「うつろ庵」の玄関先の寄せ植えの中で、「黒龍」に黒い実が生った。
「黒龍」は植物図鑑などでは、常緑多年草と区分されるが、ご覧の通り細長い葉は緑を幽かに湛えた黒色だ。細い茎は、稔った実の重さに堪えかねて枝垂れているが、黒光りしている実も僅かに緑色を湛えた、ごく稀なものだ。
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庭や鉢植えの草花は、昨今では圧倒的に外来種が多いが、黒龍の原産地は、歴とした日本産だ。「リュウノヒゲ」とも呼ばれるが、黒く細長い葉を、仮想の動物「黒龍」の髭に見立てたものであろう。
晩春に黒龍の花の写真を撮ったことを思い出して、写真集を探したら、寄せ植えの写真が見つかった。薄紫色を帯びた白い小花が、黒龍の花だ。
花穂の脇に寄り添って若葉が立ち上がっているが、若葉は緑がかなり濃いようだ。日を経てしだれる様になると、葉の緑は黒に変色する様が見て取れる。
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ベゴニアの手弱女の花咲くその傍に
黒ひげ靡かせ黒龍みのりぬ
つややかな黒き実房に見惚れけり
「黒龍」躍るを瞼に描きて
黒龍は玉を抱くや一つならず
するどき手爪に実房をこぼして
いにしえの人々何を夢見るや
黒髭の葉と黒き珠玉に
わぎ妹子は寄せに植えにし龍の髭を
たずねまほしき託す思ひを