「うつろ庵」の庭先の石畳に、藪椿の花が落ちていた。
真冬の庭は色鮮やかな草花は皆無ゆえ、藪椿の落花ではあっても、殊に石畳に
落ちた藪椿の花は類い稀な華やぎで、朝寝坊の虚庵居士は目を瞠った。
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薮椿は、小枝を剪定して「鳥カゴ」風に仕立てたことについては、年末に掲載した
「椿二輪」に書いたが、椿は次々と開花するので、目白たちは頻繁に花蜜を求めて
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目白たちは、朝食代わりに花蜜を堪能したのであろう、石畳に落ちていた藪椿の花びらには、小鳥たちが花蜜を吸った際の疵が、痛々しく残されていた。しかし、藪椿の落花にはその疵を嘆く気配が全く感じられなかった。
むしろ、「小鳥たちの勲章」だと誇っているかに見えたのは、虚庵居士の独り善がりであろうか。
部屋に戻って、「鳥カゴ椿」に目をやれば、もはや目白の番がアクロバットのような姿勢で、花蜜を貪っていた。
お寝坊の朝の散歩は庭先の
石畳径 行ったり来たり
足元に「鳥カゴ椿」の落花かな
石に花咲く おもろき径かな
花びらの疵は目白が花蜜を
吸いたる名残りか 誇らしげに見ゆ
藪椿の落花は疵を誇るらし
これ見よがしに 「小鳥の勲章」を