「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「木瓜と地梨」

2014-03-26 00:06:47 | 和歌

 真冬から春のお彼岸にかけては、様々な「木瓜・ぼけ」が目を愉しませてくれる。

 花の無い真冬に、木瓜の花に出会うと感激的だが、それ故か「寒木瓜」は俳句の 
季語でもある。そんな寒木瓜の花は白色ないし淡い色で、花数も少なめの様だ。
それに引き替え、お彼岸の頃になると、花数も多く、花の色も紅が濃くなる様に思えるが、虚庵居士の独りよがりの観察であろうか。

 数日前にご紹介した「山際の木瓜」は、花数も多く花の色はかなり濃い目の紅だ。今回掲載する木瓜は、枝一杯に密集して花を付け、花はかなり大きく、色合いも
鮮やかで、将に春爛漫といった華やかさだ。



 虚庵居士の郷里、信州・諏訪は寒冷地ゆえに、野の木瓜は五・六月頃にならないと花を付けないが、夏にはゴルフボールより小さめの果実を付ける。地元の皆さんは「地梨」と呼んでいるが、香りが素晴らしい。

 信州の地梨と同様に、ごく地味な花を咲かせる野木瓜が三浦半島でも野生していたので、十数年前に「うつろ庵」の庭に移植し、今年も花を付けた。

 木瓜は、園芸種が数々出回っているが、華やかな木瓜と共に、かなり大きな果実を付ける木瓜も見かける様になった。樹木図鑑で調べたら、木瓜の果実はゴルフボール程度の大きさから、握り拳ほどの大きさの種類もある様だ。信州の地梨は、図鑑に依れば「草木瓜・くさぼけ」に相当する様だ。


           寒木瓜の花を探すも何時にしか

           春の彼岸に華やぐ木瓜かも


           春分の陽ざしを浴びて華やぐは

           枝一杯の木瓜の花かな


           元来は野に咲く地味な木瓜なるに

           目を瞠るかな 華やぐ木瓜には


           春風を頬に受けつつ幼き日

           地梨をカジッタ昔を偲びぬ


           細き枝ゆ固き地梨をもぎ取りて

           齧れば酸っぱく地梨は香りぬ