日々の暮らしに輝きを!

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俳人杉田久女(考)、旅行記&つれづれ記、お出かけ記など。

渡辺淳一さん

2014年05月30日 | 読書

5月初めに作家の渡辺淳一さんがお亡くなりになりました。渡辺さんの小説、エッセーを最近は読みませんが、ずっと昔にはよく読みました。今も本棚には、文庫本ですが昔読んだ彼の本の何冊かが残っています。
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実体験をベースに小説を書くことが多いと、エッセーで述べられている渡辺さんですが、「失楽園」「ひとひらの雪」など男女の関係を突き詰めた小説で知られ、恋愛小説の第一人者でしたね。

その様なベストセラーになった人気小説も何冊かは読みましたが、私が好きな小説は、初期の頃(S.55)の『流氷への旅』です。この小説は、何かに渡辺さんが書いておられるのを読んだことがありますが、きれいな恋愛小説を、急に書いてみたくなったので創作されたそうで、興が乗ると小説家は色んなことを試されるんだなぁ、などと思ったものです。
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この小説で好ましいと思うのは、若い男女二人の間柄が雄大な北海道の自然の移り変わりとともに進んで行くところです。男性の主人公、若き流氷研究学者、紙谷誠吾の心のわだかまりが、目の前に現れた女性主人公や美しい自然に感応し少しづつ消えていく、その辺りの描き方が巧みだなぁと。そして、この紙谷誠吾はその後の渡辺さんの小説には見られない男性像のようにも。


『流氷への旅』は30年以上前に書かれているので、今、読むと女性主人公、竹内美砂の環境設定などが、今の時代とは少しずれていますが、結末が渡辺さんの小説では珍しいハッピーエンドなのも、何だかホッと出来、私がこの小説が好きな理由の一つなのかもしれません。

渡辺淳一さんが亡くなられて以来、新聞紙上にいくつかの追悼文が寄せられていますが、阿刀田高さんの追悼文にある〔いささか不謹慎なのかもしれないが、「渡辺さん、花の生涯でしたよね」〕が、私は渡辺さんに一番似合う様な気が致します。どうぞ安らかにお眠り下さい。

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明けましておめでとうございます♪~

2014年01月03日 | 読書
 
明けましておめでとうございます。福岡市の三が日は、良いお天気で暖かく穏やかな2014年の幕開けとなりました。

皆様、お正月はどのようにお過ごしでしたか。私は大晦日から2日に掛けて大忙しでしたが、今日は静かな日常にもどりました。

とうとう昨年末に読み終わらなかった曽野綾子さん著の『人間にとって成熟とは何か』を、
この機会に読んでしまおうと手に取りました。
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曽野綾子さんは若い頃から好きな作家で、彼女の小説やエッセーをよく読みました。この本によると、曽野さんは1995年~2005年にかけて日本財団会長を務められたそうで、内外に多額の資金を配分する仕事で培った経験が、このエッセーを豊なものにしている様に感じました。

ただ、第六話の"「権利を使うのは当然」とは考えない"の項目で、ある国会議員の実名を挙げ、その子供さんの高額な医療費を、「権利としてではなく社会からの恩恵として感謝しなさい」と強い調子で非難されています。確かにそうですが、高額な医療費の発生は誰にでも起きる可能性のあることで、本の中で実名を挙げて感謝せよと迫る事ではないのでは、という気がするのですが...。

この本は、一話毎に多方面に話が飛ぶ「エッセー集」の様な本で、何かを感じたというような事は無く、あっさりとした印象を受けました。なので『人間にとって成熟とは何か』という重々しいタイトルよりも『〇〇エッセー集』の様な軽快なタイトルの方が良かったのではという気がします(出版社の戦略上そうなった?)。

昨年末から読めなくて気にかかっていたこの本を読み終わって、今は何となくスッキリした気分です 今年もどうぞよろしくお願い致します。

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読んでしまうはずが...

2013年12月30日 | 読書

11月の林真理子講演会で、林さんが、今年の新書版売り上げNO.1を争っているのが、林真理子著『野心のすすめ』と曽野綾子著『人間にとって成熟とは何か』だと話されたので、講演会の帰りに買って帰ったこの2冊の本。

曽野さんの『人間にとって成熟とは何か』の方は、まだ最後まで読み終わらないまま、とうとう今日になってしまいました。この本は新書版なのでサッと読めると、気軽に読み始めたのですが...。
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先日の毎日新聞の読書蘭では、『人間にとって成熟とは何か』は、今、売れている本、ベスト10の5番目にランクされていました。新書版でベスト10に入っていたのはこの本だけだったので、現在はこの本が新書版売り上げNO.1ということになりますね~。この2冊の本の新書版NO.1争いは最終的にはどうなるのでしょうか(現在のまま行きそうな気配大?)。

                                

今年も残すところあと1日となりました。一年間拙いブログをご訪問下さって、ありがとうございました。福岡市はここ数日とても寒い日が続いています。御地はいかがでしょうか?どうぞ風邪など引かれませんようにお元気に新年をお迎え下さい。新しい年にお会い致しましょう、それまでごきげんよう

