「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「酔いにけらしも・・・」

2015-09-03 17:11:16 | 和歌

 ご多忙を極める先生が、「酔芙蓉」の「酔いにけらしも・・・」と頬を染める姿を写してお送り下さった。同じ花の、朝昼夕それぞれ異なる風情を見せて頂いて、大感激だ。


                        0830時撮影 ご提供 片岡勝子様

 朝日を浴びて眩いばかりの、純白の「酔芙蓉」だ。純真な乙女の、はじらふ風情が偲ばれる。
 
           白妙の芙蓉の花は はじらふや

           朝日を眩しと小手をかざすは




            1300時撮影                   1630時撮影            

 最近の虚庵居士は、お勤めを退いて好き勝手な日常生活を送っているので、午後から会議などのない日は、ランチからグラスを傾け、将に「酔いにけらしも・・・」と頬を染める。 お散歩で、酔芙蓉の花が頬を染めるのに出会えばウインクを交し、「やってますね」と声を掛けあうのが愉しみだ。

 ランチのグラスに何遍か注ぎ足しつつ、パソコンに向かうのが虚庵居士の日課だ。
ボランティアの会を主宰するので、ウェブでの調べ物や多数のメールの交換に追われる毎日だ。夕刻になって、一息つく頃にはすっかり出来上がって、鏡で見れば将に鐘馗様そのものだ。

 夕暮れ近く、花の姿を凛と保ったままの「酔った」芙蓉に出逢うのは、類い稀だ。
厚顔無恥な虚庵居士は、鐘馗様風の顏を晒して平気で散歩するが、酔芙蓉のそんな無様な姿にはお目にかからない。 頬を染める色が濃くなり、「酔いにけらしも」と自覚すれば、自ら花を閉じて乱れた姿を晒さないからご立派だ。

 「美しいままで一日の命」を終える、「酔芙蓉の命の美学」には敬服だ。


           ランチ終えそぞろ歩めば頬染める

           酔芙蓉に会いウインク交わしぬ


           君もまたランチのワインを嗜むや

           酔いにけらしも・・・頬に手をやり


           夕べ近く深く酔ひしか芙蓉花

           ほれ惚れ見上げぬそ文字の姿を


           いまひと目 観まほしけれど酔芙蓉は

           一日の花 閉じて終わりぬ


           白妙の花は酔ひしか頬染めて

           自ら逝くとは乱れもみせずに