星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

花咲く野辺を見ながら…

2005-04-04 | …まつわる日もいろいろ
伯母にお別れをするために故郷へ向かった。
列車に乗り合わせたご年配のグループが、それはまあにぎやかにお喋りをしていて、聞き耳を立てずともひと言残らず耳に届く。温泉へ向かう首都近郊の方々らしかった。
車窓に春の山野が見えてくる。いまは畑の準備に忙しいらしい。あちらこちらで土をおこす人の姿。野焼きの跡の黒いじゅうたん。小さな墓地を埋め尽くしている黄色い水仙。
これから向かう宿や、山の話や、その近くの温泉の話などをずっとなさっていたグループ一行は、、、雪をいただいたアルプスに声を上げて喜んでいらしたけれど、車窓に映る暮らしの風景については、ついにひと言も感想がなかったなあ。。。

 ***

   骨拾う人にしたしき菫かな

与謝蕪村の句。
これを初めて読んだ時、いいなあと思った。本当の野辺送りがもう無くなってしまった今では、こんな風景は有り得ないのだけれど。

・・・子供のとき、手術の後、その伯母は母と交代して付き添ってくれた。家にも病人がいたし、まだ子供の兄もいたし、、母が帰ったあとで私は愚かにも、「おばちゃんじゃヤだ」と駄々をこねた。「おばちゃんじゃダメ…?」と苦笑した伯母の顔はずっと忘れない。
その話はしなかったけれど、お世話になったお礼を従兄に告げると、「そんな大昔の事…」と笑っていた。

母から電話が来る前に、浴室の電球が切れた。いつもそうやって、何かしら知らせがある。電球が切れたり、水槽が割れたり、、。べつにそんな事の科学的根拠なんてどうでもいい。お祖母ちゃんが亡くなる時にも付き添っていたその伯母は、私のパパが迎えに来るのを見た、、と話していたから、たぶん今度もパパが迎えに来たんだと思う。天翔ける馬車で、ついでに私のところへも寄って知らせて行ったんだろう。

・・・日帰りでまた東京へ帰って来て、、大好きになったCDをまた聴いた。3月はすっかりR.E.M.で終ってしまったけど、、今の私にはとても優しかった。ありがとう、、ね。

   no war. no hate. no past.
   it's real
   I'm here. I'm yous. I'm fast.
   I'm long in the eye
   I'm cry when I try
   
   I just want to fly
   just you and I, together       (High Speed Train / R.E.M.)