「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「紅要黐の芽吹き」

2014-03-15 12:01:57 | 和歌

 「紅要黐・べにかなえもち」が、「赤芽」を鮮やかに芽吹いていた。

 緑葉の枝先に、紅の花が咲いたかと戸惑うほどだが、正真正銘の「赤芽」なのだ。
生垣に設えるお宅が多いようだが、赤芽が芽吹いた後に暫らくすれば、これらの数多い新芽が紅の葉を拡げるので、緑の生垣がまたたく間に紅の生垣に変貌して、道行く人々を愕かせることになる。

 やがて端午の節句の頃から初夏にかけては、白い粟粒状の花を咲かせて愉しませて呉れる。花が散る頃には紅の葉が徐々に緑葉に衣替えして、様々な変化を見せる優れものだ。

 自然の世界の緑葉は、観る人の心を寛がせてくれる包容力豊かな存在だが、赤芽の芽吹きに始まり、変身術に長けた「紅要黐」の変わり様には、目を瞠る。

 そんな変わり身の鮮やかさを、今年も愉しみたいものだ。




           紅の花かと見紛う赤芽かな

           紅要黐の芽吹く姿は


           緑葉の枝の先々それぞれに

           華やぎ芽吹く赤芽に見惚れぬ


           枝々の赤芽はそれぞれいや増せば

           やがては紅葉の衣に変わらむ


           白たえの粟粒花の咲く頃に

           再び相見む 「べにかなえもち」に