庭先の福寿草が、半月ほど前にむっくりと頭をもたげた。開花はまだまだ先だろうと油断していたが、暖かな日和で一気に開花して、目を瞠った。
春の到来を告げる福寿草だ。例年であれば開花が待ちきれずに、蕾が綻びかければ早速カメラを構えて写したものだった。 だが、今年は年末年始もその後も、多くの
お仲間とのメール交換や会議などに追われ、気が付けば庭先の福寿草はいつの間にか満開を迎えていた。
福寿草の開花は、緑と茶色が入り混じった萼が開き、中から透き通るような黄色の花弁が見える、あの胸のときめきを味わえなかったのは残念だ。
だが、開ききらない福寿草の初々しい姿も、また花びらを一杯に開いて初春の陽光を浴びる福寿草も、それぞれに春の悦びを精一杯に語りかけているではないか。 福寿草に寄り添って、腰を下ろしたまま暫し言葉を交わす虚庵居士であった。
むっくりと頭をもたげた福寿草の
開花は未だよと 油断を惜しみぬ
何時もなら春到来を福寿草と
語るに今年は メールに追われぬ
気が付けば春陽を浴びて満開の
福寿草の花 「待っていたのよ!」
腰おろし 福寿草の花に寄り添いて
花それぞれと 語らひ重ねつ
それぞれの福寿草の花は 姿替え
初春の悦び 語りて已まずも