「子持ちカンラン」が大きな葉を拡げ、下には沢山の一口カンランが育っていた。
別名「芽キャベツ」・「姫甘藍」、或いは一口サイズであることから「一口カンラン」とも呼ばれる、ごくポピュラーなお野菜だが、畠で栽培される姿に接するのは何年振りのことだろう。
キャベツの一種で、葉のつけ根の脇芽が小さく結球するので、適宜大きな葉を切欠いて、結球の育ちを促すのがコツのようだ。大きな葉を下側から次々と欠くので、甘藍の茎はいやが上にも伸び立ち、丸く結んだ「芽キャベツ」がコロコロと並ぶ姿は、見ようによっては至極滑稽だ。
「芽キャベツ」は程々に成長したものから順次収穫して、何と3~4カ月もの長期に亘って生育・収穫が可能らしい。たっぷりとお楽しみが続くのは、堪らないことだろう。伸び上がった「子持ちカンラン」は、成すがままに放置すれば忽ち傾き倒れるので、菜園の主はご丁寧にも支柱を添えているが、日曜農夫ならではの慈しみが窺えて、微笑ましい。
たった一株の「子持ちカンラン」であったが、散歩で立ち寄った観客をも愉しませて下さった、優れ者の大役者であった。そんな観方をすれば、大きく広げた葉の姿は、将に腕を拡げ手のひらをパット開いて、「見得を切る」歌舞伎役者の姿に見えるではないか。
緑葉を大きく開き足元に
芽キャベツころころ おもろき様かな
緑葉を下から次々欠き昇り
あまたの芽キャベツ身籠る茎かな
姫甘藍・子持ちカンラン・芽キャベツと
一口カンラン 人気の証しか
腕拡げ もろ手を開き 頭(かしら)振る
姿は見得切る 歌舞伎役者ぞ
散歩にて立ちよる観客 大向こうの
掛け声宜しき 「子持ち甘藍!」
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