「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「クリスマスローズとイガクリ頭」

2014-03-13 02:43:59 | 和歌

 「うつろ庵」の藪椿の下で、遅咲きのクリスマスローズが咲き初めて二・三週間ほど経った。 この花には様々な種類があるらしいが、クリスマスの頃から早春にかけて咲くので、この冠名が付けられた様だ。

 クリスマスローズは俯いて咲くので、上からの目線では綻びすら識別し難い程だ。虚庵夫人は鉢に植え、尚且つ60センチ程の高さのスタンドに据えて、花の位置を 高くしているが、それでも花の蕊にご挨拶するのは難儀だ。



 寒中に咲くクリスマスローズを、もっと早い時期に写したかったが、咲き初めから 花が十分に開くまでに、ほぼ半月を要してやっとカメラに納まって呉れた。

 ほとんどの種類の花は、開花とともに「見て観て」誇らしげに訴えるのが一般的だが、クリスマスローズに限っては不思議なことに、極めて控えめで、慎ましやかだ。
何ゆえに、こうべを垂れて咲くのだろうか。 対面する相手の顔を覗き込むのは凡そ失礼千万だが、「うつろ庵」の同じ住人故に、ご無礼をお許し願ってカメラに収めた。



 路地植えのクリスマスローズは、先に咲いた福寿草に顔を寄せて、恰も話かけて いる様な風情であった。カメラに写すのを一日伸ばしに遅らせていたら、福寿草は「待ちきれませんよ」 と宣て、ハラリと花びらを散らせ、「イガクリ頭」が後に残った。

 「クリスマスローズとイガクリ頭」では、どんな会話が交わされるのだろうか?




           遅咲きのクリスマスローズの開花から

           半月待つかな 笑顔を観むとて


           何故ならむ こうべを垂れて咲く花の

           こころを聴かむと蕊に問ふかも


           咲く花の後ろ姿は寂しとて

           我妹子高みに鉢を据えにし 


           藪椿の足元に咲く福寿草に

           顔寄せ囁くクリスマスローズは


           福寿草とクリスマスローズの語らひを

           写さむと待てば黄花散るかも


           クリスマスローズの花に寄り添ふて

           イガクリ頭は何語らふや