フランス人には、人間の一生なんて働かずにノホホンと暮らせればそれが一番だと考えるところがあるという。
フランス人は男女の愛についても道徳的に寛大なところがあって、日本とは事情がずいぶん違うようだ。
私が好きな内田 樹(たつる)氏もフランス思想が専門である。
― こんな生き方、こんな考え方もあるのか ―
そのような発見や気づきを与えてくれるものは、これまで見落としていたもののなかにあるのではないか。
フィガロブックス サガン 疾走する生 (FIGARO BOOKS) | |
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フランソワーズ・サガン、1950年代に18歳で「悲しみよ こんにちは」でデビューしたフランス人作家。
人間の暗部(真実には当然、毒や悪も含まれる)を表現可能な、公然として社会的に認められたフォーマットが小説やフィクションならば、
小説の類をほとんど読まない私は、実は人間世界の深さや広さに触れるチャンスを逃し続けているのかもしれない、、
芸術とは、驚きという形で具現化されるもの。
普段は気にもせず、ただ刻々と過ぎていく瞬間をきちんと捉えなおし、
ある種の感情を呼び起こす特別な時間に変えること。
芸術にとってリアルかどうかを問うても意味がない。
いわゆるリアリズム小説ほど非現実的なものはないし、あんなのは悪夢だ。
(肩越しの回想/サガン)
で、手にしたのがこの本である。
サガンなのに小説をチョイスしない、悲しい性(サガ)。。(-_-メ)
サガンのこんなインタビューが紹介されていた。
"どうして やっつけ仕事で小説を書くのですか"
「怠け者だからです。」
"でも作家というのは真面目な仕事でしょう"
「ええ、私は真面目に怠けているんです。」
"あなたにとって知性とは?"
「さぁ、ひとつの質問に対して、できるだけ多くの視点から考えられること。
視点を変えて考え、学ぶことのできる能力かしら。」
~サッカーでも文学でも音楽でも「フランス的」と称されるのは、知的な敏捷性や遊び心のある娯楽性である。
そして、サガンはまさにフランス的なフランス人作家なのだ。
サガンは「親切」ではなかった。聡明すぎたのだ。だが、彼女には思いやりがあった。
二人とも(晩年のサルトルと、ずいぶんと年齢は離れていたが親交のあったサガンのこと)、絶対音感ならぬ絶対知性を持っていたのだ。
変えられないものに無用に腹を立てたりしない。
他人の粗探しをする眼力ではなく、一歩引いたところから眺め、理解しようとする知力。それが優しさになるのだ。
なんだか、サガンには共感するところがある。
日本は文明開化以降、もっぱらアメリカやイギリス、ドイツから多くのものを取り入れて
インフラが出来上がっているように思える。
日本社会は、社会的な通念、道徳的・思想的なインフラ基盤が偏っているのかもしれない。
Interview de Sagan par Desproges
美人ではないかもしれないが、個性的でスタイリッシュ。
シャイだけど自由奔放な彼女を時代は憧れの対象にした。
サルトルと親しかったサガンは「ブラームスはお好き?」って小説も書いた。
エルトンの「ブルースはお好き?」は、これをもじっていたのか。(なんで、人がこれをブルースっていうのか分かった)
サガンには、おじさんの気持ちがわかるのだ。
( ↓ ) これはメロディアスなブラームス弦楽六重奏曲第一番の2楽章。
Brahms String Sextet n.1°/2nd mvt
そういえば、我が家のリビングにあるのはモネの絵と、
無名の画家の描いたモンマルトルの丘の絵。
そこだけはフランス好みだ。
さすがにモネは複製だが、こちらはワン・アンド・オンリーの油彩画、なんで有名にならないのだ、DIMARIさん。
左手のカフェの看板の文字がMcCartneyに見える。。
Paul McCartney & Wings - Cafe on the left bank
セーヌの左岸(サガン)で、
Ordinary wineでContinental breakfastを食べ、
English speaking peopleはGerman Beerを呑んでいる、
このちゃんぽん感、ある意味日本的だ。
サガンだけでいくつかダジャレをちりばめることに成功した。
touching all the girls with your eyes, というのもおじさんっぽい。
夜になったらモンマルトルから南下して、アルルのカフェの絵に変わってると、もっとよい。
サガンというペンネームは
プルーストの「失われた時を求めて」の「サガンの姫」に由来するのですね。
映画化された作品も多く、観たかったけれど、そうしょっちゅう観ることもかなわず、その分文庫本を買いました。
ただし1970年代まで。
「失われた…」も1巻を読んだだけでストップ…
なんと情けない。
モネも大好きですが
無名画家さんの絵も
多分冬の景色を描いているだろうと思われるのに、柔らかくてこってりしていてクリーミィで温かさを感じます。
ドイツ・イギリス=きちんとしている
フランス=ちょっといいかげん(語弊があるかもしれませんが悪い意味ではないです)
という印象があります。
いつかプレイエルのピアノに触れてみたくて
「パリ左岸のピアノ工房」という本を読みましたが
フランスの職人さんの奥深さに認識を改めたのでした。
こうして少しでも多くの人の目に触れて、ってのもいいですね。
>柔らかくてこってりしていてクリーミィで
そんな感じです。
きっとDIMARIさんもお喜びでしょう。(^o^)/
この辺りはビターさんの前では語るのもおこがましく、失われた時を求めて、とかチンプンカンプンです。(・・?
そうある面、いい加減なところ、感じますよね。
でも自国語を大切にした、
誇り高くて、ある種鎖国的な文化や、
フランス料理なんかにも日本に似たところがあるようにも感じます。