[3月19日10:57.天候:晴 東京都墨田区菊川 菊川駅前バス停→都営バス東20系統車内]
昨日とは打って変わって好天の東京。
私と高橋、そしてリサは予定通り、出発した。
まずは鉄道乗車駅である東京駅に向かう。
遠回りで所要時間は掛かるものの、乗り換え無しで東京駅に行けていたので、私は重宝していたのだが……。
愛原:「うー……。今年度末を以って廃止かぁ……」
バス停には東20系統廃止のお知らせが張られていた。
普段は1時間に1~2本という、都営バスでも屈指のローカル線ではあるし、確かにラッシュ時を除けば車内も空いている状態ではあった。
しかし、これが民営のバスならまだしも、公営のバスで廃止が決定されるとは……。
どこか、民間のバス会社がコミュニティバスとして継承してくれないだろうか。
〔ピンポン♪ まもなく、バスが参ります〕
バス接近の自動放送が流れる。
そして、いつものノンステップバスがやってきた。
愛原:「お願いします」
前扉からバスに乗り込み、後ろの席に向かう。
確かに車内は空いてはいたが、それでも10人くらいは乗っているし、このバス停で更に乗客は増やしたので、けして寂しいわけではないと思うのだが……。
現に1番後ろの席には座れなかったので、高橋とリサで2人席に座ってもらい、私はその前の席に座ったくらいだ。
〔発車致します。お掴まりください〕
バスは乗客を増やして発車した。
〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは東京都現代美術館、日本橋経由、東京駅丸の内北口行きでございます。次は森下五丁目、森下五丁目でございます〕
愛原:「リサ、絵恋さんは電車に乗ったのかな?」
リサ:「うん。熱海行きに乗ったって」
愛原:「そうか」
高橋:「そのまま現地集合にしちゃえばいいんじゃないスか?」
愛原:「オマエなぁ……」
取りあえず、一旦改札口の外には出て来てもらって、そこでキップを渡すことになるだろう。
リサ:「丸の内北口に来てもらえばいい?」
愛原:「ああ。そうしてもらってくれ」
リサ:「分かった」
リサは絵恋さんにLINEを送った。
私も善場主任に出発報告のメールを送ったが、今のところまだ返信は無い。
さすがに今日は休んでいるのか、或いは斉藤社長がヴェルトロらしき戦闘組織に連れ去られたので、その情報収集で忙しいかのいずれかだろう。
[同日11:30.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅]
〔「ご乗車ありがとうございました。終点、東京駅丸の内北口です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください」〕
バスは渋滞にハマることもなく、だいたい定刻通りに到着した。
都営バスは他の民営のバス会社に比べると、定時運転率は高い。
中扉からバスを降りて、待ち合わせ場所の丸の内北口に向かう。
丸の内側の赤レンガ駅舎は観光スポットになっており、ざっと見ただけでも、何組かの旅行客がスマホを向けて撮影をしている。
これはこの丸の内側だけに限らず、ここよりは地味な日本橋口でも見られる。
中に入ると、改札口の横に絵恋さんが立っていた。
リサ:「サイトー、おはよう」
絵恋:「リサさん、おはよう。今日はよろしくね」
リサ:「よろしくー」
愛原:「それじゃ早速、キップを配ろう」
リサ:「先生、サイトーと隣にして」
愛原:「分かってるよ」
まあ、席順はほぼ自動的に決まる。
自動改札機を通ると、駅構内は賑わっていた。
蔓延防止の正式解除は週明け最初の平日なのだが、既に私達を含めてフライングしている感じだ。
だが、それにも理由がある。
その理由は、後ほど判明するので説明は省く。
リサ:「先生、12時発ってことは、駅弁買っていいよね?」
愛原:「もちろんだ。早速、買いに行こう」
というわけで、改札内コンコースにある駅弁売り場へ……。
愛原:「俺は東京弁当にするか」
高橋:「先生、幕の内系お好きですね」
愛原:「そうか?たまに、別の物を買う時はあるが……。こういうのでいいんだよ、こういうので」
高橋:「はあ……」
愛原:「別にオマエは好きなの頼んでいいよ?」
高橋:「いえ、俺も同じので」
リサ:「わたしは『牛すきと牛焼肉弁当』。サイトーは?」
絵恋:「わ、わたしもリサさんと同じので」
リサ:「ん、分かった」
駅弁を購入した後はホームへ。
東海道本線が到着する9番線に、まだ列車は入線していなかった。
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の9番線の列車は、12時ちょうど発、特急“踊り子”13号、伊豆急下田・修善寺行きです。1号車から9号車が伊豆急下田行き、10号車から14号車が修善寺行きです。……〕
高橋:「先生、何号車ですか?」
愛原:「14号車だ。最後尾だな」
これもBSAAとの……。
