「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「珊瑚樹の若芽」

2015-03-20 21:06:48 | 和歌

 「うつろ庵」の敷地は、精力旺盛な「珊瑚樹」の生垣に三方が囲まれていることは度々ご紹介したが、春の到来を迎えて、夥しい数の若芽が芽吹いた。
 


 若芽が3・4センチほど伸びてから、小鳥に啄ばまれた先端の痕跡が露わになった。 青葉が全くない早春には、
珊瑚樹の新芽が小鳥たちの貴重な食材だったことが判明した。寒さが厳しく、食糧の乏しい早春には、ごく小さな新芽とは云え、小鳥達の命を支えたに違いあるまい。

 若芽の先端が欠けているのは、珊瑚樹と小鳥たちの支え合いの見事な痕跡だ。
珊瑚樹の新芽が小鳥達の命を支えた、誇るべき勲章だ。 

 枝の先々に若芽が萌え立つ様は、春の到来を告げる貴重な景色だ。
それにしてもこの若芽が更に半月から一ヶ月程もすれば、小葉の若芽は、隣に写っている十センチ程の大葉に成長するのをご想像あれ。
しかも一つの若芽から、十数枚もの大きな緑葉が生い茂れば、「うつろ庵」は鬱蒼とした森に変身することになる。

 かつてはそんな枝葉を夏になって剪定して、何十束もの生ごみを生産した。何年かの苦い経験を踏まえて、昨今では虚庵居士流の解決策を編み出した。それは、緑の枝葉に成長する前の「若芽欠き」だ。写真の若芽であれば、素手でも容易に芽欠きが出来るので、半日ほどの安易な作業で生垣の手入れは完了する。 数週間後の、虫予防の消毒は欠かせないが ・ ・ ・。


           生垣の珊瑚樹若芽の 芽生えかな 

           春到来をこの目で確かめ  


           珊瑚樹の新芽は日毎に伸び立ちて

           小枝の先々活気付くかな


           伸び立ちし若芽の先の疵痕は

           ひもじき小鳥ら啄ばむ名残りか


           小鳥らが啄ばみ命を繋ぎしは

           無言で支えた珊瑚樹なるかな


           小鳥らの命を繋ぎし珊瑚樹の

           若芽を欠きつつ ゴメンねと詫びぬ