報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「寿司三昧」

2024-01-19 20:28:48 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月23日17時45分 天候:晴 東京都墨田区菊川 都営バス錦11系統車内]

〔発車致します。お掴まりください〕

 私達を乗せている都営バスは、私の事務所兼住宅の最寄りバス停を発車した。
 もちろん、ここでは降りない。
 バスは新大橋通りを西進する。
 ここから森下駅前バス停までは、バイオハザード発生の為に通行止めになったことがあった。
 私達が前に住んでいたマンションの住人達が、突然ゾンビ化してしまったのである。
 地元の警察はおろか、BSAAが出動する騒ぎとなった。
 今は当然普通に通れるようになっている。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは森下駅前、浜町中の橋経由、築地駅前行きでございます。次は菊川一丁目、菊川一丁目。警備会社の全日警、東京中央支社前でございます。次は、菊川一丁目でございます〕

 私は、バスがマンションの前に差し掛かるのを待ち構えた。
 反対車線にあるのだが、窓側に座るリサもそちらの方を気にしている。
 ふと、リサのうなじが目に入った。
 BOWのせいか、あまり髪の長さが変わらない。
 だから散髪もあまり行かないのだが、髪の毛先数cmの辺りはオレンジ色に染まっている。
 そのように染めたのではなく、何故かそうなったのだ。
 栗原蓮華も鬼化したら、髪が銀髪になってしまったし、何か髪色を変えてしまう何かがあるのだろう。
 実は善場主任も、地毛は黒くなく、黒く染めているという噂がある。

 リサ「先生、あれ!」

 リサが前のマンションの辺りを指さした。
 そこは工事用の仮囲いがしてあり、通り側からは中の様子が見えないようになっていた。
 改築するのか、あるいは取り壊すのかは定かではない。

 愛原「なるほど。何かこれから、工事をしようってところか……」

 時間があったら、改めて見に行ってみることにしよう。
 正式な工事なら、仮囲いの外側にでも、そういった旨のお知らせが貼られているはずだ。

 リサ「どうする?」
 愛原「後で見に行ってみることにしよう。まあ、バイオハザードが発生したとならば、普通に工事もできないだろうし」

 あとは旧・事務所がどうなっているか気になったが、あいにくとリサのうなじに気を取られている間に通過してしまった。

[同日18時03分 天候:晴 東京都中央区築地 築地駅前バス停]

〔「ご乗車ありがとうございました。築地駅前、築地駅前、終点です。お忘れ物、落とし物なさいませんよう、ご注意ください」〕

 バスは日もとっくに暮れた築地に到着した。
 バス停に到着し、私達は中扉からバスを降りた。

 愛原「久しぶりに築地に来たな」
 高橋「そうっスね。どこで食うんスか?」
 愛原「レイチェルもいるから、あんまり変な所では食べたくない。有名所で食べよう」
 高橋「分かりました」

 というわけで向かったのは、築地喜代村すしざんまい。
 ここは本店だけでなく、別館とか本陣とか、とにかく、いくつもの店舗が集中している場所である。
 5人もいるので、なるべく大きな店舗を探してみた。
 夕食時ということもあり、店舗は賑わっているだろうからだ。

[同日18時30分 天候:晴 同場所 喜代村すしざんまい本陣]

 私達はいくつかある店舗のうち、『本陣』に入った。
 果たしてこれを英語で何というのかは不明だ。

 愛原「久しぶりに寿司食べるなぁ……。一貫ずつ頼んでもいいし、俺みたいにセットで頼んでもいいよ」
 リサ「おー!」
 高橋「先生、まずは一杯」
 愛原「いいね!」

 とはいうものの、ビールくらいしか飲める酒は無いがな。

 リサ「んー……」

 皆が寿司をバクバク食べている間、リサは少し食欲が落ち加減だった。
 やはり肉でないとダメなのだろうか?

 リサ「先生、こっちの焼き魚とか揚げ物とか頼んでいい?」
 愛原「いいよ」

 リサが頼んだのは、銀だらの西京焼きとか、ししゃもの一夜干し、それから天ぷら盛り合わせとか竜田揚げだった。

 リサ「うん、美味しい」
 愛原「それは良かった」

 結局リサはあまり寿司や刺身は食べず、火の通った海鮮料理を食べるのに留まった。
 そういえば家の夕食でも、たまにスーパーで買って来たパックの寿司や刺身が出ることがあるが、リサは手を付けようとしなかった。
 最初は魚が嫌いなのかと思ったが、そうではなく、ちゃんと焼いた魚や煮た魚であれば、むしろ骨ごと食べる勢いであった。
 実際、ここの料理もそう。
 火を通したものであれば、リサはペロリと平らげた。
 肉ならむしろ生食を所望するほどなのに、意外である。

 愛原「リサは魚が嫌いなのか?」
 リサ「そんなことないよ。でも、生は何かなぁ……って感じ」
 愛原「肉は生の方がいいって感じなのにか?」
 リサ「うん、そう」
 レイチェル「スペインの奥地で発生したバイオハザード事件、レオン・S・ケネディに協力したガナード、武器商人。彼はガナードでありながら人食いには全く興味を示さず、むしろブラックバスやクサリヘビなどをレオンから買い取ったほどだそうです。そして、後の調査で、それを焼いて食べたとの記録が残されています」
 愛原「そういえば日本の鬼も、魚を焼いて食べるシーンがあるな。そういうことか」
 リサ「そういうことなんだ」
 愛原「分かったよ。今度は焼き魚とか煮魚の美味い店に連れて行ってやるから」
 リサ「いや、肉がいいんだけど」
 愛原「おっと!そうだったな……」
 高橋「こいつは何ゼータク言ってんだ」

[同日20時00分 天候:晴 同地区内 東京メトロ築地駅→築地駅前バス停]

 夕食会が終わった後は、レイチェルを送りに築地駅まで行った。

 レイチェル「今日はありがとうございました。このことはBSAAにも報告させて頂きますので、何らかのリアクションがあるかもしれませんね」
 高橋「リサが危険な化け物だって報告すんのか?」
 レイチェル「いいえ。『日本のリサ・トレヴァーは、愛原センセイの監視下に置かれている間は安全です。その証拠に、武器商人のように魚は焼いて食べるのが好きです』と報告しておきます」
 愛原「アメリカンジョークか、それ?」
 レイチェル「アメリカンジョークも交えておけば、本部も笑ってくれるでしょう」
 愛原「なるほど」
 レイチェル「それじゃ、失礼します」
 愛原「ああ、気をつけて」

 レイチェルは改札口を通ると、手を振りながら階段を下りて行った。

 愛原「俺達も帰ろうか」
 リサ「うん」
 愛原「またさっきのバスに乗れば、菊川まで乗り換え無しだ」

 私達はバス停のある地上へと向かった。

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