「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「小紫と虫の集き」

2015-09-20 16:00:57 | 和歌

 「小紫・こむらさき」の実が見事な紫色になって、秋を感じさせてくれるこの頃だ。
気が付けば蝉の声は何時しか耳にはなく、夕暮れには「虫の集き」が誠に爽やかだ。「うつろ庵」の棺桶ベンチに坐して、グラス片手に虫の集きを聞けば、あの世とこの世の区別がつかなくなって、夢うつつの虚庵居士だ。


                        撮影とご提供 片岡勝子様

 「うつろ庵」の近くの遊歩道にも、「小紫」が所どころに植えられていて、枝垂れる姿は誠に優雅だ。「小紫」のその様な風情を、あろうことかバッサリと枝を切り落として、無残な姿を晒すのに出逢うとガッカリさせられる。住み人や道行く人々に迷惑にならぬような配慮は当然だが、枝の剪定にも僅かばかりの気遣いをして欲しいものだ。

 植木の剪定に限らず、自分勝手な言動により他人に思わぬ影響を与え、或いは迷惑を掛けることは間々ある。自分の言動を慎む気遣いは、一朝一夕には適わぬが、些細なことで修業を重ねる以外に、道はないのかも知れないが・・・。
                   

           小紫の

           枝垂れる実房の装いに

           秋を知るかも改めて

           ふと気が付けば蝉の声

           何時しか消えて虫たちの

           澄んだ集きに変わるかな
 
           庭の片隅 わぎ妹子と

           棺桶ベンチに坐しつつも

           グラス片手に虫の声

              聞けばあの世か

               この世の夢かな


           小紫の枝垂れる姿は夕暮れに

           虫の音きけば朧にかすみぬ