「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「柚香菊・ユウガギク」

2015-11-18 00:04:21 | 和歌

 腰の激痛と坐骨神経痛からやっと回復した虚庵居士は、毎朝の腰痛体操と散歩が日課になった。そんな虚庵居士を慰めて呉れる野の花に、感謝だ。散歩道の林の端で、「柚香菊・ユウガギク」が楚々と咲いていた。



 華やかに咲き誇る山茶花などに比べれば、ごく質素な野花だ。草丈も高々50センチほどで、道行く人々は殆ど眼にも留めぬが、小さな花が寄り添って咲く姿が何とも
いじらしい。

 花の名前の「柚香菊」は、柚子の香りがほんのりと漂うことから付けられたと云うが、虚庵じじの衰えた臭覚では、その微妙な香りを聞くことあたわず、誠に残念だ。

 それにしても、野草の花に柚子の香りを聞き分けて、それを名前に残した感性には脱帽だ。その様な感性を研ぎ澄まして、香道や華道、或いは茶道などの世界にも類い稀な、高度な文化を創り上げて来た日本の古人には、深い敬意を奉げずには居れない。


           散歩道の林の端に楚々と咲く

           野花のなぐさめ 柚香菊かな


           夕暮れの木影はそこまでかたむくも

           しばし待たれよ野菊と語るに


           柚子の香のほのかに漂う野の菊に

           その名をとどめる床しき古人ぞ


           柚子の香の薫るを聞かむと膝おるも

           老いを知るかな聞くもあたわず


           稚けなき小花寄り添い咲くさまに

           わぎも共々 こころ寄せにし