【「アカザ」 の花】
朝早い東南の空は、こんな柔らかい
空で、明けました。優しい菫色の空。
今は雲一つありません。
ただ、昨日辺りから
ちょっとだけ夏に後戻りしたような・・。
でも、こうして後戻りしながらも、
季節は確実に・・少しずつですが、
秋に歩を進めているようです。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花
萩が花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝顔の花」
(注:朝顔は、桔梗のこと) ~「万葉集」 山上億良
春に向かう時のワクワク感は、誰にも経験あると思いますが、
秋に向かう時の気持ちも、違った意味での心の時めきが、ありますね。
季節の黄昏でもありますので、ある種の寂寥感も伴なって、春よりも心により深く、
沁みるのかも知れません。上手く言い表せませんが、そんな気がします。
【アップルミント・ステビア】
相変わらず、朝の花火こと、
朝顔は、はにかんだ笑顔を見せ、
庭のハーブの小さな花達も再び盛んです。
そして、その上を様々な蝶が飛び交い、
ちょっとした賑わいを見せています。
「・・・庭を美しくするって、
嬉しいものだね。
スーザンが言ってたけど、全ての
ものを美しくするのは神様だけど、
僕らに少しばかり、そのお手伝いが
出来るんだって。そうなの母さん?」
上の言葉は、アンの息子、ジェム のものです。
素敵な会話。素敵な家族。
当然、アンの答えも奮(ふる)っています。
「いつでも出来ますとも・・・いつでもですよ、ジェム。
神様は、その特典を、あたし達と分け合って下さるのです。」
こんな気持ちで花を育てるのですから、花は喜んで美しく咲くのでしょうね。
ターシャさんや、先日のベニシアさんにも共通するような気がします。
ジェム の素敵な質問をもう少し・・。
「母さん、どうして月の光をかき集められないの?」
「母さん、僕たち実際、あんまりロマンティック過ぎる一家かしら?」
以上 【「炉辺荘のアン」 第29章】