「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「門前の野牡丹」

2015-09-10 00:54:20 | 和歌

 会議で東京まで出かけて帰宅したら、門冠り松の下に「野牡丹」がお出迎えで、目を瞠った。綺麗な花もさることながら、直径が50センチ程もある大鉢を、虚庵夫人がたった一人で移動したことに愕かされた。


                       
 「お帰りなさい」との声と共に虚庵夫人が出迎え、「野牡丹のお花に、門前でご挨拶をさせたかったのよ」との説明であった。これまで大鉢の野牡丹は、狭い庭ではあるが巨石の脇に置かれていた。門までは石段を経て、10メートル程の径を移動させたことになる。「大変だったのよ!」とのアッピールと共に、大鉢を移動させたご苦労の痕を見せられた。

 小枝の剪定から水遣りなど、慈しんで咲かせた野牡丹を、一目でも多くの皆さんに観てほしいとの思いが、熱く伝わって来た。

 紫紺の花びらと、沢山の釣り針を思わせる蕊の対比が、何とも見事だ。
胸の高さの門扉に凭れて、飽きずに野牡丹を眺める虚庵夫妻であった。殆ど感じられない程のごく微かな風に、花びらの一枚が敏感に揺れていた。


           門前に紫紺の花のお出迎え

           出掛けに無かった 大鉢野牡丹!!


           愕きの じじ出迎えるわぎ妹子は

           大鉢移動の苦労を語りぬ
 

           径(こみち)にはあちらこちらに痕跡が

           奮闘語りぬ大鉢移動の


           慈しみ見事に咲きにし野牡丹を

           一目見せなむ道行く人にも


           門に凭れじじ・ばば見惚れぬ野牡丹の

           紫紺の花の幽かに揺れるを