「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「荒地花笠とカミキリ虫」

2014-08-20 01:22:32 | 和歌

 広い野原には、「荒地花笠」の花がひっそりと咲いていた。
かなりの数の荒地花笠の群落であったが、もともと華やかさなど全く見られない野草だから、咲いている小花すら全く目立たなかった。

 何年か前に野草図鑑で花の名前を覚えてからは、時には近寄って覗き込む虚庵居士だ。どの辺りの花をカメラに収めようかと見渡していたら、「ゴマダラカミキリ虫」が一匹、「荒地花笠」の花にとまっているのが目にとまった。



 カミキリに気付かれないように、そっと近づいてカメラに収めた。
触角がピンと立って、如何にも逞しそうだが、よ~く観察すると手足を花笠に預けて寛いでいる風情だ。至極のんびりと、昼寝をきめ込んでいるのかもしれない。

 彼を正面から写そう、顔の表情は如何にと場所を替えたら、途端に彼は活気づいて攻撃的な姿勢をとった。手足を盛んに動かし、触角を振りかざして「いざ戦わん」との気概だ。 元より危害を加える心算はなかったが、彼の攻撃的な動作で、荒地花笠の茎は大きくゆらめいた。

 ほんのひと時の「ゴマダラカミキリ虫」との出会いであったが、たっぷりと愉しませて貰った。彼もまた、虚庵居士以上にこの出会いを楽しんだに違いあるまい。




           野に咲ける荒地花笠写さむと

           近くに寄ればカミキリ虫かな


           背の高き荒地花笠に身を任せ

           寛ぐ風情ぞ昼寝ならむや


           手も足も花笠小花に預けるは

           心地好げなるゴマダラカミキリ


           カミキリの顏の表情写さむと

           近くに寄れば身構える彼


           触角を振りかざしつつ手も足も

           盛んに動かし「いざ戦わむ」かな


           背の高き荒地花笠揺れにゆれ

           ゴマダラカミキリ武将の面影