「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「山茶花と小蟻」

2015-11-13 16:15:42 | 和歌

 10月の中頃に「山茶花の初花」を掲載したが、その後、固く閉じたままの莟が開花した山茶花を囲む、この写真をお送り頂いた。白い花びらと、頬を紅に染めた莟たちの対比が誠に鮮やかだ。


                        撮影とご提供 片岡勝子様

 莟たちも既に開花して、今頃は華やかな饗宴を繰り広げていることだろう。
開花した山茶花を丁寧に観察すると、小さな蟻が蜜を求めて花芯に入っていることをメールで指摘して居られたが、自然が創りだす互助システムには感服だ。蟻に限らず虫や鳥などは、自らの判断と力量で厳しい自然の試練に耐えるべく、逞しく生きているのだ。

 我々人間社会では、ともすると口先だけの発言や、判断を他人任せにしたり、身を護ることにすら他人の責任を云々する事例などが見られ、気懸りだ。率先して自らの責任で、身近なところから取り組むことの大切さを説いた諺、「先ず隗より始めよ」との箴言を噛み締めたいものだ。
更にまた誰に強制されるでもなく、無言で助けを提供する自然の優しさも、見倣いたいものだ。


           紅に頬を染めにし莟かな

           白山茶花との対比に見惚れぬ


           姉慕う幼児にあらずや山茶花の

           莟の頬を紅に染めるは


           白妙の山茶花の奥 花芯には

           小蟻を抱きて蜜を召せとは


           在るがままに無言で支える山茶花の

           まことの優しさ 逞しさかな