14号車のところまで歩いて行く途中、10番線に上野東京ラインからの普通列車、小田原行きが到着した。
この列車は後ほど、私達が乗る特急に追い抜かれることになる。
私が“踊り子”には車内販売が無いことを伝えると、リサは途中の自動販売機でお菓子を購入していた。
[同日11:50.天候:晴 JR東京駅・東海道本線ホーム→4033M列車14号車内]
〔まもなく9番線に、当駅始発、特急“踊り子”13号、伊豆急下田・修善寺行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。……〕
ホームに接近放送が鳴り響く。
品川方向から、回送で列車がやってきた。
かつては中央本線の特急“かいじ”や“あずさ”で運転されていた車両を改造したものである。
〔「1号車から9号車が伊豆急下田行き、10号車から14号車が修善寺行きです。全車両指定席で、自由席はございません。お手持ちの特急券の号車番号をお確かめの上、お乗り間違えの無いよう、ご注意ください」〕
列車が所定の停車位置に到着すると、ホームで待機していた車掌が乗務員室に乗り込んだ。
そして……。
〔「……準備できましたら、ドア扱い願います」〕
乗降ドアが開いて、私達は列車に乗り込んだ。
〔♪♪♪♪。ご案内致します。この電車は特急“踊り子”13号、伊豆急下田・修善寺行きです。前9両、1号車から9号車が伊豆急下田行き。後ろ5両、10号車から14号車が修善寺行きです。……〕
新幹線の自動放送と同じ男性声優の放送が流れる。
愛原:「ここだな」
私達の席は、進行方向左側であった。
前の席に私と高橋、その後ろにリサと絵恋さんが座る。
本当は向かい合わせにしてワイワイやりたいところだが、コロナ禍でそれは自粛が呼び掛けられている。
それはまん防が解除されても同じようだ。
もっとも、その方がテーブルが使えるので良いことは良いのだが。
私は荷物を荷棚に起き、テーブルを出すと、その上に駅弁やお茶を置いた。
リサ:「おおっ、この電車もWi-Fi入るー」
絵恋:「それは良かったわね」
私もWi-Fiを使わせてもらうことにし、それでニュースサイトを見てみる。
相変わらず斉藤元社長がどこに連れ去られたのかは不明だが、少なくとも速報として、『日本人収容のウラジオストク市内総合病院襲撃事件、実行犯は“青いアンブレラ”か?』とあった。
“青いアンブレラ”が犯人とは……。
ヴェルトロなら何となく動機は想像できるが、“青いアンブレラ”が斉藤元社長を連れ去る理由とは?
想像がつかなかった。
昨日とは打って変わって好天の東京。
私と高橋、そしてリサは予定通り、出発した。
まずは鉄道乗車駅である東京駅に向かう。
遠回りで所要時間は掛かるものの、乗り換え無しで東京駅に行けていたので、私は重宝していたのだが……。
愛原:「うー……。今年度末を以って廃止かぁ……」
バス停には東20系統廃止のお知らせが張られていた。
普段は1時間に1~2本という、都営バスでも屈指のローカル線ではあるし、確かにラッシュ時を除けば車内も空いている状態ではあった。
しかし、これが民営のバスならまだしも、公営のバスで廃止が決定されるとは……。
どこか、民間のバス会社がコミュニティバスとして継承してくれないだろうか。
〔ピンポン♪ まもなく、バスが参ります〕
バス接近の自動放送が流れる。
そして、いつものノンステップバスがやってきた。
愛原:「お願いします」
前扉からバスに乗り込み、後ろの席に向かう。
確かに車内は空いてはいたが、それでも10人くらいは乗っているし、このバス停で更に乗客は増やしたので、けして寂しいわけではないと思うのだが……。
現に1番後ろの席には座れなかったので、高橋とリサで2人席に座ってもらい、私はその前の席に座ったくらいだ。
〔発車致します。お掴まりください〕
バスは乗客を増やして発車した。
〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは東京都現代美術館、日本橋経由、東京駅丸の内北口行きでございます。次は森下五丁目、森下五丁目でございます〕
愛原:「リサ、絵恋さんは電車に乗ったのかな?」
リサ:「うん。熱海行きに乗ったって」
愛原:「そうか」
高橋:「そのまま現地集合にしちゃえばいいんじゃないスか?」
愛原:「オマエなぁ……」
取りあえず、一旦改札口の外には出て来てもらって、そこでキップを渡すことになるだろう。
リサ:「丸の内北口に来てもらえばいい?」
愛原:「ああ。そうしてもらってくれ」
リサ:「分かった」
リサは絵恋さんにLINEを送った。
私も善場主任に出発報告のメールを送ったが、今のところまだ返信は無い。
さすがに今日は休んでいるのか、或いは斉藤社長がヴェルトロらしき戦闘組織に連れ去られたので、その情報収集で忙しいかのいずれかだろう。
[同日11:30.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅]
