真冬から春のお彼岸にかけては、様々な「木瓜・ぼけ」が目を愉しませてくれる。
花の無い真冬に、木瓜の花に出会うと感激的だが、それ故か「寒木瓜」は俳句の
季語でもある。そんな寒木瓜の花は白色ないし淡い色で、花数も少なめの様だ。
それに引き替え、お彼岸の頃になると、花数も多く、花の色も紅が濃くなる様に思えるが、虚庵居士の独りよがりの観察であろうか。
数日前にご紹介した「山際の木瓜」は、花数も多く花の色はかなり濃い目の紅だ。今回掲載する木瓜は、枝一杯に密集して花を付け、花はかなり大きく、色合いも
鮮やかで、将に春爛漫といった華やかさだ。
虚庵居士の郷里、信州・諏訪は寒冷地ゆえに、野の木瓜は五・六月頃にならないと花を付けないが、夏にはゴルフボールより小さめの果実を付ける。地元の皆さんは「地梨」と呼んでいるが、香りが素晴らしい。
信州の地梨と同様に、ごく地味な花を咲かせる野木瓜が三浦半島でも野生していたので、十数年前に「うつろ庵」の庭に移植し、今年も花を付けた。
木瓜は、園芸種が数々出回っているが、華やかな木瓜と共に、かなり大きな果実を付ける木瓜も見かける様になった。樹木図鑑で調べたら、木瓜の果実はゴルフボール程度の大きさから、握り拳ほどの大きさの種類もある様だ。信州の地梨は、図鑑に依れば「草木瓜・くさぼけ」に相当する様だ。
寒木瓜の花を探すも何時にしか
春の彼岸に華やぐ木瓜かも
春分の陽ざしを浴びて華やぐは
枝一杯の木瓜の花かな
元来は野に咲く地味な木瓜なるに
目を瞠るかな 華やぐ木瓜には
春風を頬に受けつつ幼き日
地梨をカジッタ昔を偲びぬ
細き枝ゆ固き地梨をもぎ取りて
齧れば酸っぱく地梨は香りぬ