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林真理子 著 『野心のすすめ』

2013年12月03日 | 読書

先日の林真理子講演会で、林さんが自分が書いた『野心のすすめ』と曽野綾子さん著『人間にとって成熟とは何か』が、今年の新書版売り上げNO.1を競っていると話されたので、どんな本だろうと、講演会の帰りにこの二冊を買って帰りました(私ってミーハー?)。 
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まずは講演を聴いた林真理子さんの 『野心のすすめ』から。

講談社現代新書の出版で表紙はこんな感じです。
 

巻いてある帯に林さんのお若い頃の写真が大きく載っています。キッと正前を見据えた写真で、自分の才能を認めようとしない世間に反逆の炎を燃やしている感じの目が印象的な写真です。なかなかいい写真ですネ~。羽織っているのは革のジャケットらしく、この本の中で描かれている林さんそのもののような...(^‐^)

写真の横に“ギラギラと話題のベストセラー”の文字がショッキングピンクで書かれているのも、何だか挑戦的な雰囲気ですね~(^‐^)。出版社が目立つように、売れるようにと色々配慮したのでしょう。

この本によると、林さんは就職試験を四十数社受け全敗だったそうで、その不採用通知の束にリボンをかけ、それをテコに若い時代を頑張って来られたのだそう。

その後コピーライターになり、彼女によると、
お金、コネ、資格、美貌がないないずくめの中、野心をたぎらせ、自身を鼓舞し、階段を駆け上がり現在の地位を築かれたのだそうで、その半生がストレートな表現でわかりやすく書かれています。そして『野心のすすめ』という本のタイトルどおり、いかに野心を持って生きていくことが大切かを説いておられます。

が、私達シニアにとっては、林さんの言うことはよく理解でき、そのとおりだけれど、この本はちょっとキツイなぁ~って気がしますね~(笑)。おそらく、彼女は若い人向きにこの本を書いたのでしょう。

先日の講演会での林真理子さんは余裕のある物腰にお見受けしましたが、もう少し歳をとられたら
、シニア向きに「平常心を保つ心の持ち方」的な本を、彼女らしく平易にストレートに綴って頂きたいですね~。そうすれば又、彼女の違った一面が垣間見え、面白い本が出来るのでは。

『野心のすすめ』の本文から一つ:
“(野心という山を登ろうとすると)平地で遊んでいる人間には一生見えない美しい景色、野心を持って努力をした人間だけが知る幸福がそこにはあります。野心という山を登ろうとする心の持ちようで、人生は大きく変わってくる。人の一生は短いのです。さあ、山に登ろう!” 

人生の黄昏時を迎えつつある私達シニアには、何だかキツ~く、切ないセンテンスですけどネ(笑)。

 
     

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五十嵐正男 著 『黄昏のくる前に』

2013年10月15日 | 読書

本棚の整理をしていたら『黄昏のくる前に』という文庫本がひょっこり出てきました。これは老いについての考えが、今よりずっと甘かった40代の後半頃に読んだ本です。それから17、8年経った今、又読んでみようとホコリを払って取り出しました。
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表紙カバー裏の著者紹介によると、著者の五十嵐正男さんは聖路加病院の内科部長をされた方で、その後内科、循環器科クリニックを開設され開業医をしておられる方のようです。

最初の単行本は1990年に朝日新聞社から刊行されていますが、私の手元にある朝日文庫版は1994年版です(今も版を重ねているのかは判りません)。なので中のデーターが少し古いですが、医学書ではないので、それをあまり気にしなくても読んでいける気がします。

内容は ①老いについて ②老いの心 ③老いの体 ④老いの日々の過ごし方 の4項目に分けてあり、それぞれの項目にさらに幾つかの見出しが付いています。

②老いの心の項目に出てくる言葉、【心の健康は意味のある高齢期の生活を送る上で、他のどの年代よりも大切】
【感情も老化し、感受性が鈍くなってゆく。老人特有の寂しい感情は、老いとともに失うものがあまりにも多いことによる】【偏狭、意固地などの老人特有といわれる性格は、老いに伴う喪失と住む社会が狭くなっている事により、自分の性格の軌道修正が出来なくなった結果である。広く社会と交渉を持つことが必要】などは、今まで何となく感じていた事がはっきり文章で示されているので、ドキッとします。

④老いの日々の過ごし方の項目の中には、6、70歳代の私達がこれから心していかなければいけない大切な事として、【精神的、肉体的、経済的な自立】、その自立の最低条件として「健康であること」「貯蓄をもつこと」「生きがいを持つこと」「孤独に陥らないこと」があげてあり、どれも若い時からの心がけなしには無理なことばかりで、まさに“ローマは一日にして成らず”ですね~。

それ以降の80歳代になると、体の老化や病気の為、生きてゆくことさえ難しい年代になる。そうなっても周囲の人がしてあげるべきなのは、すべてをやってあげることではなく、時間がかかっても自立した生活が出来るように手伝ってあげることなのです、と著者は述べておられます。自立という事が老人にとっていかに大切かということがよくわかりますね。


最初にこの本を読んで以来、17、8年経った今、読み直してみると、以前は何となく理解していた事が、どれも心から納得できる様になり、身につまされます。これは私自身が忍び寄る老いを自覚し、それに驚き戸惑っている最中ということなのでしょうね、きっと。

この本はお医者さんが書いた老年医学エッセーという感じの本で、私達がこれから老いに向かって生きていくうえで、基本的なことが述べられている役に立つ本だと思います。なので、これからも読むことが多々あると思い本棚に残しました。

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