〔「ご乗車ありがとうございました。終点、東京駅丸の内北口です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください」〕
バスは渋滞にハマることもなく、だいたい定刻通りに到着した。
都営バスは他の民営のバス会社に比べると、定時運転率は高い。
中扉からバスを降りて、待ち合わせ場所の丸の内北口に向かう。
丸の内側の赤レンガ駅舎は観光スポットになっており、ざっと見ただけでも、何組かの旅行客がスマホを向けて撮影をしている。
これはこの丸の内側だけに限らず、ここよりは地味な日本橋口でも見られる。
中に入ると、改札口の横に絵恋さんが立っていた。
リサ:「サイトー、おはよう」
絵恋:「リサさん、おはよう。今日はよろしくね」
リサ:「よろしくー」
愛原:「それじゃ早速、キップを配ろう」
リサ:「先生、サイトーと隣にして」
愛原:「分かってるよ」
まあ、席順はほぼ自動的に決まる。
自動改札機を通ると、駅構内は賑わっていた。
蔓延防止の正式解除は週明け最初の平日なのだが、既に私達を含めてフライングしている感じだ。
だが、それにも理由がある。
その理由は、後ほど判明するので説明は省く。
リサ:「先生、12時発ってことは、駅弁買っていいよね?」
愛原:「もちろんだ。早速、買いに行こう」
というわけで、改札内コンコースにある駅弁売り場へ……。
愛原:「俺は東京弁当にするか」
高橋:「先生、幕の内系お好きですね」
愛原:「そうか?たまに、別の物を買う時はあるが……。こういうのでいいんだよ、こういうので」
高橋:「はあ……」
愛原:「別にオマエは好きなの頼んでいいよ?」
高橋:「いえ、俺も同じので」
リサ:「わたしは『牛すきと牛焼肉弁当』。サイトーは?」
絵恋:「わ、わたしもリサさんと同じので」
リサ:「ん、分かった」
駅弁を購入した後はホームへ。
東海道本線が到着する9番線に、まだ列車は入線していなかった。
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の9番線の列車は、12時ちょうど発、特急“踊り子”13号、伊豆急下田・修善寺行きです。1号車から9号車が伊豆急下田行き、10号車から14号車が修善寺行きです。……〕
高橋:「先生、何号車ですか?」
愛原:「14号車だ。最後尾だな」
これもBSAAとの……。
14号車のところまで歩いて行く途中、10番線に上野東京ラインからの普通列車、小田原行きが到着した。
この列車は後ほど、私達が乗る特急に追い抜かれることになる。
私が“踊り子”には車内販売が無いことを伝えると、リサは途中の自動販売機でお菓子を購入していた。
[同日11:50.天候:晴 JR東京駅・東海道本線ホーム→4033M列車14号車内]
〔まもなく9番線に、当駅始発、特急“踊り子”13号、伊豆急下田・修善寺行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。……〕
ホームに接近放送が鳴り響く。
品川方向から、回送で列車がやってきた。
かつては中央本線の特急“かいじ”や“あずさ”で運転されていた車両を改造したものである。
〔「1号車から9号車が伊豆急下田行き、10号車から14号車が修善寺行きです。全車両指定席で、自由席はございません。お手持ちの特急券の号車番号をお確かめの上、お乗り間違えの無いよう、ご注意ください」〕
列車が所定の停車位置に到着すると、ホームで待機していた車掌が乗務員室に乗り込んだ。
そして……。
〔「……準備できましたら、ドア扱い願います」〕
乗降ドアが開いて、私達は列車に乗り込んだ。
〔♪♪♪♪。ご案内致します。この電車は特急“踊り子”13号、伊豆急下田・修善寺行きです。前9両、1号車から9号車が伊豆急下田行き。後ろ5両、10号車から14号車が修善寺行きです。……〕
新幹線の自動放送と同じ男性声優の放送が流れる。
愛原:「ここだな」
私達の席は、進行方向左側であった。
前の席に私と高橋、その後ろにリサと絵恋さんが座る。
本当は向かい合わせにしてワイワイやりたいところだが、コロナ禍でそれは自粛が呼び掛けられている。
それはまん防が解除されても同じようだ。
もっとも、その方がテーブルが使えるので良いことは良いのだが。
私は荷物を荷棚に起き、テーブルを出すと、その上に駅弁やお茶を置いた。
リサ:「おおっ、この電車もWi-Fi入るー」
絵恋:「それは良かったわね」
私もWi-Fiを使わせてもらうことにし、それでニュースサイトを見てみる。
相変わらず斉藤元社長がどこに連れ去られたのかは不明だが、少なくとも速報として、『日本人収容のウラジオストク市内総合病院襲撃事件、実行犯は“青いアンブレラ”か?』とあった。
“青いアンブレラ”が犯人とは……。
ヴェルトロなら何となく動機は想像できるが、“青いアンブレラ”が斉藤元社長を連れ去る理由とは?
想像がつかなかった。
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