近くの公園の片隅に、「赤オキザリス」の花が可憐に咲いていた。
樹の下やツツジの植え込み近くまで、子供達は足を踏み入れて遊んでいるが、片隅の「赤オキザリス」の花は踏まれずに、無疵で咲いていた。
住宅街の中ほどのかなり広い公園だが、子供達は元気溌剌と飛び回り、或いは「かくれんぼ」などで思いもよらぬ処まで足を踏み入れるので、公園の片隅で、無疵の野草の花との出会いは信じられぬことだった。
しかしながら目ざとい子供達ゆえ、「赤オキザリス」の花の存在には、以前から気付いていたに違いない。公園の片隅とは云え、そっと大切にして来たであろう子供達の気配りに思ひがおよび、痺れる思ひであった。
子供らの姿を目で追い声聞けば
じじも一緒に遊ぶ心地す
公園の広場も植木の陰までも
総てが子らの遊びの場なり
公園の片隅に咲くオキザリスの
紅小花が無疵のままとは
子供らの目敏い性を察するに
紅小花を愛しむ心か
片隅に紅に咲くオキザリスを
傷つけまいとの 子供ごころか