星のひとかけ

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絵画を読む…:『怖い絵展』上野の森美術館

2017-12-16 | アートにまつわるあれこれ
(12/14)
寒波… 各地で今年一番の冷え込みだそうですね、、

でも風さえ強くなければ、 マイナスでも平気な山っ子なので いまの東京は光も空も樹々も美しくて いちばん好きな季節。。


今朝8時の写真を…









(本文はまた書きますね、、)

   ***

上野の森美術館で開催の 『怖い絵展』へ行って来ました。

もうTVでも(ワイドショーなどでも)話題で、 入場まで3時間待ち、、などという状態が続いていて、、 一体なぜそれほどまでに関心を惹くのか 正直まったく意外な気がしていました。 

だって、、 今回取り上げられている オデュッセウスの神話やセイレーン、 ハーピーやキルケー、 男を破滅させるファム・ファタールの図像、、 ヨカナーンやオルフェウスの断頭の場面、、 これまでにも様々な展覧会でも取り上げられてきたテーマだったのですから。。

『怖い絵展』オフィシャルHP 作品紹介


確かに 日本初公開という 「レディ・ジェーン・グレイの処刑」の大作は貴重な展示に違いないのですけれど、 でもこの大作の展示というだけではここまでの大騒ぎにはならなかったのでしょう、、。 この展覧会のポイントは、、絵画の背景にある意味、恐怖として描かれた文化的、歴史的、社会的、図像的な《意味》をキャプションによって 「絵を読ませる」という企画の成功、だったのでしょうね。

 ***

、、《レディ・ジェーングレイ》は 夏目漱石の短編『倫敦塔』でも描かれている作品で、 前から見てみたいとは思っていたので、 『怖い絵展』を知った時にすぐ前売券を買ったのです、、 だけど、、 こんなに待ち時間や大混雑とあっては いつ見に行ったらいいのか… ずっと悩んでいて、、

東京ドームまでは体調をぜったい崩せない! と思っていたので(そんなに大事なの? 大事なんです、東京ドーム…) 、、 しかし会期は今週末まで、、 悩んだ末 お伴だちが仕事を2,3時間遅刻してくれる… ということになって、 平日朝イチの入場の為に並びました。 (それが冒頭の写真、 幸い真っ青な空と美しい紅葉見れたし…)

、、 ライヴの開場を待つと思えば何のその(←ドームの余韻しつこい・笑)、、 でも最初の入場が出来たので、 まだ展示室の大混雑もなく、 すべての絵を見ることができました。。

 ***

絵画の背景に興味をもって、 絵画と時代のかかわりや、 神話的・文学的な関連を読み取ったりすることは すごく楽しいことだし、、 私自身、 東京で暮らすようになって 大学の公開講座とか市民講座とか行けるようになって、 そこで文学と芸術の関連を 有名な大学の先生がたに教えてもらえて、、 新しい知識にすっごくわくわくした日々を思い出します。。 だから、 今回 「恐怖」という《意味》に焦点をあてて 詳しい解説をつけて構成したのは、 大成功だったのかもしれませんが…

、、 でも、、

正直、 ほとんどの方が《解説》を読んだり、 音声ガイドに聞き入っているので、 絵の前から人が動かない、、 それでますます会場内が大混雑に、、。 お身体のつらい人や杖や車椅子の方では 到底ご覧になれない状況の展示だったと思います。 そういう 《絵画を読む》ことが前提の展示なら、 もう少し何か工夫があっても良かったのでは…と 思ってしまいます。。







「レディ・ジェーン・グレイの処刑」は やはり見応えのある、 そして美しい絵でした。 、、本などではすでに幾度も目にしてきたので、 断頭の血を吸うための敷き藁(この藁の量がとても少ないのも、 残酷さを和らげているような…)、、 首が落ちなかった時のための処刑人が腰に挿した短剣、、 など知ってはいたけれど、、 気づいていなかったのが 白いドレスのジェーングレイのために敷かれた 《豪華なクッション》、、 あの美しく分厚いクッションを見て なにか救われる思いがしました。 、、 石で囲まれた寒々しい倫敦塔の中で 厚さが20センチはあろうかというクッション… 、、 見れば侍女のほうにも赤いクッションがありませんか?(ごめんなさい、フォトには映っていません) 

まるでジェーングレイの身体を暖めるように そっと前へ導く聖職者の図にも 慈悲をこめて描かれているようですし、、 この緑のクッションがとても心に残りました。。

 ***

他にも、 ヘンリー・フューズリの「夢魔」はもちろん、、 エデュアルド・ムンクの作品 「死と乙女」や「森へ」が見れたし、 ジョージ・フレデリック・ワッツの作品が幾つか見られたのも嬉しかった。。

、、 あまりの混雑や待ち時間に鑑賞を断念した方も多かったのでは…? でも、 フューズリも、ムンクも、 ピラネージも、ロップスも、、 わが国立西洋美術館にはちゃんと所蔵されているので 常設展でみることだって出来るんですもの、、

ムンクの「マドンナ」 「ヴァンパイアー」  「ハルピュイア」(いずれも国立西洋美術館より)

、、 「怖さ」、、という点で言ったら、、 あのウィリアム・ウォーターハウスが描く 可憐な瞳の乙女たち、、 「La Belle Dame Sans Merci>>」 や 「Hylas and the Nymphs>>」だって、 あんなに愛らしいのに それはそれは怖い絵ですよね、、


来年は、、 同じ上野の森美術館で、 「フェルメール展」だそうです。 今度は日時指定の入場制なのだそうです、、 早めにチケット用意しないと… また大変。。


、、 でも 朝の上野公園に行けたのは 最大の収穫だったかも、、 混雑のおかげかな…





、、 おはよう 、、  よい週末を。
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