「紅要黐・べにかなえもち」が、「赤芽」を鮮やかに芽吹いていた。
緑葉の枝先に、紅の花が咲いたかと戸惑うほどだが、正真正銘の「赤芽」なのだ。
生垣に設えるお宅が多いようだが、赤芽が芽吹いた後に暫らくすれば、これらの数多い新芽が紅の葉を拡げるので、緑の生垣がまたたく間に紅の生垣に変貌して、道行く人々を愕かせることになる。
やがて端午の節句の頃から初夏にかけては、白い粟粒状の花を咲かせて愉しませて呉れる。花が散る頃には紅の葉が徐々に緑葉に衣替えして、様々な変化を見せる優れものだ。
自然の世界の緑葉は、観る人の心を寛がせてくれる包容力豊かな存在だが、赤芽の芽吹きに始まり、変身術に長けた「紅要黐」の変わり様には、目を瞠る。
そんな変わり身の鮮やかさを、今年も愉しみたいものだ。
紅の花かと見紛う赤芽かな
紅要黐の芽吹く姿は
緑葉の枝の先々それぞれに
華やぎ芽吹く赤芽に見惚れぬ
枝々の赤芽はそれぞれいや増せば
やがては紅葉の衣に変わらむ
白たえの粟粒花の咲く頃に
再び相見む 「べにかなえもち」に