”音程”の問題こそが、音楽理論上一番難しいのではないかと、読んでる本に書いてあった。
しかし、音程への理解が深まると、コードやボイシングといった、音楽を趣味にしていく上でベースになる知識への理解が一気に進むはずだ。
難しそうにあちこちに書かれてあることを横串にしたり、書き出したりして、分かりやすく整理してみるのも悪くない。
陥りやすい誤解や、単にこれだけのことじゃないか、という気づきなど、初学者の視点だからこそ見えてくることがあるようにも思う。
Paul McCartney: From the Archive ? George Martin
( ↓ ) 大体、ドラミファソラティドの白鍵をルート音にしたコードを順番に弾いているだけなのに、
マイナーコードが混ざるからややこしくなる。 ここにも音の間隔の問題(音程の問題)が潜んでいる。
白鍵だけのハ長調のスケールを弾いてみても、ミ・ファとシ・ドの間は半音になっている。
音の動きや解決感を生むこの半音使いが、音楽の構造を一見複雑にみせてしまうのだ。
ルート音から1・3・5の指で白鍵だけを押さて、順に平行移動すると、
中心音(第三音)が半音跨ぎになるDmやEm(第三音のファとソがミ・ファを跨ぐ)や、
Am(第三音のドがシ・ドを跨ぐ)といったマイナーコードが混ざる。
白鍵だけを押さえているからメジャーコードというわけではない。
分かりづらいのは、セブンスの音。
なぜ、7音だけが「7(セブンス)」と「△7(メジャーセブンス)」に分かれるのだ?
(2,3,5,6も半音下がった所に黒鍵があるのだから、そちらを2,3,5,6にして、白鍵は△2、△3、△5、△6とすべきではないのか?)。
おまけに第7音の話をしてるかと思えば、
第3音を半音下げてCmにしたセブンスのコードを、Cm7と呼ぶからややこしい。
(△7(メジャーセブンス)があるがために、Cmの7(セブンス)ではなく、Cのm7(マイナーセブンス)と読み違えてしまっても仕方がない)
そういった音程の問題を解きほぐすと、理解が進むのではなかろうか、と思って表を作って考えてみることにした。
(振動数の比率も書き添えてみると、十二音階や倍音との関係もよく分かる。)
ドレミファソラティドは、ルート音から順に、1度、2度、3度、4度、5度、6度、7度、8度となるが、
この度数というのは、名前に反して、ルート音からの距離を測るモノサシになっていなくて、
単に五線譜の間隔順に数字を並べただけのもの。
ミ・ファとシ・レの間は半音なので0.5度になりそうなものだが、半音でも1度なのだ。
同じ1度であっても、音程間の距離が伸び縮みするから、
同じ度数でも、(2,3,6,7度の場合)ルート音からの距離を表すために、短X度、長X度という使い分けが必要になる。
縦方向の度数(五線譜のドレミファソラティドの並び順)は、正確には音程の距離を表していないので、
横方向に音程の距離(長短、増減)を表現してみたら分かりやすいのではないかと思って作ってみたのがこの図なのです。
ユニゾン(1度)とオクターブ(8度)は別として、
なぜ4度と5度のことを完全音程と呼ぶのか、理解しづらかったが、
増音程・減音程、長音程・短音程、完全音程、と書き並べてみると、それぞれが音程の捉え方、なかでも半音の扱い方の話だと分かってきた。
半音増やすか減らすかだと、増減の話になるし、
基音からの音程の距離は、長短の話。
では完全音程とは何かというと、音程の距離が、(転回させても)変わらない音ということになる。
4度と5度が完全音程である理由は、音程を転回(inversion)させても、
長音程が短音程になったり、短音程が長音程になるような変化がないから。
~(ド⇒ファの半音(ミファ間)を1つ含んだ完全四度は、転回するとファ⇒ドになり、同様に半音を1つ含んだ完全五度の関係になる。
また、ド⇒ソの半音(ミファ間)を1つ含んだ完全五度は、転回するとソ⇒ドになり、同様に半音を1つ含んだ完全四度の関係になる。)
(基音(ド)と完全音程(ファ、ソ)との振動数の比率がそれぞれ、3:4、2:3という単純な整数比になるから、という説明があったが、
それを言えば、レだって5:6だし、ミだって4:5だ。
だがしかし、人間の耳にきれいにハモって聴こえるのは、やはり完全音程のほうなのだ。)
完全音程とかPerfectだ、と言うと、数秘術みたいでよく分からない感じになってしまうが、
なんだ、音程間の距離が変わらないだけの話か、ということになる。
音程半音分の距離が、ミファによってもたらされるのか、シドによってもたらされるのかが変わるだけ。
~ さて、ではコード・ボイシングや転回のさせ方にも関わってくる音程の数え方~
(コードのボイシングとハーモニーについて)
1)複音程・・・ オクターブ(8度)以上の度数から「7を引くと単音程の同じ音になる。」
これで、基音から指折り、ドレミファソラシドレミ(10度)数えなくても、ドレミと3度数えればよくなる。
2)単音程を「転回」させた時の度数の関係・・・「足して9になる度数分だけ上下させればよい。」
・7度上の音=2度下の音(7+2=9)
・6度上の音=3度下の音(6+3=9)
・5度上の音=4度下の音(5+4=9)
これで、単音程の音を自由に転回させられるようになる。
著者によれば、これはかけ算の九九と一緒で、理屈抜きで覚えてしまったほうがいいのだという。
でも同じ覚えるにせよ、これは仕組みを可視化しておいた方が理解しやすいと思う。
「オクターブ(8度)を跨いだ音階の度数を上に行ったり、下に行ったりするだけの話」だから、こんな図を作ってみた。
(セブンスの音が8度(オクターブ)のすぐ下の音、ナインスの音がすぐ上の音になるというのは、覚えておくと便利そう。
たとえば C(ド)のセブンスなら、ティ(シ)、ナインスならレ。分かりやすい。)
~ 屋号まで含めた転回のさせ方について。~
単音程の度数の転回のさせ方 (7度上の音=2度下の音(7+2=9)etc.)について書いたが、
度数の前に、長・短、完全(音程)、減・増、重減(ダブル♭)・重増(ダブル♯)とかいった屋号がついた場合にはどうなるか、です。
♯している音(半音上がっている音)は、転回させても♯したまま。
基準音から上に離れている距離は、♯していればその分長くなるし(Major interval、または増音+)、
基準音の下に転回させれば、下に離れている距離は短くなる(minor interval、または減音―)。
当たり前の話だ。
(音階の上下の話と、(基準音からみた)音程の距離の話を取り違えてはいけない。)
残りも同じ。
完全音程が転回させても完全音程のまま変化しない、というのは、さっき上で書いた通り。
これで、”E♭の音からM7上の音は何?”って聞かれたら、
”M7上ってことはm2下、つまりE♭の半音下だからDの音だ!”って分かるようになった。
(そんな会話するかな・・・)