食べよう」
 売店とは何も、駅のキヨスクみたいなものじゃなく、要は仲見世商店街のことである。土産物屋から、食堂まである。
「威吹もいいですか?」
「いいよ。売店は宗外の人もOKだから」

 僕達は大講堂の外に出た。
 思わず、ケータイを取り出しそうになる。違う違う。威吹はケータイを持ってないし、そもそも使えない。何か最近、ようやく公衆電話が使えるようになったっぽいけど。
 じゃあどうするのかというと、こんな時の為に威吹からもらったものがある。犬笛だ。これを吹くと、どんなに遠くても、威吹の耳に届くというものだ。まあ、威吹は犬じゃなくて狐の妖怪だから、狐笛かな。まあそれはいいとして、僕が笛をくわえると、まだ吹いてもいないのに“広布の広場”の方から威吹が必死の形相で走って来た。そんなに慌てなくていいのになぁ……。それとも、お腹が空いたかな?ああ見えて、結構大食漢だし。
「ユタぁ!助けてーっ!!」
 助けて?それはいつも、僕のセリフなんだけど……。さしずめ、ドラえもんに泣きつくのび太君みたいな。
「どうしたの?“任務”の人に不審者扱いされた?」
「変な装束を着た5人組……妖怪退治屋に追われてるんだ!」
「はあ!?」
 何言ってんだ、コイツ!?
「赤とか黄色の派手な装束……けんしょーれんじゃー?とか何とか……」
 威吹は肩で息をしていた。威吹の発言に、藤谷班長が反応した。
「ケンショーレンジャー!?ま、まさか……」
「え?」
「噂は本当だったのか……?」
「な、何がですか!?」
「うん。顕正会の浅井会長以下、幹部達が5人揃って、お忍びで戦隊ヒーローのコスプレをし、法華講員達に嫌がらせをしているという噂だよ。ネットでしか見聞きしないから、デマだと思ってたんだけど……」
 今は追ってきていないようだった。さすがに信徒が多くいる場所にまでは来ないみたいだ。

[12:15.日蓮正宗大石寺売店・西山食堂 稲生ユウタ]

 取りあえず、腹ごしらえをすることにした。威吹は定番のきつねうどん。妖狐が油揚げを食べるところが、妙にしっくりくる。
「え?今回の奴らの目的は、威吹君退治?」
 藤谷班長は豚汁定食を食べながら、威吹の話を意外そうに聞いていた。
「ふーん……。そもそも奴らがこの御山に来ること自体、想定外なんだけど……」
「そやつら、妖怪退治屋じゃないんですか?」
「違う違う。ただのアホでおバカな変態集団だ。気にしなくていいよ」
 威吹の質問に、班長は苦笑いをして否定した。
「結構、霊力がある感じでしたが……」
「カルト教団に入れ込んでいる者のほとんどは霊感がある。それを教えてくれたのは君達だよ」
 なるほど。そういうもんか。威吹も僕の霊力が目的で近づいてきたけども、顕正会を辞めて、ここに御受戒してから霊力が下がったって嘆いてたもんな。余計な霊力を削ぎ落とすことで、魑魅魍魎に狙われなくする、これも立派な御守護だろう。
「でも、これからどうします?また襲ってくるかもしれませんよね?」
 僕は現実問題を班長に振った。
「任務者の人に話しておきますか?」
「いや、話したところで信用してもらえないだろうし、奴らは噂通り、戦隊ヒーローのコスプレをしていることから、かなり目立つとみた。威吹君の着物みたいにね」
 確かに御僧侶以外で着物なんて、威吹くらいしかいない。だからこそ、ケンショレンジャーに狙われてしまったのかもしれない。
「とにかく、単独行動はしないことにしよう」
「でも、御開扉の時はどうします?」
「その時は、売店の中にでもいてさ……」
 全く。面倒なことになったもんだ。

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 もう1度書きますが、あくまでフィクションです。
 因みに今、売店は区画整理中でして、一部の店舗が移転したりしています。この話を書いた時は、まだ工事前です。
 次回、ケンショーレンジャーがついに奉安堂内部へ突入!?……なわけありません。

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1 コメント

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訂正 (ユタ)
2013-09-27 16:01:40
 誤字・脱字がありましたので、その部分を修正しました。
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