日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

一弦琴「伊勢海」再演

2008-04-05 15:39:20 | 一弦琴
             詞 蒔田 雲処
             曲 真鍋 豊平

   伊勢の海の 清き渚(なぎさ)の 葦の根の 
   ねもごろ念(も)ひて 取り出でし
   玉持てる猟夫(さつ)が 手にはまかずて 絹もてつつみ
   十重二十重 箱のみ置きて たれをか待たむ

一弦琴の表には弦の勘所を示す目印として、直径が3ミリから5ミリの小さな象牙製の円盤が貼り付けられている。これを徽(つぼ)と呼んでおり、左から右へ一番から十二番まである。演奏に際しては、左手の中指にはめた芦管で徽に合わせて弦を軽く押さえて、右手人差し指にはめた芦管で弦を弾く。徽の番号が大きいほど高い音が出る。

時には徽と徽の間を押さえることもある。琴譜でたとえば下図に示したように「七八」と記されるが、徳弘時聾(太)著「清虚洞一絃琴譜」には『「七八」ハ第七徽ト第八徽トノ中間ノ音程ナリ』との説明がある。ところがどうしたことか私の師匠は「八」で弾くことが多い。時には「七」になったりする。中途半端がお嫌いな性分なのだろうか、と勝手に想像してそのように演奏してきたが、今回、せっかく「清虚洞一絃琴譜」を使って演奏するのだから「七八」を太流で弾いてみることにした。

下左の譜は琴のみの長い演奏が終わり、「十重二十重」と歌が始まる部分である。これは琴譜のオリジナル版であるが、実際の演奏は松崎一水師の改訂版に従っているので、どのように違うのか比較のために右下に示した。これは私がPhotoshopを使って修正したものである。

     


ところで「七八」がふんだんに出てくるこの演奏、「八」で唄うより深みがあるように感じるが、気のせいなのだろうか。