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日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

アメリカ生活(1)

2004-09-24 10:01:34 | 海外旅行・海外生活
昨夜BS2で映画「アミスタッド」を観た。アフリカで「人狩り」に遭い奴隷船でアメリカに売られにやってくる黒人達の苦難と自由を獲得するまでの戦いを描いたものである。スピルバーグにこのような作品があるとは知らず、私にとっては封切り映画ものであった。自由を獲得するまでの法廷闘争がテーマの一つにもなっていてなかなか見応えがあったが、その舞台にNew Havenが登場した。アメリカの東海岸、コネチカット州の大西洋に面したエール大学の街でもある。かって1年ほど住んだことのある土地だけにある種の懐かしさを感じた。

その前夜は、このNew Havenで30数年前に始めて出会い、その後細く長く交流の続いている友人夫妻とわれわれ夫婦が夕食を共にしたばかりなので、二日続けてNew Havenが出てきたことからつい昔のことを思い出した。

アメリカ映画の見過ぎだったのかどうか、New Havenで住むところは裏庭のある一軒家に決まっていて、幸い格好の家が見つかった。家賃は月150ドル。一階が居間に食堂とキッチン、二階に寝室が三部屋、屋根裏は物置になっており地下室には暖房用の灯油タンクにボイラーや貯湯器などがあった。隣家が大家さんで年配のご夫婦、何かあると直ぐに聞くことが出来てとても助かった。秋も深まる頃、灯油を小型のタンクローリーで配達して貰って貯蔵タンクを満たし、暖房機(スチーマー)の運転を心待ちにしていた。72度(華氏)で快適な冬を送ろうなんて電気会社の新聞広告を見たせいだと思うが72度に温度を設定した。

ニューイングランドの冬は早い。待望の運転を始めたのは多分10月のいつか、スチーマーが金属音を出すのも心地よかった。戦前、子供の頃、スチーマーで暖房をとるアパートに住んでいたので童心が呼び起こされたのだろう。そして快適な暖房生活が始まった。

ビックリ仰天したのは一ヶ月分使った灯油の請求書が届いた時だ。なんと家賃の倍近い金額が記されている。大家さんに駆け込んでかくかくしかじかと訴えた。そうしたら大家さんいわく「窓の目張りをしたか」と。そういえば窓の周辺から冷たい風がスースーと遠慮なく入ってくる、でもチャンと暖房しているからこんなのヘッチャラという気でいたのである。使わない部屋のスチーマーは閉じておく、スチームの流れを朝夕こまめにコントロールするなどと、今考えてみれば当然の心がけを懇々と諭された。戦後の耐乏生活をまだ引きずっている日本から経済繁栄を誇っているアメリカにやってきて、生活水準の三段跳びアップに有頂天になったあまりにも世間音痴の未熟な自分がいた。そして、大家さんの指示に従ったところ月の払いが家賃以下になりほっとしたことであった。

友人夫妻とそのような思い出話もした。私たちはその後、西海岸に移り予定の2年あまりを終えて帰国したが、その夫妻は日本に帰ることなく外国に定住した。ご本人は、だから出来たことと云われるのだが、専門の分野で、しかし影響が広範に及ぶエポックメイキングな業績をあげた。その成果は世界の大学教科書に取り上げられており、なかには顔写真入りのもある。今回も講演のための一時帰国であったと聞く。

われわれがNew Havenに滞在していた頃、来る大統領選で再選を目指すブッシュ大統領は学生として在学していたことになる。すれ違う可能性もあったのでは、と語り合ったことである。ベトナム戦争が進行中の時期でもあった。(23日に書き始めて24日にまたがりました。)






トイレあれこれ

2004-09-22 15:39:52 | 海外旅行・海外生活
よそに出かけるとトイレの在りかと使い勝手が気になる。特に海外に出かけると心地よく用を足せるか否かが旅の質を決定する。

昨年三月中国の大連を訪れた際に、さる景勝地で尿意が逼迫してボックス型の簡易トイレに駆け込んだ、が、その瞬間に尿意がどこかに吹っ飛んでしまった。狭いボックスの中、足の踏み場もなく何もかも堆し(うずたかし)の有様である。尿意が回復するまでかなりの時間がかかった。それでいて実は有料、直ぐ横の屋台のおばちゃんに小さな紙幣を渡したのを覚えている。

もっと驚いたことがある。今年の春、北京の故宮でのこと、ツアーガイドが誇らしげに案内してくれた公衆トイレになんと四つ星が麗々しく掲げられている。使い勝手は上々で違和感はない、そして無料。三つ星も使ったが五つ星には残念ながらお目にかからなかった。最近になって知ったことだが、4年先に北京オリンピックがあり、多くの観光客を誘致するには不可欠と厠所一新の大号令が下されたとのことであった。こういう文化大革命はとても分かりやすい。

この夏訪れたフランクフルト、ハイデルベルグ、ベルリン、ドレスデン、ライプチッヒの各都市で利用した公衆トイレはすべて有料、これが徹底しているのに感心した。コインを投入して回転ゲートを通り抜ける方式が一般的である。ベルリンだったか、男性用では大と小の入り口の分かれているところがあって、小の方が安い。お気の毒に女性用は高い料金のみだった。そうそう一カ所だけ無料だったのを思い出した、それはライプチッヒ大学。本能的直感に導かれるままに学生の出入りしている建物の中に入ると教室が並んでいる。となると独りでに足がトイレを見つけてくれた。

感激したのはプラハ。いたる所にトイレの表示があるものだから生理現象に気を遣うこと皆無、もちろん無料で清潔に保たれている。目抜き場所は観光客で溢れていたけれど、安心してじっくりと見物に浸ることが出来た。尿を大量に集めてなにか新しいホルモンでも取り出すプロジェクトが走っているかも知れない、なんて勘ぐってみたくなるぐらい収集機構がよく出来上がっていた。この情報が北京に伝わったのだろうか。