「うつろ庵」の蘇芳梅が綻んだ。 紅梅の花の色は、一般的には仄かに紅が色付く程度だが、「うつろ庵」の梅は鮮やかな蘇芳色の花を咲かせてくれる。
紅色の和色お仲間は、ごく薄い桜色から始まり、真朱(まそお)・紅緋(べにひ)・臙脂(えんじ)・茜色(あかねいろ)等など数十種類に及び、蘇芳(すおう)はその中でも色濃い部類だ。
花木で小粒の花を咲かせる「蘇芳」の花の名前が、色の名前にもなっているが、虚庵居士の色の好みは「蘇芳」の花よりは「蘇芳梅」に軍配をあげたい。
蘇芳梅も虚庵居士も「うつろ庵」の住人同志ゆえ、応援したくなる気分だが、それを措いて、純粋に色調だけでも微妙な違いが有るのだ。
「蘇芳」の花は小粒で若干肉厚だが、「蘇芳梅」の花びらはごく薄く、陽の光が透かすので、色調がより鮮やかに見えるからであろうか。
凍てつける如月なれども「うつろ庵」の
古木の梅が綻び初めにし
一つ二つ数えるほどの綻びに
妹子と共に見上げる今朝かな
蘇芳梅に朝日は何をささやくや
花の応えは 色鮮やかに
蘇芳色の花びら囲むは懐に
大切そうな 金色のしべを