クリスマスローズは読んで名前の通り、年末のクリスマスの頃に咲き初めて、入学式の頃まで咲き続けるので、皆さんに人気の草花だ。「うつろ庵」にも虚庵夫人が鉢植えにしてあるので、たっぷりと愉しませて貰っている。
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この花は、折角長いこと咲き続けるにも拘わらず、どうしたことか俯いて咲くので、路地植えでは花の表情を観るのに難儀するのだ。そこで虚庵夫人は鉢植えにして、
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花の位置が40~50センチほど高くなって、蕊と花びらの表情も見えるようになると、不思議なことに親近感も生まれて、思わず花の傍に寄り添ってあれこれと観察し、無言の会話が交わされることになる。
老夫妻にとっては、庭先のごく些細なことに、尽きぬ歓びを頂く毎日である。
何故ならむ俯いて咲くこの花は
恥じらふ素振りの クリスマスローズよ
木漏れ日のスポットライトに頬染めて
私が主役? 乙女の君はも
どの鉢の花も同じと思ひしに
しべの姿も 数も違うに
庭に咲くクリスマスローズは家族だと
受け入れつつも なに知らぬとは
改めてクリスマスローズの花達と
言葉を交わし詫びるじじかな
ささやかな庭にはあれどもあまたなる
歓び頂くじじとばばかな